過去問はいつから解くの?赤本を使った共通テスト対策の方法や何年分が目安かまで解説

「大学受験では過去問をいつから使い始めるの?」

「過去問の買う時期や効果的な使い方ってあるの?」

大学受験を考えている高校生ならこのような疑問を持っている人は多いのではないでしょうか。

過去問を解けば問題の傾向がわかるので試験対策としてはかなり効果的です。しかし解き方や使い方を間違えると効果がないこともあります。

そこでこの記事では過去問で志望校合格という最高の結果を引き寄せる方法を紹介していきます。

大学受験では過去問をいつから使うかについてざっくり説明すると

  • 過去問は高3の夏ぐらいから始める
  • 志望校の過去問は最低10年分は解く
  • 過去問では本番を意識する必要がある

過去問演習はいつから始める?

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過去問演習は受験勉強の最後の仕上げに使うものであり、志望校に合格するためには解いておくことは必須です。どのように使うかが合否を分けるといえます。

ここでは東大生の目線で、過去問を「いつから始めるか」「最適な使い方」について解説していきます。

2次試験対策は高3の夏〜秋から

高校生が過去問を使いだす時期で最も多いのが夏から秋にかけてです。 実際大学に合格した人に対するアンケートでも以下のような結果が出ています。

開始時期 割合
8月以前 19%
8月 17.5%
9月 14%
10月 14%
11月 9.5%
12月以降 22.5%
その他 3.5%

出典:ベネッセ 教育情報サイト「いつから?何年分?志望大の過去問に関する疑問を解消!」

表を見てわかるように、いつから過去問を解き始めているかというとズバリ「夏までに」です。半数以上の高校生が解き始めています。

特に2次試験対策をするなら夏、遅くても秋までには必ず解き始めてください。

過去問対策には時間がかかるので冬に始めたのでは遅いです。また科目ごとにかかる時間が異なるので夏ごろに1度は目を通すようにしましょう。

試験で問われる内容をざっくりとでも知っておけば対策がしやすくなります。

教科ごとにかかる時間が異なる

大学受験の対策は科目ごとにかかる時間が異なるのでそれぞれ理解しておく必要があります。

一般的に国語・数学・英語の3科目は対策に時間がかかるので本試験に間に合わせるために過去問を解き始める時期は早めにすべきです。

いつからという決まりはありませんが、遅くても夏ごろにはドンドン進めていくのがベターです。もし基礎学習がすでに終わっているのであれば夏を迎える前に始められればベストといえます。

理科と社会は暗記・知識の要素が大きいので基礎学習が遅くなる場合もあります。その時は過去問を解き始めるのが少し遅れても問題ありません。

このように科目別の特徴を理解して過去問を解き始めてください。

第3志望以下は直前期で十分

「過去問」とひと言でいっても、学校や学部の数だけ過去問はあります。今まで説明してきた対策方法は第一志望校のものです。

第一志望校の合格率を最大限高めるために夏から集中的に対策を講じていくのです。一方第3志望以下の学校に関してはそれほど重点的に過去問を解いて対策を講じる必要はありません。

むしろその時間があれば第一志望校向けの勉強をすべきです。しかし第3志望校とはいえ全く対策なしでは不安です。

そこで第3志望校は試験の2週間ほど前から過去問を解いて試験内容を把握するようにしましょう。 あくまで「目標」を達成できるように第3志望校は後回しにしていってください。

センター試験の過去問は11月ごろから

2021年度からセンター試験に変わって導入される共通テストに関しては、対策を11月ごろから始めるのがベストです。

センター試験は主に知識と技能など基礎的なものが問われていましたが、共通テストでは思考力や判断力、表現力なども問われるようになります。

ただセンター試験の良問は引き継ぐとされているので、2次試験の過去問演習をしていく過程で解ける実力はついていくと考えられます。

そのため「形式に慣れる」という意味で11月ごろから共通テストの対策を始めれば問題ありません。それまでは第一志望校の対策を重点的に行っていくようにしましょう。

共通テスト対策は通信教育や予備校を積極活用しよう

問題は共通テストにはまだ過去問が1年分しかないことです。2021年度が初回なので過去のデータから出題範囲や問題の難易度などを正確に理解することはできません。

独学での対策する場合だと、共通テストの正しい対策方法を見誤る可能性が高まるので、できれば通信教育や予備校を活用するのがおすすめです。

予備校の場合は、共通テスト向けの授業で出題頻度の高い箇所を直接指導してもらえたり、講師から直接最新の情報を手に入れることができます

また、地方で予備校に通うのが難しい方や、部活動などで忙しい方は通信教育を活用して、共通テストに向けて必要な実力を身に付けるようにしましょう。

以下の記事では、通信教育・予備校各社の特徴について詳しく解説しているので、こちらも併せてご覧ください。

高1・高2時点での過去問の使い方

過去問を使いだす具体的なポイントは、基礎を完全に固めたかどうかです。 つまり、基礎が固まっていれば高1~高2の時点で過去問を解いても構いません。

特に中高一貫校の場合は、カリキュラムによっては高3までに基礎が終わってしまいます。そうすると基礎学習が終わるのでドンドン過去問を解いていくべきです。

公立の場合は高3まですべてが終わらないことが多いです。それでも志望校の出題形式などを把握するためにも1年分は試しに解いておくのがいいでしょう。

早めに出題形式などを知っておけば過去問演習をするまでの学習の指針にできるので勉強を効率的に進められます。

志望校の傾向によっても変わる

過去問を解いておくことは重要ですが志望校の毎年の出題傾向によって重要度は変わることも知っておいてください。

例えば志望校の過去の出題傾向を見たところ毎年同じような形式の出題が目立つようであれば過去問による対策はかなり重要です。過去問対策は早めに始めた方がいいでしょう。

しかし出題形式に毎年統一性がないようであれば他大学と比べて過去問による対策の重要度は下がります。

自分が志望している大学がどのような傾向があるのか、まずはサッと把握してしまうことが大切です。そうすることでどのような対策が必要かがわかります。

正確な対策を講じるためにも基礎が終わった段階でまずは1年分の過去問をやってみるようにしましょう。

過去問は最低何年分・何周解く?

ペンで何かを書いている人の画像

過去問をいつから始めればいいのかわかったと思います。ではどれくらいの分量の過去問を何周くらい解けばいいのでしょうか。

志望校の合格には時期とともに分量や回数も重要ですので、詳しく解説していきます。

過去問は最低10年分解く

過去問はやればやるほど有効ですので、最低でも10年分は解くことをおすすめします。 学校の傾向にもよりますが多くの場合類題が多数出題されるからです。

「こんな感じの問題解いたことがある」のような問題が本試験で出てくれば正答率をかなり上げられて有利です。

10年分というとかなりのように感じますが、高3の夏から少しずつ時間をかけてやっていけば決してハードな量ではありません。

もちろん10年分は最低限の目標ですので、可能であればもっと多くの過去問を解くようにしましょう。

同じ問題でも2周はしたい

過去問を単なる腕試し感覚で1回解いて終わりという人がいますが、同じ問題でも2回以上は解いてください。

過去問は「腕試し」というよりも志望校の問題に慣れるという要素の方が大きいです。

一度解いた問題を復習してもう一度トライすることで理解がより深まるだけでなく、志望校が求めている回答を正確にできるようになります。

量と同じで見出しの「2周」は最低限の回数です。可能であれば3周でも4周でもやって理解度を深めて本試験に挑めるようにしてください。

高校入試の場合は最低5年分を目安に

高校入試でも過去問を使った対策をとる中学生はいるでしょう。そのような人は最低5年分の過去問を解くようにしてください。

高校の入試は大学入試と比べると小規模なので10年分も解かなくても十分に出題傾向を把握できます。ただし、2~3年分程度では傾向を把握するには情報不足です。

正確に出題傾向を把握するためにも最低5年分の過去問を解くことをおすすめします。

すでに説明した通り、過去問を解く時は腕試しというよりも出題傾向や形式を把握することに意識して解くようにしましょう。

赤本とは何か?青本・黒本の違い

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過去問といえば「赤本」をイメージする人は多いのではないでしょうか。しかし有名な過去問には赤本以外にも青本や黒本があります。

では、赤本と青本、黒本はどのような違いがあるのか、また併願校の赤本は買う必要があるのかなどをここでは説明していきます。

赤本の内容

赤本とは教学社が出版していて、日本全国にあるほとんどの大学の過去問を取り扱っているのが特徴です。 また過去問の収録年数も多く、最大では25年分も載っているものもあります。

最もポピュラーな過去問だけあって、書店に行けば必ずといっていいほど見つけることができます。古いものや書き込みなどを気にしなければ中古でも手に入れるのは容易です。

赤本はいつ出版・更新される?

赤本を手に入れる時はできれば最新版、つまり受験する年度のものを探す必要があります。

赤本は通常7~10月の間に新しいものが出版されるので、この間に最新版を購入するようにしましょう。

もちろん、最新版以外のものは通年で売られています。最新版に更新されるまでは古いものを使って過去問に取り組むようにしてください。

青本・黒本との違い

赤本についてはわかったと思います。では青本や黒本とはどのようなものなのでしょうか。具体的な違いは以下の表の通りです。

種類 大学数 掲載年数 解説の詳しさ 出版社
赤本 ほぼ全国の大学 最大で25年分 ポイントを解説している程度 教学社
青本 有名校のみ 2~3年 駿台の講師が解説しているのでかなり詳しい 駿台
黒本 センター試験のみ 赤本とほとんど変わらない 河合塾講師が解説しているのでかなり詳しい 河合塾

赤本と青本・黒本の大きな違いは、大手予備校の講師が解説をしているかどうかです。 青本と黒本は予備校の講師が解説しているだけあってかなり充実した解説になっています。

赤本は何冊必要?

大学入試で必要な赤本は大学共通テストと志望校の分です。 仮に志望校が2つあれば共通テストの分と含めて3冊、志望校が3つあれば合計で4冊の赤本が必要ということです。

2021年度は共通テストが初回ということで過去問はありません。そのため2021年度入試においては志望校の分だけで十分です。

ただし共通テスト対策の演習問題などは買って対策をするようにしてください。なお、滑り止めの大学に関しては赤本を買わなくても構いません。

過去問演習を行う意味

話しを聞いている少年たちの画像

ここまでは過去問演習の効果的な使い方について解説してきました。しかし、過去問演習をする意味を正確に理解していないと使いこなすことはできません。

最大の効果を上げるためにここでは過去問演習を行う意味について解説していきます。

自分の現在の実力がわかる

過去問とは実際に本試験で出題された問題です。つまり実際に解いてみることで自分の今の実力を推し量ることができるのです。

仮に第一志望の過去問を解いてみてかなり余裕で合格点をとれた場合はワンランク上の大学に目標を変えられるかもしれません。

反対に目標点に届いていなかった場合はどこが弱点なのか、どこを重点的に勉強してかなければならないのかがわかります。

過去問演習をすればこうして今後の学習計画に役立てることもできるのです。

志望校の出題傾向を把握できる

過去問演習を解く最も大きな意味は志望校の出題傾向を把握できることです。 毎年どの分野が重点的に出題されているのかがわかれば対策しやすくなります。

例えば英語なら文法の正確な知識なのか長文の速読力なのかによって勉強の仕方は変わります。

社会系なら主に出題される年代があればそこを中心に勉強することが最大の対策です。

つまり志望校の出題傾向がわかれば対策すべき分野や範囲が自ずとわかってくるのです。闇雲に勉強するよりもはるかに効率的でメリットがあるといえるでしょう。

本番試験の形式に慣れる

過去問で出題形式に慣れられることも過去問を用いて勉強をするメリットです。 例えば大問ごとの時間配分をシミュレーションできます。

「30分までにはここまで解けていないと全問解けない」などの目安がわかっていれば、試験中でも柔軟に対応できます。

つまり、本試験を受けていなくても本番でしかわからない感覚を身につけられるのです。

また「ここでリスニングが入る」などの特徴がわかっていれば、大問1からではなく他の大問から始めるなどの対策も練れます。

本試験で類題が出題されることも

試験は毎年全く新し問題が出題されますが、類題が出題されることも多々あります。 過去問を解いておくとこのような類題に遭遇した時に大きなアドバンテージになるのです。

どのようなことが問われているのかが事前になんとなくわかっているだけで問題の難易度は大きく変わります。

類題を頼りにしてはいけませんが数年おきに出題されることが多いので、過去問を解いておくことには大きな意味があるのです。

類題に遭遇できる確率をアップさせるという意味でも10年以上の過去問を解いておくようにしましょう。

過去問を使ったおすすめ勉強法

「プランB」とかかれた画像

過去問を最大限活かす解き方がありますので、ここでは具体的な使い方を紹介していきます。

時間配分を意識する

すでに説明した通り過去問を使えば本番の形式で解けるので時間配分を正確にはかることができます。時間配分は本試験が終わるまでつきまとう課題です。

そのため過去問演習の時からタイマーを使うなどして得点を最大化できる時間配分をしっかりと把握するようにしましょう。

おすすめの解き方ははじめは普通に問題を解いてみて、2回目以降は制限時間の9割で解き切れることを目標にして少しずつそれに近づけていく方法です。

時間は意識して解いてみないと速く解けるようにはなりません。特に本試験では緊張してしまうので時間がかかってしまいます。

普段から時間を意識した訓練をしないと本番でうまくいきません。過去問では時間を十分に意識するようにしましょう。

苦手な大問は集中的に解く

難関大学の問題でもいつも比較的スムーズに解ける問題があります。一方で何度やっても解けない大問にも出くわすかもしれません。

そのような時は苦手な大問を集中的に解くのが効果的な過去問の使い方です。 同じ大学でも特にできる問題とできないものが出てくるのには必ず理由があります。

できない理由を探るという意味でも苦手な大問を解きまくることは有効です。また、できる問題を繰り返し解く必要はありません。

苦手分野に特化した学習をすることで志望校に合格しやすくなります。できる問題を解くことは安心ができて楽しいですが、苦手な問題を解けるように集中的にやるようにしましょう。

記述の添削を受ける

過去問は志望校対策においてかなり有効な教材です。解説を含め覚えるほど解くことは有効です。しかし、記述問題のような一人では十分に採点できない問題もあります。

そのため、過去問を最大限活かすためにも信頼できる先生やチューターなどを使ってしっかりと添削をしてもらうようにしましょう。

解答と照らし合わせて自分では合格点の回答と思っていても、本試験の基準では不合格という場合も多々あります。先生などに添削してもらうことでこのような齟齬を改善できるのです。

また、人に見てもらうので問題を解く時の気持ちの入り方も変わってきます。ぜひ添削をしてもらえるのであれば、積極的にしてもらうようにしましょう。

復習を絶対に欠かさない

過去問の価値を最も高める解き方・使い方が復習です。 過去問はその大学が出している唯一の公式問題集といえる存在です。

つまり、過去問の内容を正確に理解することができれば合格に大きく前進できるといえます。そうとわかっていても一度解くとほったらかしにしがちです。

しかしそれでは問題形式や知識を定着させられずもったいないです。必ず復習をして身につけるようにしましょう。

なお、復習は合格に必要な知識や情報をえることが目的ですので、解く時以上に時間をかけても構いません。

むしろ理解できるまでじっくりと解く癖をつけるようにしてください。

ノート作成は意味ない?

過去問を解いてポイントなどをまとめるためにノートを作成する人がいます。知識の定着度などが上がって有効という人もいるでしょう。

しかし、決して作らなければならない必須のものではありません。私自身は作っていませんでした。

その理由はいくつかありますが、人によってはノートを作ること自体が目的化してしまう場合もあるからです。

受験期は時間がかなり貴重で少しも無駄にはできません。もしノートを作ることが目的化してしまっていては時間の無駄です。

自分に合った復習方法を見つけてそれを実践するようにしましょう。 それがノートを作ることであればやっても構いません。

何周も解き直そう

すでに説明した通り、過去問を活かし切るためには復習をした上で何周も解きまくることが大切です。

何度も何度も問題を解くことで志望校が求めている回答ができるようになります。これは公式問題集ともいえる過去問でなければここまで追求できません。

新しい問題に挑戦するのと同じくらい一度やったことがあっても過去問の問題に触れることは大切です。そうすることで志望校の問題になじめるようになります。

なお、何度も使えるように問題集には書き込みはせずに印刷したものを使うようにしましょう。また過去問は最低でも2周はするようにしてください。

直近の過去問は残すべき?

直近の過去問は残す、というよりも直前期の最終調整に使うようにしましょう。

「過去問から類題が出題されることがある」と説明しましたが、直近のものからはなかなか類題は出題されません。

そういう意味では時間をかけた復習などをする重要度は相対的に低くなります。まずは古いものから順に過去問を解いていくようにしましょう。

ただし、「直前期まで一切触れない」というのも危険です。出題形式や傾向が変わっている可能性が考えられるからです。

変化に対応できるように問題を解かなくても、変わった点はないかなどのチェックは事前に行っておくようにしましょう。

勉強の仕方に迷いがある人必見、科目ごとの効率的な勉強法に関して知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

大学受験では過去問をいつから使うかについてのまとめ

大学受験では過去問をいつから使うかについてのまとめ

  • 過去問は基礎が固まった時点で解き始める
  • 過去問は最低でも10年分を2周は解く
  • 大学によっては青本や黒本を使う
  • 過去問を使う時は出題形式や時間配分を意識する

大学受験では過去問を基礎が固まった時点で使いだすようにしましょう。 いつからかというと、一般的には高3までに基礎部分の学習が終わるので、多くの人が高3の夏くらいには始めています。

過去問を解く意味は出題傾向を把握することがあります。そのため1~2年分ではなく最低でも10年分の過去問を2周は解くことがおすすめです。

ここまで解けば出題傾向や癖のようなものがわかるようになります。過去問には赤本以外にも予備校が出版している青本や黒本もあります。

予備校が出版しているだけあって解説が詳しいので、志望校の青本・黒本があれば買うようにしてみてください。

なお、過去問を解く時は出題形式や得点を最大化できる時間配分の把握に努めるようにしましょう。

ここまでやっても不安を感じるような人は進研ゼミなどの通信教育がおすすめです。好きな時間に学習ができるので忙しい人にも有効です。