高校受験で部活は有利になる?内申点への影響から地域ごとの加点方法まで解説!

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「受験生だけれど、部活動がどれくらい評価されるのか気になる」

「部活動をやっていると、高校入試の内申点が有利になるというのは本当なの?」

このような不安を抱えた受験生も多いのではないでしょうか。

この記事では、中学生の部活動と内申点の関係について、詳しく解説しています。部活動について、親御さんを始めとする周りの大人との価値観のギャップに悩んでいる人は、ぜひ参考にしてくださいね!

部活と高校受験内申点の関係をざっくり説明すると

  • 部活動の評価はあまり内申点と関係ない
  • 勉強にこだわるあまり部活動をやめるのは逆効果
  • 私立高校などでは、推薦をもらえる要件になる

高校受験と部活の両立

ノートと鉛筆

中体連の関係などで、部活動を夏に終了する人も多いのではないでしょうか。また、夏休みでまとまった学習時間が確保しやすいため、受験勉強は夏から始めるべきと言われています。

ですが、文化系の部活動などでは夏以降も活動するケースも多いでしょう。

したがって、受験勉強と部活を両立させる場合には、中学1年から勉強習慣をつけて基礎学力を確保しなければなりません。学年別に、詳しい内容を見ていきましょう。

中学生の自宅学習は復習がメイン

中学生では、コツコツと努力を積み重ねるのが大切です。先生などからもよく言われることですよね。

中1や中2は、受験について具体的なイメージをつかんでいないことも多く、部活動で忙しいと学習時間も限られてしまいます。そのような状況の中では、短時間で効率の良い学習方法を学ばなければなりません。

特に、入学したばかりの1年生は体力が追いついていないので、集中できる時間が上級生に比べて短い人が多いのではないでしょうか。この場合は、復習を中心にした自宅学習を心がけましょう。

復習の具体的な方法は?

「復習といってもどこから手を付ければいいか分からない」という人は、まずは学校の授業の成果を振り返ってみましょう。具体的には、次のような方法があります。

  • 教科書の問題演習を自力で解いてみる

  • 先生の板書を、教科書などを利用してもう一度自分の言葉でまとめ直す

  • 学校の授業内容を問題集で解いてみる

何よりも大切なのは、毎日少しずつでも続けてやることです。30分~1時間でも構いませんから、継続的な学習を心がけましょう。

定期テスト一週間前は勉強に集中

定期テスト1週間前になると、部活動停止期間に入る学校は多いものです。いつもよりも多くの勉強時間が確保できますから、全集中で気合を入れて、勉強と向き合いましょう

例えば、定期テスト前にワーク提出が義務付けられていたとしたら、早めに終わらせてしまいましょう。後回しにすると学習計画に無理が出て焦りがちですから、予備日を設けるなど余裕のある計画を立てると、成績アップにつながります。

また、学校の定期テストの難易度は入試問題と比較すると易しめです。市販のテキストを利用する際も、それに合わせて簡単なものを選ぶと良いでしょう。

中学三年の夏から受験勉強を始める

受験勉強は、どれほど遅くても中3の夏休みから始めるべきです。全国大会へ出場するようなレベルの運動部や吹奏楽部など文化系の部活は、夏休み中であっても、まだ引退していないかもしれません。それでも受験勉強に着手しましょう。

中1や中2のうちから部活動に力を入れる一方で、自宅学習を習慣づけていると、受験生になったときには勉強が生活の一部になっています。このような場合は、受験勉強と部活を両立させられる可能背が高いです。

また、夏期講習をきっかけに中3の夏から塾に通い始める生徒は多いと言われています。ただし、地域や家庭の事情などにより通うのが難しい場合は、映像授業の利用も検討してみましょう。

受験勉強と部活は切り替えが大事

各種大会で良い結果を出していた場合には、ギリギリまで部活動に打ち込みたいという人もいるでしょう。その場合には、後悔しないように部活に力を入れてください。未練が残ると、受験と部活の切り替えが難しくなります。

内申書と部活の関係について

猫

内申点と部活動の関係について気になる人は多いのではないでしょうか。両者の関係について理解するには、まずは内申点について正しい知識を得ることが大切です

最初は、内申書と学力検査の関係から着目していきましょう。

内申書と学力検査の関係

内申書は、高校受験の際に受験生の中学校での学業成績や活動全般の記録の総称を指します。

まずは各教科の1~5で評価した点数の合計値が内申点です。これに生徒会や部活動、ボランティアなどの校外活動を点数化して加算したものが調査書と呼ばれます。

言い換えると内申点+中学での活動の点数が調査書の点数となるわけですが、実際には学校での各種活動の点数はほとんど考慮されません。

内申書と学力検査の関係は?

原則として、高校受験では学力検査(筆記試験)と内申書を合計した値で合否を判断します。ですが近年は学力検査を重視する風潮にあると言えるでしょう

数値化する上で先生の主観が入りやすい内申点は、点数の基準があいまいで格差が生じやすいと言われています。したがって、学力が反映される学力検査が重視されるのです

どのような場合に内申書が使われるの?

ただし、内申書も一定の価値はあります。なぜならば、学力試験で同点ラインに並んだ際には、合否を分ける判断基準として内申書が用いられるからです。

例えば、学校での素行に問題があり内申点が悪い場合は、学力検査の点数が良くても不合格になるケースがあります。逆に部活動をきっかけに推薦入試での合格になる場合もありますが、それについては後で説明しましょう。

もっとも、地域によって内申書の比重は異なります。また、記載学年も都道府県ごとに異なるため、自分の住んでいる地域の正しい情報を仕入れましょう。

部活をやめても受験とは関係ない

一般受験の場合は部活動から退いても受験への影響は少ないでしょう。ただし部活をやめたことで気が抜けてしまい、学業に専念するどころか、成績が下がってしまうケースもあります

また、私立や偏差値が50以下の高校では部活動での実績を評価することも多いので、引退前に辞めると影響が出ることもあります。したがって、受験のために部活動をあきらめるのはお勧めしません

高校受験関係なく部活はやるべき

もっとも、「高校受験へのメリットが少ないから部活に参加しない」という安易な考えは禁物です。学生時代の部活動を通して上下関係や忍耐力を学んだという経験を持つ大人は多いものです。

また、中学で一番仲が良かった友人は部活仲間だったという意見も、よく見かけるのではないでしょうか。部活で辛いことがあっても、困難を乗り越えて続けたという経験は、その後の人生で自信をつける素材になります。

さらに部活に積極的に参加していなくても、生徒会や委員会活動において誰かと協力して物事を成し遂げた経験は、社会生活でも重宝されます。

部活や生徒会・委員会で学んだ社会性や人間性は、高校受験で直接評価されなくても、後で必ず役立つと覚えておきましょう。

部活で優れた成績を残した場合

トラック

部活動で県大会のベスト8まで勝ち残ったなどの実績があると、一部の地域や高校によっては、調査書の加点対象になり得ます。ただし、実際にはどの程度反映されるのか、実態がつかみにくいのが現状ではないでしょうか。

今度はその具体的な内容について、解説しましょう。

ほとんどの地域では調査書点に加点がつかない

調査書の総合点は、内申点と「特別活動などの記録の得点」、「その他の項目の得点」などを合わせて評価されます。先述のように、部活動で優れた成績を残していたり、特定の資格に合格していたりすると活動の記録として点数化するケースもあります。

もっとも、部活で残した戦績などが直接加点対象として扱われるケースは少なく、一般入試の同点ライン上で、初めて合否材料として考慮されるのが大半でしょう。

ただし、例外的な都道府県や学校も存在します。関東圏の代表例として、埼玉県千葉県を見てみましょう。

※下記の記述は執筆当時の情報をもとにしています。最新の情報につきましては、各都道府県のHPからご確認ください。

埼玉県は60点分の加点がある

埼玉県では、次のような基準が示されています。

内申点

中1 中2 中3
9教科✕5=45 9教科✕5=45 9教科✕5✕2=90

特別活動の記録:60点

その他の項目:10点(英語検定準2級以上、漢字検定2級以上など)

特別活動の記録の加点対象については公表されており、県大会出場以上が加点対象です。関東大会や全国大会に出場した場合は、ボーナス点がアップするでしょう。また、部長や副部長などの役職も加点対象です。

千葉県は高校によって加点が異なる

千葉県では、次のような基準が示されています。

内申点

中1 中2 中3
9教科✕5=45 9教科✕5=45 9教科✕5=45

上記の合計135点に加えて、「他○○点」という表記があり、ここに部活動や委員会活動の記録が記載されます。加点の幅は5~50点と高校によって幅があり、県大会出場や部活動の役職などが加点対象と明言されていますから、積極的に挑戦するのが良いでしょう。

かつては千葉独自の算式補正が存在し最大で135点まで加点されていましたが、今年度からルールが変わり、上限50点に変更されました。また、加点幅やどのような行動が対象になるのかは学校によってまちまちですから、志望校の加点幅などは入念に確認しましょう。

推薦でより高いランクの高校を目指せる

私立高校で部活動に力を入れている高校は多いものです。したがって関東大会や全国大会への出場実績があると、自己推薦で私立高校を目指す際に、大きなPR材料になります

また、自己推薦は面接を行う学校がほとんどですが、かなりの確率で、中学校でどのようなことに打ち込んだのかを問われます。私立高校では、スポーツ分野や芸術面に優れた人材を求めていますから、大規模な大会での入賞などは、部活に力を入れて優秀な成績を残したことを印象付けられるでしょう。

さらに自己推薦を利用すると、レベルの高い高校を狙えるのでおすすめです!

スポーツ推薦がある

中学校で県大会入賞やブロック大会への出場などの優秀な成績を残し、高校でも部活を継続させたいと考えている中学生もいるかもしれませんね。

関東近郊では、スポーツ推薦は「高校からの直接スカウト」と「練習会やセレクションへの参加」の2種類があります。ここで合格しなかった場合は自己推薦の利用も考えられますが、難易度は高いと言わざるを得ません。

それでは、2種類のスポーツ推薦について具体的な内容について見ていきましょう。

高校側からスカウトがくる

サッカーや野球などのチーム戦で県大会の上位に食い込んだり、個人で県の選抜チームに選出されると、高校からのスカウトを持ちかけられることがあります

また、個人戦であっても関東大会への出場権の獲得など優秀な成績を残していると、スカウトされることもあるでしょう。

スカウトのタイミングは、3年生の夏の大会の引退後に、中学校の顧問を通して話を舞い込むことが多いです。

練習会やセレクションに参加

スポーツの強豪校では、中学3年生の入部希望者を対象にして行う「練習会」や「セレクション」を開催している学校もあります。いわば、入学後の入部を前提とした実技試験のようなものであり、ここで高校が求める基準をクリアしていると、内々定をもらえるのです。

あとは、学業面の成績も足りていれば学校から推薦されて、入学が内定します。実力が十分に発揮できなくてもリトライできることもありますから、何度でも連絡して参加させてもらいましょう

部活動で志望校を決める場合も

志望校を決める際に、部活が決め手になる中学生も多いものです。

中学校で取り組んでいたスポーツや吹奏楽などを、強豪校に入ってさらに打ち込んで実力を伸ばしたいという人もいるのではないでしょうか。

ただし、推薦枠には限りがあります。全国大会へ出場していても団体競技だったりした場合は、学業の成績が不十分だと推薦要件に足りないと判断される場合もあるでしょう。そのような事態を想定して、一般受験でもチャレンジできるように、日頃から勉強にも力を入れておきましょう。

パーソナルプレゼンテーションで自分らしさをアピールしよう

サムアップ

最後に、「パーソナルプレゼンテーション」と部活の関係について解説します。

パーソナルプレゼンテーションとは、「発表を通して自己の能力や個性を表現すること」と定義されており、都内では都立晴海総合学校都立葛飾総合高校などで取り入られている制度です。

晴海総合高校は集団討論や自己PR、葛飾総合高校は3分間の間に自分の特技や発表を通して、自分らしさを演出します

学校ごとにやり方は異なるものの、吹奏楽部の人が楽器演奏をしたり、リズム感のある人がヒップホップを披露する光景を、ニュースなどで見たことがあるのではないでしょうか。

葛飾総合校のようなスタイルのパーソナルプレゼンテーションでは、部活で得たスキルを十分にアピール材料として宣伝できます。「上手い」「下手」という点よりも自分らしさの演出が目的ですので、パーソナルプレゼンテーションを取り入れている志望校の人は、あらかじめ何をPR材料にするのか準備しておきましょう。

部活と高校受験内申点の関係まとめ

部活と高校受験の内申点まとめ

  • 部活動で得た経験は入試に直結しなくても役に立つ
  • 内申点における部活動の評価は地域や学校によって比重が変わる
  • 私立高校の入試ではスポーツ推薦で部活の経験がPRしやすい

近年は中学生の部活について批判されることも多く、学力を重視する傾向にあります。ですが内申点を伸ばすためだけに部活に参加しているわけではなく、辛いことがある反面で、部活の楽しさや面白さも知っているから続けている中学生も多いのではないでしょうか。

繰り返しになりますが、内申点も大切ですが部活動での経験は、社会に出てから発揮されることが多いです。内申点のためだけではなく、まずは自分自身のために積極的に参加してくださいね!