小学生の国語力の鍛え方は?学年別のおすすめ教材や読解力を高める勉強法を解説!
「小学生の国語力ってどのように鍛えればいいの?」
「おすすめの教材はある?学年別の勉強法は?」
などと疑問をお持ちの方もいるでしょう。
近年、小学生の国語力が低下していることが問題になっています。国語力は社会生活を営む上で非常に重要なので、小学生のうちからきちんと鍛えておかなければなりません。
今回は小学生の国語力の鍛え方について、学年別のおすすめの教材や勉強法、その効果などを解説します。
これを読んで、小学生のお子さんの国語力向上にお役立てください。
小学生の国語力の鍛え方についてざっくり説明すると
- 小学1・2年生なら読書の代わりにマンガでも良い
- 読書は月1〜3冊を目安にじっくり行うのがおすすめ
- 通信教育も非常に有用
小学生の国語力ってどんなもの?
まずは小学生の国語力について、文部科学省の定義や最近低下していると言われる理由などを解説します。
文部科学省の定める国語力とは?
平成16年に文化審議会国語分科会が文部科学大臣の諮問に基づき答申としてまとめた「これからの時代に求められる国語力」によると、その国語力は以下の2領域によって構成されます。
- 言語を中心とした情報を処理・操作する領域
- 「国語の知識や教養・価値観・感性などの領域」
上記の2領域が互いに影響し合うことによって、各人の国語力は発展していくのです。
そのため、国語力は単に文章を「読む力」だけを指すのではありません。上記の言語を中心とした「情報を処理・操作する能力」とは、「考える力」「感じる力」「想像する力」「表す力」のことです。
それらは具体的には「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能であると考えることができます。つまりそれらをバランスよく鍛えることが大切なのです。
最近子どもの国語力は低下してるの?
経済能力開発機能(OECD)は「PISA(Programme for International Student Assessment)」という国際調査によって、3年ごとに子供の学習到達度を測定しています。
同調査では、日本の子供の国語力は低下しているという結果が出ているのです。
また国立情報学研究所が主体となって開発した「リーディングスキルテスト(RST)」という基礎読解力を測定するテストにおいても、読解力は低下しているという結果が出ています。
つまり最近の子供の国語力は明らかに低下していると言えるでしょう。よって、小学生のお子さんがいる家庭では、何らかの方法で国語力を鍛えることを考えなくてはなりません。
どうして国語力は低下しているの?
小学生の国語力が低下している理由としては、インターネットの普及などによって、本を読む時間や親子で会話する時間が減っていることが挙げられます。
また昨今は小学生も盛んにSNSを利用していることから、直接顔を見てコミュニケーションを取る機会が減っていることも影響しているでしょう。
対面で話をすると、微妙な口調のニュアンスや表情、身振りなどから他人の情緒を感じ取ることができますが、SNS上の会話ではそうはいきません。
SNSでは相手の顔が見えず、場合によっては匿名のこともあるので、他者理解を通じて国語力を鍛えるのは難しいと言えるでしょう。
国語力を高めるメリット
ここからは国語力を高めるメリットを考えていきましょう。
論理的思考力が鍛えられる
国語力を鍛える過程では、文脈から状況を把握したり、順序立てて物事を考える練習を行うので、論理的思考力も同時に鍛えることができます。
論理的思考力を向上させれば、あらゆる場面で有用です。算数の勉強にも役立ちます。
定期試験の点数も上がる!
試験では各教科の内容が理解できていることに加え、問題で何が問われているかを把握する力も重要です。
問題文の意味が分からなくてテストが良い点が取れないという小学生は意外にもたくさんいます。
そのため、国語の勉強で読解力を鍛えることは、国語にとどまらずあらゆる科目の点数アップに有用なのです。
コミュニケーション能力が上がる
コミュニケーション能力と国語力には密接な関係があります。ちなみにコミュニケーション能力とは単に円滑に話すことができる能力のことを指すのではありません。
コミュニケーションでは、それぞれの状況や場面を的確に把握してふさわしい発言を考えたり、相手の気持ちを汲み取ったりすることが必要になります。
国語の学習でもまさにそうしたことが求められるので、国語力の向上がコミュニケーション能力の向上にも繋がるのです。
就職にも必要
就職活動においても国語力は重要です。SPIなどの適性検査を突破する段階から、国語力が求められます。
また面接やディスカッションにおいては、採用担当者と上手くコミュニケーションを取ることが必要です。しかし、国語力がないために面接官と話が噛み合わないという就活生は意外にも大勢います。
もちろん就職した後も国語力は大切です。同僚や取引先との人間関係、書類作成、プレゼンなど、国語力が高いと有利になる場面がたくさんあります。
小学校1・2年生が国語力・読解力を鍛えるには?
ここからは小学1・2年生におすすめの国語力・読解力の鍛え方を紹介します。
マンガも読書に近い効果がある
国語力を高める定番の方法は読書ですが、低学年のうちは落ち着いて本を習慣を付けさせるのは難しいというのも事実です。
そのような場合はマンガを読ませると良いでしょう。文字数が多いマンガなら、読書と同様の効果を期待できます。
例えば、コロコロコミックや少年ジャンプ、なかよしなどがおすすめです。文字数がある程度多いので、読解力を高めることができます。
またコミック誌なら様々なジャンルのマンガが読めるため、興味関心の幅も広がるでしょう。
漫画は読解力に効果的と示す論文も
東北大学大学院の研究者たちによる「マンガの読解力と文章の読解力の関係性」という研究では、マンガと文章は同様の読解過程で理解されているという結果が示されています。
つまり、マンガを読むことによっても、読書と同じように読解力を高める効果が得られる可能性があるということです。
親との会話でも育まれる
先述した通り、国語力とコミュニケーション能力は密接に連関しています。そのため、親子のコミュニケーションによっても国語力を高めることが可能です。
より効果的に国語力を向上させたいなら、一つの話題に対していくつも質問を投げかけ、以下のように内容を深堀りしてあげるのが良いでしょう。
- 子「今日の先生面白かったんだよ。」
- 親「へえ、どうして?」
- 子「先生が視聴覚室の鍵をなくしちゃって。」
- 親「視聴覚室?」
- 子「うん、今日3時間目、プログラミングの授業だったから。」
- 親「そっか。でも何で鍵をなくすのがそんなに面白かったの?」
- 子「だって顔が青ざめてたもん。あんな先生見たことない。」
- 親「へえ。でもどうして無くしちゃったんだろ。」
- 子「さあ、何でだろ。」
このように質問していくことで、子供はその度に適切な答えを考えます。その過程で子供の国語力が向上していくのです。子供が返答に詰まった場合は、親も一緒になって答えを考えてあげるのが良いでしょう。
一方で「それより早く宿題やっちゃいなさい。」などとすぐに話題を転換してはいけません。
低学年のうちは読み聞かせも有効
読み聞かせも読解力の向上には有用です。低学年のうちは毎日短時間でも良いので、読み聞かせをしてあげましょう。
一冊を読み切るのが難しい場合は、途中でやめても構いません。中には続きが気になって自分から本を読み出す子供もいるので、読書への関心を高める良いきっかけにもなります。
音読もおすすめ
文章を音読すれば読解力や文章力が上がると言われています。そのため、教科書などを本文を詰まらずスムーズに読めるようになるまで音読させると良いでしょう。
音読効果は研究でも示されている
読解力をつけるには音読が大切だとされています。音読なら読みのスピードで、語彙力や文章の理解度を確認することができるからです。
一般的にたどたどしい読み方の場合は、語彙も理解が不十分なことが多いです。そのため、読みの速さと語彙力・理解力には相関があると言えます。
練習を繰り返せば、スピード感を持った音読が可能になるので、そうなれば語彙や理解も自然と身についているでしょう。
ちなみに音読と読解力の相関を示唆する研究データもあります。愛知教育大学の研究では、音読は内容理解や逐語記憶において、黙読よりも優位性を持つことが示唆されています。
これはまだ断定できる結果ではありませんが、読解力向上に音読が有効であると考えるだけの十分な判断材料にはなるでしょう。
3年生〜6年生に有効な習慣は?
続いて小学3年生〜6年生の国語力向上に有効な習慣を解説します。
読書する
読書は語彙力を増やし、様々な教養を身に付けるのに有用です。もちろん読解力を中心に国語力を高めるのにも役立ちます。
また月に何冊以上読むなどの目標を決めると、それに向かって努力するようになるので、読書を続ける良いモチベーションになるでしょう。
例えば、1週間に1冊読むとすれば、年間で50冊以上読むことになるので、一年後には語彙力や読解力が格段に向上しているはずです。
なお、本には紙の本と電子書籍がありますが、基本的にはどちらを選んでも構いません。ただし、読みやすさや目の優しさという点では紙の本の方が良いでしょう。
電子版の本でもメリットはある
紙の本の方が操作性が良いので、情報が探しやすいというメリットがありますが、電子書籍の方が子供は主体的に読書をする傾向があると言われることもあります。
電子書籍のデバイスに子供は興味を持つようで、指でページをめくる操作などが心地良くて電子書籍の方を好む子供も多いです。
また幼児を対象とした調査結果ではありますが、紙の本よりも電子書籍の方が読書時間が長くなるというデータもあります。
なお、電子書籍は眼精疲労などを通じて脳に悪影響を与えるのではないかと懸念する方もいるでしょうが、電子書籍を使うことで脳機能に悪影響を及ぼすことはないと言われています。
無闇に冊数を読めば良いわけではない
ベネッセ教育総合研究所の調査によると、月の読書量が1冊以上の子供は、全く本を読まない子供と比べて読解力が高い傾向があると言われています。
ただし、読書量に比例して読解力が伸びていくというわけではありません。読解力は月に1〜3冊本を読んだ場合で頭打ちになり、4冊以上読んだ場合は横這いもしくはそれ以下の水準になるという結果が出ています。
つまり、読解力を付けさせたいからといって、闇雲に何冊も読ませれば良いというわけではないということです。よって子供に読書をさせる場合は、月に1〜3冊ほどを目安にじっくりと読ませるのが良いでしょう。
漢字を練習する
漢字が読めないことが原因で、国語が苦手になったり、読書が嫌いになる子供は意外に多いです。
そのため、学校で習った漢字に関しては、きちんと読み書きができるように練習させるのが良いでしょう。
教材としては学校の教科書や漢字ドリルを使うのがおすすめです。教科書を使う場合は、巻末の漢字一覧を見ながら、ノートに漢字を書き写すのが良いでしょう。
その際は、書き順やとめ・はねなどを意識し、読み方や熟語なども合わせて記憶するべきです。漢字ドリルは学校で指定された使い方があるならそれに従いましょう。
またある程度練習を行ったら、漢字テストで習熟度を確認するのもおすすめです。
国語力アップにおすすめの教材・トレーニングは?
以下では国語力アップにおすすめの教材やトレーニングを紹介します。
学校の教科書がベース
まずは学校の教科書に収録されている随筆や物語を読むのがおすすめです。内容を正確に読解することを心がけて丁寧に読む進めましょう。
教科書には各学年のレベルにあった文章が掲載されているので、国語力の基礎を作るには教科書を押さえるのが一番なのです。
文章を読む際は、最初から黙読するのではなく、一度音読させてみるのが良いでしょう。音読があまりにもたどたどしいようなら、漢字や語彙の確認から始めた方が良い場合もあります。
また読書をするのもおすすめですが、先述した通り、むやみやたらと冊数をこなそうとする必要はありません。月に1〜3冊をじっくりと読解する方が有意義です。
追加で問題集を使うなら
国語力を鍛えるには読解力に加えて、語彙力や作文力も伸ばす必要があります。国語の教科書に付いている問題でもそれらを鍛えることはできますが、やや物足りなく感じる方もいるでしょう。
そうした場合は追加で市販の問題集を購入するという選択肢もあります。
問題集なら「小学校6年生までに必要な語彙力が1冊でしっかり身につく本」を使うのが良いでしょう。
この本では、漢字の書き取りを通して言葉を丸暗記するというような子供が嫌がる作業は一切ありません。使える言葉を楽しく学ぶことができます。
「教えるときのポイント」も解説されているため、保護者にとっても有益です。親子で一緒に勉強すると良いでしょう。
また同シリーズの「小学校6年生までに必要な作文力が1冊でしっかり身につく本」もおすすめです。
誰でもスラスラと長文が書けるようになる非常にやさしい作文入門書なので、作文が苦手な場合にはぜひ一度試してみましょう。
通信教育で学校に合わせて鍛える
通信教育も小学生の国語力を伸ばすのに大変効果的です。
通信教育の多くは教科書に準拠した内容になっているので、学校の進度に合わせて無理なく勉強を進めることができるでしょう。
小学生におすすめの通信教育については以下の記事で紹介しています。
小学生の国語力の鍛え方まとめ
小学生の国語力の鍛え方まとめ
- 音読をすると読解力や文章力が上がる
- 漢字の練習をきちんとしておくべき
- 学校の教科書をベースに学習するのがおすすめ
小学生の国語力の鍛え方について解説しました。
国語力を鍛えるには読書が有効ですが、小学1・2年生のうちはマンガでも構いません。また親子のコミュニケーションによっても国語力を伸ばすことができます。
3年生〜6年生には読書を推奨しますが、無闇に冊数をこなそうとするのではなく、月1〜3冊を目安にじっくりと読解するのがおすすめです。
また教科書は各学年のレベルに合わせて作られているため、まずは教科書の随筆や小説から読み始めるのが良いでしょう。
さらに通信教育なら学校の進度に合わせて国語力を効果的に伸ばすことができます。
以上を参考に、より良い国語の学習法を見つけてください。