やさしい理系数学(やさ理)のレベルは?問題数から難易度・使い方まで詳しく解説!
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「やさしい理系数学のレベルってどのくらい?」
「問題数は?どのような使い方をすれば良いの?」
などと疑問をお持ちの方もいるでしょう。
やさしい理系数学(やさ理)は、難関大学を目指す理系学生向けの参考書です。それほど「やさしい」わけではないので、青チャートなどの網羅系参考書の後に用いるのが良いでしょう。
今回はやさしい理系数学のレベルについて、問題数や難易度、おすすめの使い方などを解説します。
これを読めば、ご自身がやさ理を使うべきかどうかやどのように活用すれば良いかがよくわかるはずです。
やさしい理系数学のレベルについてざっくり説明すると
- 旧帝大や難関私立を目指す理系学生向け
- 基礎をしっかり固めてから使うべき
- 教科書レベルの解法を使う前に1手必要となるような問題を収録
やさしい理系数学(やさ理)とは?
この記事では、「やさしい理系数学」を使用して国立医学部に合格した筆者が、この参考書について詳しく解説します。
やさ理の問題数や構成について
まずは「やさ理」の基本情報をお伝えします。
項目 | 内容 |
---|---|
題名 | やさしい理系数学 |
著者 | 三ツ矢和弘 |
出版社 | 河合出版 |
価格(税込) | 1,386円 |
ページ数 | 135ページ |
サイズ | A5 |
問題数 | 計200問 |
構成 | 50例題+150演習問題 |
やさ理はやや難関レベルの入試に頻出の重要な良問200題が収録された問題集です。50の例題で解法アプローチを学んだ上で演習問題150問を解き、発想力やセンスを磨くことができます。
やさ理の特徴は?
以下では、やさ理を使ったことがない人が勘違いしやすいポイントについていくつか解説します。
本当に「やさしい」のか?
上記で解説した通り、やさ理はやや難関レベルの大学を受験する学生向けの参考書です。よってそのレベルに対して「やさしい」ということであるため、万人にとって簡単であるわけではありません。
実際、高校数学の参考書全体で見ると、比較的難易度が高い参考書であると言えるでしょう。
よって「やさしい」という文言を真に受けて、初心者がこの参考書に手を出すのはおすすめできません。
問題の質が高い
やさ理には実際の入試問題からの抜粋で構成されており、必然的に受験対策に直結するような良問が多いです。
チャート式などよりもワンランク上の、難関大学での頻出問題の網羅系問題集と言えるでしょう。別解も豊富なので、多角的な観点なら問題を考えることができ、難関大入試でも通用する応用力が身につきます。
青チャートなどの網羅系参考書で学んだことをアウトプットを通して確認し、さらに実力を伸ばしたいという方におすすめです。
解説が丁寧ではない
やさ理の解説は「やさしい」という名前からイメージされるような丁寧でわかりやすいものではありません。
基本的には端的かつ簡潔であり、どこからその発想が出てきたのかなど、数学が苦手な人が知りたがるような情報は掲載されていないので注意が必要です。
よって、やはりある程度の上級者向けであり、数学が特別得意でない人が完全な独学で使うにはややハードルが高い参考書と言えるでしょう。
やさ理の難易度・レベルは?
上記で解説した通り、やさ理は決して「やさしい」わけではありません。レベルの高い参考書なので、旧帝大や難関私大、医学部医学科を目指さないなら手を出さなくて良いでしょう。
以下ではやさ理の難易度・レベルについて詳しく解説します。
やさ理に向いてる人
やさ理は以下のような人におすすめできます。
- 基礎が完成している人
- 旧帝大や医学部医学科を狙う人
- 以下で解説するやさ理レベルの問題が解けそうだと思う人
やさ理はすでに数学の基礎が固まっている人、具体的にはセンター試験(共通テスト)で9割近い点数が取れるような人におすすめです。
また目安の志望校レベルとしては、旧帝大以上や医学部医学科などが挙げられます。
なお、後述するやさ理に登場するような問題が解けそうだと思うなら、それ以外の大学を志望する場合でも使ってみると良いでしょう。
やさ理より簡単な問題集
やさ理よりも簡単な問題集としては、「1対1対応の演習」や「青チャート」などが挙げられます。これらはどちらも良質な網羅系参考書です。
やさ理を使う前にはまずはこれらの例題の解き方をある程度マスターしておくのが良いでしょう。なお、これら網羅系参考書を完璧にするだけでも相当な力がつくので、それだけでも大抵の入試なら十分乗り切れます。
ちなみにそれら参考書の問題例は以下の通りです。
f(x)=logx(x>=1),f(x)=(ax+b)/x+1がx=1で微分可能になるようなa,bの値を求めよ。(防衛大)
これは教科書レベルに定義を理解していれば簡単に解くことができます。上記2冊に収録されている問題の7割は概ねそのような難易度です。
1対1や青チャートの基本情報
やさ理の前に取り組むべき網羅系参考書2冊の基本情報は以下の通りです。
項目 | 内容 |
---|---|
題名 | 1対1対応の演習 |
著者 | 東京出版編集部 |
出版社 | 東京出版 |
価格(税込) | 数学I:1,210円 数学A:1,210円 数学II:1,650円 数学B:1,210円 数学III(微分積分編):1,540円 数学III(曲線・複素数編):1,210円 |
ページ数 | 数学I:116ページ 数学A:120ページ 数学II:164ページ 数学B:112ページ 数学III(微分積分編):152ページ 数学III(曲線・複素数編):104ページ |
特徴 | 教科書レベルの知識を理解し入試標準レベルの数学力をつけるためのシリーズ・トリッキーな出題も多いので難易度は高め |
使用感 | レベルが高いのでしっかりやればかなりの実力がつく |
項目 | 内容 |
---|---|
題名 | チャート式 基礎からの数学 |
著者 | チャート研究所 |
出版社 | 数研出版 |
価格(税込) | 数学I+A:2,101円 数学II+B:2,365円 数学III:2,156円 |
ページ数 | 数学I+A:512ページ 数学II+B:644ページ 数学III:512ページ |
特徴 | 教科書レベルから入試発展レベルの必須問題を効果的に配列した問題集・同系統及び同タイプの例題をまとめて収録 |
使用感 | 演習量が豊富(例題300程度)で段階的に実力が付けられる工夫もされているので良い |
やさ理と同じくらいの難易度の問題集
やさ理と同レベルの問題集としては、「新数学スタンダード演習」が挙げられます。問題数の多さが特徴なので、とにかくたくさん演習をこなしたいという方におすすめです。
一方で答えを導くための様々なアプローチを知り、入試での対応力を身に付けたいというなら、別解が豊富なやさ理が良いでしょう。
なお、やさ理レベルの問題例は以下の通りです。
(1) 4次関数f(x)=ax+bx+cx²+dx+eのグラフがy軸に関して対称な2点において極小となるならば, このグラフはy軸に関して対称であることを示せ。
(2)x=-1 および x=1 のとき極小値-1をとり, 極大値が4であるようなxの4次関数を求めよ。(広島大)
上記は「y=f(x)がy軸に関して対称であること」と「f(x)が同値であること」を言い換えられれば、偶関数の性質を利用して比較的に簡単に解くことができます。
このように、教科書レベルの知識を活用するまでに1つ工程を踏まなければならないような問題が多いです。逆に1手加えさえすれば、大抵の場合は教科書レベルの解法に落とし込むことができます。
新スタの基本情報をチェック
「新数学スタンダード演習」の基本情報は以下の通りです。
項目 | 内容 |
---|---|
題名 | 新数学スタンダード演習 |
著者 | - |
出版社 | 東京出版 |
価格(税込) | 2,550円 |
ページ数 | 192ページ |
特徴 | 入試の典型問題の解法を別解も含めて効率的にマスター・「1対1対応の演習」からスムーズに接続できるような設計 |
使用感 | 典型問題に数多く触れることができて尚且つ思考力も鍛えられるので良い |
やさ理より難しい問題集
やさ理とようも難易度が高い問題集としては「ハイレベル理系数学」や「新数学演習」が挙げられます。
これらは難問揃いの問題集なので、東大・京大や医学部医学科を目指す人のうち、数学を得点源にしたいという方におすすめです。得意な数学にさらに磨きをかけることができます。
よって数学ができる人にとっては良書ですが、そうでない人が気軽に手を出すべきではないとも言えるでしょう。
なお、それら問題集の出題例は以下の通りです。
曲線y=x^3+ax^2+bx+c がx軸に接し、また、この曲線と直線 y=dとの交点のx座標が連続した3整数である。このとき、この曲線とx軸によって囲まれる図形の面積を求めよ。(大阪大)
上記と通り、関西のトップ大学である大阪大学の過去問ということもあり、難易度は申し分ありません。
これを解ける人は、問題文を見た時点で以下の2点を思いつくはずです。
- 交点の座標を求めるのに方程式の解を用いるでろうこと
- その後は解と係数の関係を利用すれば良いこと
このように、問題文の条件から瞬時に解法を判断したり、うまく立式ができるだけの数学的センスが必要になります。相当なハイレベルな問題だと言えるでしょう。
よって上記2冊に進む前に、十分な問題演習をこなし、そうしたセンスを養っておかなくてはなりません。
なお、上の問題にはグラフを平行移動させるという解法もありますが、いずれにせよテクニカルな処理が必要です。
ハイレベル理系数学などの基本情報
やさ理よりも難易度が高い2冊の問題集の基本情報は以下の通りです。
項目 | 内容 |
---|---|
題名 | ハイレベル理系数学 |
著者 | 三ツ矢和弘 |
出版社 | 河合出版 |
価格(税込) | 1,452円 |
ページ数 | 161ページ |
特徴 | 難関大学入試に頻出の重要問題の解法アプローチをマスター・構成はやさ理と同じ50例題+150演習問題 |
使用感 | 数学の深さを味わいたい人におすすめの最高級 |
項目 | 内容 |
---|---|
題名 | 新数学演習 2020年9月号 |
著者 | - |
出版社 | 東京出版 |
価格(税込) | 1,610円 |
ページ数 | 168ページ |
特徴 | 発展レベルの問題演習で発想力をはじめとする本格的な数学力を鍛えることができる・難関大学を狙う理系向け |
使用感 | 難しい問題ばかりだが一度経験しておくことで入試では有利になるはず |
上記の通り、「ハイレベル理系数学」はやさ理と同じ三ツ矢和弘氏の著書なので、合わせて使えば一貫性があって良いでしょう。
また東京出版で揃えて、「1対1対応の演習」から「新数学スタンダード演習」、そして「新数学演習」という順番で勉強するというのもおすすめです。
ただし、このレベルの問題集まで進むべきなので、限られた一部の学生だけなので、一般的な生徒ならやさ理、もしくはその前の網羅系参考書で十分でしょう。
東大生がおすすめする数学参考書18選について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
やさ理の使い方は?
やさ理は難易度の高い参考書なので、基本的にはある程度時間に余裕がある人に向いています。しかし、そうでないという人も使い方によっては、十分活用することが可能です。
なお、やさ理の問題は一つひとつ難易度が高く、解くのにはかなり時間がかかるので、初見で解けた問題をもう一度解く必要はないでしょう。
入試まで時間のある人
時間に余裕があるなら、前から順番に1問あたり15〜20分程度かけて自分なりの答えを出し、それから模範解答を読み込んで解法をチェックするという作業を繰り返すのが良いでしょう。
ポイントは15〜20分を超えては考え続けないということです。やさ理にはいくら考えても手が出ないという問題もあるので、時間を浪費しないように気をつけましょう。
なお、問題を解けば解くほどセンスは磨かれるので、時間の許す限り、できるだけ多くの問題を解くのがおすすめです。
また基本的には例題から順番に解いていくべきですが、難易度が高いことを示す印がある問題に関しては後回しにしましょう。
間違いノートを作成しよう
間違えた問題に関しては、問題文と解答、解答に至るまでの思考プロセスの3点をまとめた専用ノートを作るのがおすすめです。
それを問題演習から1、2週間後に復習すれば、解法を効果的に記憶することができます。
また模試や本番直前にそれを見直すと、一気に苦手ポイントの再学習ができるので、良い準備ができるでしょう。
入試まで時間のない人
難関大の入試にある程度対応できるだけの実力をすでに有しており、入試に向けて苦手分野の対策をしたいというのであれば、やさ理を用いるのは非常に有意義です。
その場合は不得意な単元の例題から学習を始めると良いでしょう。
なお、上記に該当しない場合は、短期間ではやさ理を使いこなせない可能性が高いので、手を出すことはおすすめしません。
模範解答を研究しよう
分野や問題を厳選すれば、時間がない中でも1問1問にじっくり取り組むことができます。特に苦手を克服したいという場合は、模範解答を徹底的に読み込み、その内容を十分に研究するのが良いでしょう。
具体的には「なぜその発想に至れるのか」「どうすれば自分からその発想が出たか」などを考察するのがおすすめです。
文系なら文系プラチカが良い
やさ理は難関大学を目指す理系学生向けの参考書ですが、東大や京大などの難関大学を目指す文系の学生は「文系数学の良問プラチカ」を使うと良いでしょう。
文系プラチカは2次試験で数学が必要になるような難関大学を受験する文系学生向けの問題集で、厳選された149題の良問が収録されています。
解答解説には図が多用されているため、理系のトップ学生ほど数学が得意でない文系学生でも問題なく理解できるでしょう。
また問題数が絞られており、1日3題・2ヶ月の演習で難関大学レベルの数学力を完成させることができるので、時間があまりないという方にもおすすめです。
なお、理系数学のプラチカもありますが、こちらは総合的に見てやさ理よりやや易しいという程度の難易度であると言われています。
同じく河合出版の書籍なので、理系プラチカからやさ理、ハイレベル理系数学という順番で進むのも良いでしょう。
以下では文系プラチカの基本情報を紹介します。
項目 | 内容 |
---|---|
題名 | 文系数学の良問プラチカ 数学I・A・II・B |
著者 | 鳥山 昌純 |
出版社 | 河合出版 |
価格(税込) | 1,257円 |
ページ数 | 48ページ |
特徴 | 文系難関大学合格を目指す学生に必須の良問149題を厳選 |
使用感 | 東大・京大・一橋大などの問題が多数収録されているのでこれらを目指す文系に良い |
文系数学のプラチカの詳しい使い方や、受験までのスケジューリングに関して解説した記事は、以下を参照してください。
やさしい理系数学まとめ
やさしい理系数学のレベルまとめ
- まずは青チャートなどの網羅系参考書から始めるのがおすすめ
- 間違いノートを作成すると良い
- 解答解説を読み込んで、発想や解法プロセスをよく研究するべき
やさしい理系数学のレベルについて解説しました。
やさしい理系数学は、旧帝大や難関私大を目指す理系学生が使うべき比較的難易度が高い参考書です。よって使用する前にまずは青チャートなどの網羅系参考書で、基礎を十分に固めるのが良いでしょう。
使い方としては、時間があるなら1問15〜20分を目安にじっくりと考え、その後解答解説をよく読み込むという流れがおすすめです。
また問題文と解答、解法プロセスなどをまとめた間違いノートを作るのも有意義だと言えます。
問題を解けば解くほど数学力が磨かれるような良書なので、難関大学を狙うなら基礎を固めた上でぜひ使ってみてください。