シュタイナー教育とは?多くの有名人も受けた教育法の特徴や弊害・問題点まで解説!

    更新日時 2021/12/28

    「シュタイナー教育ってどんな教育法?」

    「シュタイナー教育を受けていた有名人が知りたい!」

    シュタイナー教育に興味をお持ちの方は、このようなことをお考えなのではないでしょうか。

    この記事では、シュタイナー教育とはどのような教育法なのかわかりやすく解説します。

    また、シュタイナー教育を受けていた有名人について、シュタイナー教育がどのような影響を及ぼしたのかエピソードも交えながらご紹介します。

    お子さんを教育するにあたりシュタイナー教育を取り入れたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。

    シュタイナー教育を受けた有名人についてざっくり説明すると

    • シュタイナー教育の学校の卒業生には、俳優の斎藤工さんなど有名人もいる
    • シュタイナー教育を受けたその後は、芸術方面に進んだ有名人も多い
    • シュタイナー教育は大学受験ができる学力が付かないなど、問題点も指摘されている

    多くの有名人が学んだシュタイナー教育とは?

    クエスチョンマーク

    シュタイナー教育とは、ドイツの哲学者・教育者のルドフル・シュタイナーが始めた教育法で、100年を超える歴史あるものです。

    シュタイナー教育の目的は、自らの意思で行動できる子供を育成することで、知性だけにとどまらない「全人教育」を掲げています。

    シュタイナー教育をベースにした学校は世界60か国、1,000校を超えており、これらの数字からは普及率の高さがうかがえます。

    現在グローバル化の急速な発展により、変化の激しい時代を生きていく力が求められていますが、シュタイナー教育ではこのような力が身に付くとされ、需要が高まっています。

    バランスの取れた教育法が特徴的

    シュタイナー教育は体・心・頭の3つのバランスが取れた人間形成を目的としています。

    特定の技能に特化してしまうと、人間関係が乱れたり、持っている能力を適切に発揮できなかったりするなどの弊害が起こってしまいます。

    そのため、シュタイナー教育では能力のバランスが取れた人材育成を目指しているのです。

    具体的には、ただ机に向かって勉強するのではなく、グラウンドで運動をしたり、美術などの芸術品に触れたりする時間がしっかり確保されています。

    特筆すべきは芸術教科の豊富さ

    シュタイナー教育では心の教育も重視されていることから、芸術教科が豊富であることが特徴です。

    シュタイナー教育の芸術教科では、想像力や美しいものに関する感性を養うための活動が行われています。

    シュタイナー教育で行われている芸術活動とはどのようなものなのか、代表的なものをご紹介します。

    オイリュトミー

    オイリュトミーとは「美しいリズム」という意味で、シュタイナーが考案した芸術活動です。

    音楽や詩の朗読に合わせながら、言葉の母音や子音の響き、また音のメロディーやリズムなどを身体で表現します。

    オイリュトミーは、幼稚園から高等部まで行われる重要な活動の一つです。

    フォルメン線描

    フォルメン線描では、さまざまなフォルムの描写をしていくことによって内面の豊かさを育んでいきます。

    小学校1年時には直線や曲線を使った比較的簡単なフォルムの描写を行いますが、学年が上がるにつれてフォルムは複雑になり、高学年になると幾何学模様のようなフォルムも学んでいきます。

    科目毎の知識を集中的に深めるエポック教育

    シュタイナー教育では教科学習の方法にも特徴があります。

    シュタイナー教育の授業の大きな特徴がエポック授業(中心授業)です。

    エポック授業は小・中・高の1時限目に行われるもので、授業の時間は110分です。

    エポック授業では、国語、算数、理科、社会の中の一つの科目を2~4週間にわたって集中的に学んでいきます。

    エポック授業では教科書はなく、エポックノートと呼ばれるノートに学んだことをクレヨンやペンなどを使ってカラフルに描き、一人ひとりオリジナルの教科書を作ることが特徴です。

    例えば、小学1年生の算数では、小人などが出てくるメルヘンチックなお話を聞きながら、お話に出てきた数字やお話を聞いて抱いたイメージをエポックノートに描きます。

    学年が上がるにつれ、授業の内容はメルヘンな世界観から現実的な世界観に変わっていき、自分の住んでいる土地の歴史を学ぶ郷土学、日常でみられる物理的な現象を学んでいく物理学などさまざまな科目を学びます。

    シュタイナー教育独特の特徴は他にも

    シュタイナー教育では他にもさまざまな特徴があります。

    例えば、バランスが取れた人間に育てるため、テレビやゲームは禁止されています。

    また、競争心を駆り立てるサッカーやバスケットボールなどのスポーツも、高校生になるまで禁止されます。

    スポーツでは、その他にもバランスの取れた体を作るために、体の特定の部分を集中的に動かす競技も推奨されません。

    また、シュタイナー教育では教育は芸術であるとされているため、ノートに書くときは色のあるペンを使うようになっています。

    早期教育には否定的であり、幼児期には文字や数字などを教えないという方針もあります。

    安心して生活できる環境づくりも重視されており、カーテンなどのインテリアには淡いピンク色など目に優しい色が多用されています。

    また、大きな声を出さないなど静かな環境であることが好ましいとされることも特徴です。

    卒業生の有名人とその後を一挙紹介

    赤ちゃんの顔

    ここからは、シュタイナー教育の学校の卒業生である有名人が、その後どのような活躍をしているかご紹介します。

    斎藤工さん

    斎藤工さんは俳優業を中心に、バラエティに出演したり映画監督を務めたりするなどマルチな才能を発揮しており、現在大活躍中です。

    斎藤工さんはシュタイナー学園の2期生で、6年生まで在籍していました。

    斎藤工さんが在籍していたころのシュタイナー学園は規模がまだ小さく5~6人の生徒しかいませんでしたが、姉と二人で通っていたそうです。

    斎藤工さんはシュタイナー学園のHPで

    シュタイナー教育というベースがあるから、今の自分は、すごく柔軟に冷静に俳優という職業を楽しめているんだと思います。 出典:学校法人シュタイナー学園HP

    上記のように、シュタイナー教育が今の俳優業を楽しめる要因になっていると語っています。

    村上虹郎さん

    映画「ディストラクション・ベイビーズ」(2016年)、「ナミヤ雑貨店の奇蹟」(2017年)など数々の作品に出演している実力派俳優の村上虹郎さんもシュタイナー教育を受けていた有名人の一人です。

    村上虹郎さんは俳優の村上淳さん、歌手のUAさんの息子として生まれ、中学生のころ母・UAさんと沖縄に移住するまでシュタイナー学園初等部・中等部に通い教育を受けました。

    教科書がない教育を受けたことや、授業で演劇をしたことなどの思い出をインタビューで語っています。

    黒柳徹子さん

    黒柳徹子さんもシュタイナー教育の学校の卒業生だとされていますが、厳密には異なります。

    黒柳徹子さんが通っていたのはトモエ学園という学校です。トモエ学園は日本で初めてリトミックを取り入れた教育をしていたことで知られる学校です。

    シュタイナー教育やモンテッソーリ教育などの一般的な学校の教育とは違う自由な教育をオルタナティブ教育といいます。

    トモエ学園もオルタナティブ教育の学校だったため、シュタイナー教育を実施していた学校と間違えられることがあるようです。

    トモエ学園は自由な教育法ではありましたが、シュタイナー教育の学校ではありません。

    オルタナティブスクールについて詳しくは以下の記事で解説していますので、興味のある方は参考にしてみてください。

    ミヒャエル・エンデさん

    『モモ』などで知られるドイツの児童文学作家、ミヒャエル・エンデさんもシュタイナー教育を受けていました。

    エンデさんは、もともと中等教育機関・ギムナジウムに在籍していましたが、17歳のときにシュタイナー学校に転校します。

    最初は独特の教育方針になじめなかったエンデさんでしたが、次第にシュタイナー教育を理解し、その後俳優学校に転校するまで2年間在籍しました。

    サンドラ・ブロックさん

    「スピード」(1994年)、「ゼロ・グラビティ」(2013年)、「オーシャンズ8」(2018年)などで知られるハリウッド女優のサンドラ・ブロックさんもシュタイナー教育の卒業生です。

    サンドラ・ブロックさんは12歳までドイツに住んでいたことから、ドイツのシュタイナー教育を受けていたと考えられます。

    ジェニファー・アニストンさん

    アメリカの人気ドラマ「フレンズ」のレイチェル役でブレイクした女優のジェニファー・アニストンさんは、ニューヨークのシュタイナー教育を行なっている学校の卒業生です。

    インタビュー番組では、学校で絵を描いたり楽器を演奏したり演劇をしたりと、さまざまな楽しいカリキュラムを経験したことを語っています。

    フェルディナント・アレクサンダー・ポルシェさん

    ポルシェの創業者・フェリー・ポルシェの長男で、ポルシェ911のカーデザイナーとして知られるフェルディナント・アレクサンダー・ポルシェさんは、ドイツで最初にシュタイナー教育を実施した学校であるヴァルドルフ学校の卒業生です。

    自由な個性や創造性を育む教育を受けたことで、ポルシェ911のような独創的なデザインをする能力を養えたのではないでしょうか。

    発達段階は主に3つに分かれる

    二人の男の子

    シュタイナー教育では、人間の成長を7年周期で捉えています。

    各周期ごとに成長の重点があり、それが各周期ごとに変化していくという考え方です。

    具体的には、成長の周期は0~7歳、7~14歳、14歳~21歳の3つの時期に分かれています。

    シュタイナー教育の学校では、小中高の一貫教育をベースにし、小学校は1~8年生、9~12年生は高等部として、発達段階の周期に合った教育を実践しています。

    「意思」の力を育む0~7歳

    シュタイナー教育では、0歳~7歳は体を使ってさまざまな動きをすることを通して体を鍛えるのと同時に、クリエイティビティも育む時期であるとされます。

    そのことから、この時期は遊びが重要視されています。

    身体能力を鍛えることとクリエイティブな遊びをすることによって、体にしっかりとしたエネルギーを作り、その結果行動への意思を養うことができるという考え方に基づいた教育を行います。

    また、シュタイナー教育では小学校1年生(7歳)は幼稚園の延長の時期とされ、メルヘン、ファンタジーの世界に接することによって、子どもの内面を豊かにする教育を実施することが特徴です。

    「感情」7~14歳

    シュタイナー教育では、7歳~14歳は自分自身でさまざまなことに対して豊富なイメージを作って学んでいくことによって、心が育成されていく時期です。

    また、シュタイナー教育では、子どもはこの時期から学びに入門する時期であるとされています。

    7歳以下では体を動かし、遊びを通してさまざまなことを学んでいきます。

    しかし、7歳~14歳では体を動かさなくとも学べるようになり、先生の話を聞いてその内容を映像化しイメージを持てるようになります。

    7歳~14歳は、このように豊かなイメージを持てるようになることにより、感情が育まれていく時期だとされています。

    14~21歳

    14歳~21歳は、体・心・頭のうちの頭、つまり思考力を育んでいく時期です。

    14歳までは先生の話から知識を得たり、イメージを働かせたりすることによって心を豊かにする時期ですが、14歳からは論理的思考など思考力を養っていきます。

    この頃からは論文の書き方を学んだり、一般の高校で学ぶような高等数学も学びます。

    また、農業実習、職場実習などを通して社会と関わりを持つ経験が増えたり、テレビやネットに触れることにより現代の生活に触れ始めたりする時期でもあります。

    このような経験をしていくことによって、社会と自分について考え、自我が形成されていきます。

    シュタイナー教育は感覚を12個に分類

    女の子とウサギ

    一般的には、人間の感覚は視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚の5つです。

    しかし、シュタイナー教育では物理的感覚が9種類、感覚器官を超えた感覚が3種類の計12種類が人間の感覚だとしています。

    具体的には、大きく分けて

    • 意志感覚
    • 感知感覚
    • 認識感覚

    の3つに分類されます。以下では、この12種類の感覚についてそれぞれ解説します。

    意志感覚

    意志感覚は、触覚・生命感覚・運動感覚・平衡感覚の4つからなります。

    意志感覚は0~7歳で育つ感覚です。意志感覚に含まれる4つの感覚は、どれも肉体的な感覚であるという共通点があります。

    意志感覚を育てるためには、木など自然素材のおもちゃを使って遊んだり、物語を読むときに抑揚を付けず静かに読んだりするといったことに気を付ける必要があります。

    感知感覚

    感知感覚は、嗅覚・味覚・資格・熱感覚の4つからなります。

    これらは感情の感覚と呼ばれ、7~14歳で育つ能力であるとされています。

    これらの感覚を育てるためには、食べ物に人工甘味料を使いすぎるのではなくなるべく自然のものを使うことや、刺激が少ない環境を作るためにインテリアに淡いピンクを多用することなどに気を付けることが必要です。

    認識感覚

    認識感覚とは、聴覚、言語感覚、思考感覚、自我感覚からなります。

    これらは14歳~21歳で育つ感覚です。

    この時期は自我が育つ時期であり、主体的に行動できるようになることが求められます。

    シュタイナー教育では大人の生き方が子供に大きな影響を与えるとされており、この時期に大人がよい人間であるために努力する姿や、よい振る舞いをしているところを見せることが重要だとされています。

    シュタイナー教育は幼稚園~高校まで一貫で学べる

    本を持っている男の子

    一般的な教育では、学ぶ内容について対象年齢が指定されていることが多いです。

    しかし、シュタイナー教育の場合は幼稚園・保育園はもちろん高校までしっかり時間をかけて学んでいくことが特徴です。

    ここからは、シュタイナー教育では幼稚園から高校までどのような教育が行われていくのか解説します。

    協会に所属している学校は日本に7校

    日本でシュタイナー教育を実施している幼児教育の施設は50以上、学校は10校以上あります。

    日本シュタイナー学校協会に所属している学校は以下の7校です。

    • 北海道シュタイナー学園いずみの学校(学校法人)

    北海道虻田郡豊浦町字東雲町83-2

    • 東京賢治シュタイナー学校(特定非営利活動法人)

    東京都立川市柴崎町6-20-37

    • シュタイナー学園(学校法人)

    神奈川県相模原市緑区名倉2805-1

    • 横浜シュタイナー学園(特定非営利活動法人)

    横浜市緑区霧が丘3丁目1-20

    • 愛知シュタイナー学園(認定特定非営利活動法人)

    愛知県日進市折戸町笠寺山42-13

    • 京田辺シュタイナー学校(特定非営利活動法人)

    京都府京田辺市興戸南鉾立94

    • 福岡シュタイナー学園(特定非営利活動法人)

    福岡市南区長丘3丁目10-29 出典:日本シュタイナー学校協会Webサイト

    乳幼児教育の特徴

    シュタイナー教育では、乳幼児教育は0~2歳、3~6歳の2つの時期に分けられます。

    0~2歳は、身体を作るための運動ができる環境や、自然素材で作られたおもちゃなどに囲まれ、愛着が形成されていきます。

    3~6歳は、ごっこ遊びなどをしながら社会性・創造性などを育んでいき、豊かな内面を作っていきます。

    小中学校の特徴

    小学1年生から8年生(中学2年生)までが一般的な学校の小中学校にあたります。

    この時期は、クラス担任の先生が1年生から8年生まで8年間一貫して受け持つシステムになっています。

    1年生から8年生までは、毎朝110分間エポック授業があることが大きな特徴です。

    エポック授業では、字を覚えたり、計算を学んだり、絵を描いたり、楽器を演奏したりとさまざまな活動をしていきます。

    この時期は、尊敬できる先生のもとでしっかり学ぶことが重要なテーマです。

    尊敬できる先生のもとでさまざまな取り組みをすることによって、豊かな感情を育むことに繋がり、知性も養えます。

    また、1年生から8年生までは、子どもに自己判断させるのではなく教師が何事も教えていくことが重要だとされ、子どもは教師の教えを吸収していきます。

    高校の特徴

    9年生(中学3年生)から12年生(高校3年生)までは高等部です。

    高等部では、8年生まで学んできたことや養ってきた感覚をもとに自分で判断できる思考力を伸ばしていきます。

    そのため、福祉施設での実習、演劇、交換留学などさまざまな体験型のカリキュラムがあります。

    シュタイナー教育の主なメリット・デメリット

    勉強している女の子

    シュタイナー教育は一般的な教育とは違うため、メリットがあるとされる一方で、デメリットもあると指摘されています。

    以下でメリット・デメリットをそれぞれ紹介していきます。

    シュタイナー教育の長所

    シュタイナー教育のメリットはさまざまありますが、主なメリットをまとめると以下のようになります。

    メリット 内容
    才能が花開く 個性重視の教育で生徒の才能が伸びやすい
    感受性が豊かになる 自由教育であり、幼いころからおんぶにだっこの状態にならず判断を求められるため、判断能力がつく
    判断力がつく テレビなど幼少期にあまりよくないとされるものから距離を空けることで、感受性が身につく
    個性を重んじた進路指導 個性を重視するため、ステレオタイプな進路指導を行わない
    成績に縛られない 8年生まではテストがなく、個人が学びたいものを好きに学べる
    成績に縛られずのびのび学べる

    このように、シュタイナー教育には自由教育ならではの魅力がたくさんあります。

    特に、個性を重んじ、のびのびと才能を育める環境である点は優れていると言えます。

    シュタイナー教育には問題点も存在

    シュタイナー教育にはメリットが多々ある一方で、問題点も指摘されています。

    デメリット 内容
    社会性が身に付きにくい 個性を大事にし、人間を信頼する教育であるため、社会性が身に付きにくい
    学力が伸ばしにくい 学力を重視しない教育であることや、芸術の授業が多いことから学力が伸びにくい
    日常生活に支障が出ることも テレビを見ない、体の特定の部分をよく使うスポーツをしないなどのルールを守っていると、一般の子供のような生活が送れない
    卒業資格が得られない 学校法人ではない場合は卒業資格が得られないので、通っているシュタイナー教育の学校がある市町村の公立学校に籍を置く
    大学進学が難しい シュタイナー教育では大学進学用の教科教育をしていないため、大学受験できる学力が付かない場合がある

    シュタイナー教育は大学受験には適さない教育であり、学力が伸ばしにくいとも言われています。

    このように、シュタイナー教育は一長一短がある教育法であるため、自分の子供に合っているかどうかを見極める必要があります。

    シュタイナー教育がおすすめな子供

    寝っ転がっている女の子

    シュタイナー教育がおすすめの子供の特徴としては、

    • 体験ベースの学習が好きな子供
    • 芸術分野に強い関心を持っている子供

    の2つが挙げられます。

    シュタイナー教育は学力重視ではありません。一般的な学校とは異なり体験を通して学ぶ機会が豊富に与えられており、子供にとっては過ごしやすい環境が整っています。

    一般的な学校のように、おとなしく座って授業を聞くスタイルの教育が合わない子供には、シュタイナー教育は向いていると言えるでしょう。

    また、ペーパー試験ではなく体験を重視しているため、知識偏重型の教育が合わない子供にもシュタイナー教育は向いていると考えられます。

    また、シュタイナー教育では「教育は芸術である」と考えられており、授業でノートに書くときには独創的なイメージをカラフルなペンで描くなど、芸術的な面が重視されていることが特徴です。

    オイリュトミーやフォルメン線描などの専科科目でも芸術的な活動が多いため、芸術的なセンスが磨きやすい教育法です。

    実際に、シュタイナー教育で芸術のセンスを磨き俳優になった人も多いため、説得力がある教育法だと言えます。

    おすすめ出来ない子供の特徴は?

    シュタイナー教育をおすすめできない子供の特徴としては、

    • 親が中学受験を希望している
    • 子供自身が協調性を重視するタイプである

    の2つが挙げられます。

    シュタイナー教育は学力を重視しない教育法であるため、親が中学受験を希望する場合はその時点で合わない教育法になってしまいます。

    また、塾では偏差値などの明確な学力指標で子供の優劣が判断されてしまうため、シュタイナー教育を受けながら塾に通って受験勉強をしようとすると、子供が環境に耐えられなくなる恐れもあります。

    シュタイナー教育では個性を重んじるため、非常に個性的な人材が育っていくことも特徴です。

    そのため、シュタイナー教育を受けた人が社会に出ると、周りから浮いてしまうというような可能性もあります。

    特に協調性を大事に思っているタイプの子供の場合、シュタイナー教育を受けると苦痛を感じたり、卒業後に社会に適応できず苦しむ恐れがあります。

    シュタイナー教育は家でも手軽に取り入れられる

    女性と赤ちゃん

    シュタイナー教育を実施している学校に入らなくとも、シュタイナー教育の考えを親が家庭で実践することも可能です。

    ここからは、家庭で取り入れられるシュタイナー教育の教育法をご紹介します。

    すぐに手を貸さず見守る

    シュタイナー教育は子供の自主性を重んじており、自らの意思で行動できる子供を育てることを目的としています。

    そのため、子供が何かつまずいたときにすぐ手を貸してしまうことはNGです。

    シュタイナー教育の考えでは、手を貸したくなっても貸さず、見守るのが正解です。

    ただ、子供が限界に直面してしまい、これ以上自力では進めないというところになったら手を貸すといった臨機応変な対応は必要になります。

    シュタイナー流の環境を構築するのも一つの手

    シュタイナー教育では、子供が過ごす環境に配慮していることも特徴です。

    例えば、淡いピンクをインテリアに多用するなど、目に優しい環境作りを心がけています。

    また「大きな音を出さない」「低学年のうちはテレビやネットのような刺激にはなるべく接しない」といったものもあります。

    具体的な環境作りに関しては、シュタイナー教育を取り入れている幼稚園の環境作りを参考にすることがおすすめです。

    教具に自然のものを使う

    シュタイナー教育では、教具は一般の学校で使われているようなものではなく、布、木の実、紐、丸太、竹筒など身の回りにある自然のものも使います。

    このような教具は遊び方が決まっていないため、子供が自分で自由に遊び方を考えられることがメリットです。

    そのため、このような自然の教具で遊ぶと、創造性が養われていくと考えられています。

    シュタイナー教育を知るためのおすすめ本

    シュタイナー教育を家庭で実践するためには、本で方法を学ぶという手段もあります。

    ここでは、おすすめできるシュタイナー教育の本を2冊ご紹介します。

    家庭でできるシュタイナーの幼児教育

    『家庭でできるシュタイナーの幼児教育』は、シュタイナー教育の教育者28名への取材から重要なポイントをまとめたシュタイナー教育の入門書です。

    エッセイ形式でわかりやすく解説されているため、シュタイナー教育の知識が全くない方でも楽しく読み進めることができます。

    シュタイナー幼稚園の遊びと手仕事

    『シュタイナー幼稚園の遊びと手仕事―生きる力を育む7歳までの教育』は、ドイツの都市・ロイトリンゲンのシュタイナー幼稚園で30年間勤務していた経験を持ち、シュタイナー教育教員の養成にも携わっているヤフケ・フライヤ氏が執筆した本です。

    シュタイナー幼稚園の子供たちが元気に優しく育つ理由を解説しています。

    シュタイナー教育とモンテッソーリ教育の違い

    花を触っている女の子

    オルタナティブ教育としてよく比較されるシュタイナー教育とモンテッソーリ教育ですが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。

    モンテッソーリ教育では、子供が自ら成長していくための手助けをすることが大事であるとされています。

    そのため、親は子供の発達をよく観察し、子供の発達段階に適したタイミングで教具を与え、成長を促します。

    子供がのびのびと成長できるように環境を整えるのがモンテッソーリ教育での親の役目です。

    また、幼児期から算数や言葉などを教えていくことも特徴です。

    一方、シュタイナー教育では、自分の意思で行動できる子供を育てることを目的としています。

    意思や思考力などを育てるために芸術的な活動をたくさん経験することが特徴です。

    学びで使う教具は自然のものを使い、食事も人工甘味料を使わず自然の素材を重視します。

    また、大人の姿が子供に大きな影響を与えると考えられているため、親は子供の手本となるように、模範的な行動をとることが求められます。

    教育背景の違い

    モンテッソーリ教育は、イタリアで初めて女性医師となったマリア・モンテッソーリが考案した教育法です。

    モンテッソーリは精神病院で知的障害児の教育に関わっていましたが、その教育法は全ての子供に転用できると考え、1907年に「子どもの家」という施設を設立しました。

    そこからモンテッソーリ教育が発展し、世界に広まっていったのです。

    一方、シュタイナー教育は、オーストリアの哲学者・教育者であるルドルフ・シュタイナーが考案した教育法です。

    シュタイナー教育が考案されたきっかけは、シュタイナーが23歳のとき、水頭症の少年の家庭教師を頼まれたことです。

    シュタイナーはこの少年が全く学習ができない状態だったことから、編み物をさせて手を動かす活動に集中させました。

    その結果1年半後には水頭症が改善し少年は学校に通えるようになり、最終的には医者になりました。

    このことから、体を動かす芸術活動を重視するシュタイナー教育が考案され、シュタイナーは1919年にドイツで「自由ヴァルドルフ学校」を設立しました。

    具体的な活動の違い

    モンテッソーリ教育では、子供たちが行う活動を「おしごと」と呼んでいます。

    朝登園したら、好きなおしごとを自分で選び、自由に行うことができます。

    おしごとには

    • 靴を脱いで綺麗に並べる
    • 机を拭く
    • おやつや昼食時にテーブルセッティングをする
    • 花を生ける
    • 縫い物をする
    • サンドペーパーをなぞって文字や数字を覚える

    などさまざまなものがあります。子供たちはおしごとを通して、日常生活の練習をしたり、早期教育を受けたりして成長していきます。

    一方、シュタイナー教育では、自然のものを使って芸術的な活動をしながら学んでいくことが特徴です。

    幼児期には、例えば、どんぐりなどの木の実や布、石など身の回りにある自然の素材でできたものをおもちゃにしておままごとなどをして遊びます。

    また、シュタイナー教育では、さまざまな感覚を育てるために木々、風、土などの自然に接する機会を多く設けており、四季も大切にします。

    教育は芸術であるとされているため、1年生(小学1年生)から12年生(高校3年生)まで、オイリュトミーやフォルメン線描といった芸術的な専科科目を継続して学んでいくことも特徴です。

    シュタイナー教育を受けた有名人についてまとめ

    シュタイナー教育を受けた有名人についてまとめ

    • シュタイナー教育を受けると、その後個性的な人間に成長することができる
    • 問題点もある教育法ではあるが、メリットも多数ある
    • シュタイナー教育を実践している幼稚園を参考にすれば、自宅でもシュタイナー教育を取り入れられる

    シュタイナー教育とはどのような教育法なのか、また、シュタイナー教育を受けた有名人のエピソードなどをご紹介しました。

    シュタイナー教育は個性を重視する教育をしているため、子供をのびのびと育てることができ、子供の才能を伸ばす効果が期待できます。

    ただし、学校法人として認められていない学校に通うとなると、卒業資格が得られないという問題点もあります。

    その他にも、大学受験ができる学力が身に付かない場合があるなど、一般の学校の子供と差が付いてしまうことも考慮した方がよいでしょう。

    メリットとデメリットを踏まえた上で、シュタイナー教育を取り入れたいと思った方は、ぜひ今回ご紹介した内容を参考にしてみてください。