中学生への英語の教え方は?塾講師・家庭教師も使ってる中1からの学年別指導法を紹介
「中学生にはどうやって英語を教えれば良い?」
「塾講師や家庭教師はどんな指導法を使ってる?」
などと疑問をお持ちの方もいるでしょう。
中学生は本格的に英文法を学ばなければいけません。また高校受験を控える中3は長文読解や英作文を練習する必要もあります。
しかし、中学生のお子さんに英語を教えたいが、どうすれば良いのか分からないという方も多いはずです。
そこで今回は中学生への英語の教え方が気になる皆さんに、塾講師や家庭教師も使っている中1からの学年別指導法をお伝えします。
これを読んで、自宅での英語学習にお役立てください。
中学生への英語の教え方についてざっくり説明すると
- 生徒の英語力に合った教え方をするべき
- 宿題は必ずやらせる
- 単語・熟語の暗記は必須
中学生英語の教え方の基本
まずは中学生に英語を教える際に基本となる事柄をお伝えします。
英語を教えるために必要な知識
帰国子女やネイティブなら話は別ですが、英語の素養がない子供に英語を教えるのは至難の技です。
特に中学生になると幼い頃のように感覚的に英語を習得できるわけではないので、文法や単語などからアプローチしていかなければいけません。
そのため、中学生に英語を教える際は、文構造や単語の意味などに関する知識が必要になります。ある程度はそれらに精通していないと、日本語で分かりやすく説明することができないからです。
生徒のレベルに合わせて教える
生徒によって英語力のレベルは違うので、それぞれに合った教え方をする必要があります。
生徒の英語力を知る方法
中学生の英語力を測りたいのなら、まずは日本語の文章を英訳させてみると良いでしょう。英訳は一番難易度が高いので、日本語の文章を正しく英語にできるようならかなり英語ができる証拠です。
また和訳をさせると単語や文法の知識を総合的にチェックすることができます。
より細かい文法の理解度を知りたい場合は、現在形の文章を過去形や過去完了に書き換えたり、肯定文を否定文・疑問文にするなどの具体的なテストをしてみるのがおすすめです。
まずは学校の教科書ベースで
学校の授業についていけなかったり、テストの点数があまりにも悪い場合は、まずは教科書の内容をきちんと押さえるのが良いでしょう。
教科書内容を学べば、英語の基礎が身につくだけでなく、定期テストや公立高校入試の対策にもなるのでおすすめです。
英語が苦手な子の対処法
英語学習は基礎からの積み重ねなので、英語の苦手な場合は、入門的な内容からじっくり学ぶのが良いでしょう。
英語学習への抵抗感が強い場合は、まずは海外ドラマやディズニーアニメなどで英語に慣れることから始めるのもおすすめです。
英語を学ぶメリットを認識させる
英語学習を継続するにはモチベーションが必要です。そのため、英語を学ぶメリットを理解させた上で、勉強させるのが良いでしょう。
とはいえ、英語が将来の社会生活で役立つと言われても中学生には響かないこともあります。その場合はドラマやアニメ、音楽などで英語に触れさせ、英語への興味関心を高めさせるのがおすすめです。
例えば、英語を勉強すれば好きなアーティストの曲の意味が理解できるというなら、中学生にも英語を学ぶ意味がででくるでしょう。
塾講師・家庭教師の英語指導法
ここからは塾講師や家庭教師が実際に使っている英語の指導法を紹介します。
宿題は必ずやらせる
塾や家庭教師を利用したとしても、週に1回の授業で1、2時間勉強する程度です。英語力を伸ばそうと思うとこれだけではさすがに不十分なので、それ以外の時間で自主的な英語学習を行う必要があります。
そのため、宿題をやるというのは非常に良い自主学習になるでしょう。学校や塾、家庭教師で出された英語の宿題は必ずやらせるべきです。
自宅での学習習慣を付けさせ、英語力を効果的に伸ばしていくためにも、宿題をサボることに関しては厳しく対応するようにしましょう。
教材プラスアルファを目指す
教材をただ読むという授業では、先生がいる意味がありません。冒頭に英語で挨拶を交わしたり、教材で学んだ表現を使って生徒と英語でコミュニケーションを取ることで先生の存在意義が大きくなるでしょう。
そのため、塾講師や家庭教師は自分の存在があってこそ生徒の英語力が向上するような勉強法を考えなければいけません。
また自宅で英語を教える際も、親がいるからこそできるような学習法を勉強に取り入れてみると良いでしょう。
学力別にクラスを分けるとよい
学力レベルがバラバラな生徒を一緒にして授業を行うと、勉強が得意な生徒は退屈に感じ、勉強が苦手な生徒は授業が難しいと感じてしまう可能性があります。
そのため、ある程度の生徒を抱える塾では、クラス分けがなされることが多いです。クラスを分けることによって、生徒それぞれの学習効率が良くなる上、上のクラスで学びたいというモチベーションが生まれます。
なお、クラス分けの本質は生徒それぞれのレベルに合った学習をさせるべきだということです。よって自宅学習でもお子さんの英語力を把握し、最適な学習法を考えなければいけません。
お子様のレベルに合わない勉強を行っても効率よく成績をあげることはできません。
中学生に英語を教える際の注意点
中学生に英語を教える際は、以下の事柄に注意しましょう。
単語・熟語の暗記は必須
単語や熟語の知識は、長文読解、英作文、リスニング、英会話の全てにおいて欠かせません。
なお、文部科学省が策定した中学校学習指導要領によると、中学3年間で1,200の英単語が必要とされています。
一朝一夕で覚えられる覚えられる数ではないため、中1の段階からコツコツ計画的に暗記していかなければいけません。
ローマ字読みの発音を直す
特に中学校から本格的に英語学習を始めた日本人は、英語をローマ字読みしてしまいがちです。しかし、実用的な英語を身に付けるには、この癖を直さなければいけません。
単語や熟語を暗記する際は、正しい発音やアクセントを含めてインプットさせるようにしましょう。またフォニックス学習などで英語の読み方を学ぶのもおすすめです。
なお、フォニックス学習とはネイティブの人たちが自然と行っているアルファベットの綴り字と発音との間にあるルールを学ぶことで正しく英語を読めるようにするという学習方法のことです。
辞書を使った単語の意味調べは必要?
中学校では授業の予習として、頻出の単語の意味を辞書で調べるという宿題が出される場合があります。
単語の意味を知ることは重要なので、この宿題には一定のメリットがありますが、多義語などは全ての意味を把握するのが難しい場合もあるでしょう。
そのため、多義語の場合は先生が絶対覚えるべき意味を伝えるのが望ましいと言えます。自主的に調べる際は、一番上の意味を中心に暗記すると良いでしょう。
日本語の文法用語を使いすぎない
「現在進行形」や「不定詞」などは最低限必要だと考えられますが、不要な文法用語は極力使わない方が良いでしょう。
例えば、人称代名詞の「主格」「所有格」「目的格」などの用語は、用法や用例さえ理解できているなら、特別覚える必要はありません。
重要なのは英語を理解することであり、文法用語はあくまでその一助であることを理解しておきましょう。
英語の和訳の教え方
英語の和訳問題は文法や単語の理解のバロメーターともなるため、入試では頻出の項目です。
初めは直訳がおすすめ
新しい文法事項を教える際は、直訳を使った方が文法の用法や構造を理解しやすいです。
例えば「The man who I met yesterday was John.(私は昨日ジョンに会った)」なら、「私が昨日会った男性はジョンです」と直訳する方が関係代名詞の構造が明瞭になると言えるでしょう。
また入試の和訳問題には文法の理解度を測るという狙いがあることから、直訳に近い方が理解度の高さをアピールしやすいというメリットもあります。
自然な日本語になるように
ただし、和訳問題に関してはあまりにも日本語的に不自然だと減点される場合があるので注意しましょう。文法理解をアピールすることを意識しつつ、自然な日本語になるように心がけましょう。
例えば「He introduced himself to the audience.」の直訳は「彼は観客に彼自身を紹介した」となりますが、これでは少し不自然です。この場合は「彼は観客に自己紹介した。」とするのが良いでしょう。
面接にも役立つ英会話指導法
多くの日本人が苦手とする英会話では、瞬時に単語を思い出して自分が言いたい意味の文を組み立てなければいけません。
それができるようになるには慣れが重要なので、実践的なトレーニングを繰り返すのが一番です。初めは好きな食べ物や趣味などの身近なテーマで、簡単なスピーチをすることから始めると良いでしょう。
自分の言いたいことが瞬時に言えるようになれば面接においても役立つので、英会話の練習は非常に有意義です。
中1英語の教え方のポイント
ここからは中1への英語の教え方について解説します。
基本事項を定着させる
まずは以下の参考にして基本事項を定着させることから始めましょう。
人称代名詞は必ず暗記
人称代名詞は基本中の基本です。特に主格(I、heなど)、所有格(my、hisなど)、目的格(me、himなど)、再帰代名詞(myself、himselfなど)は非常に良く用いられます。
どの教科書にも巻末などに人称代名詞の一覧表がついているはずなので、早いうちに暗記させておくのが良いでしょう。
動詞の活用の覚え方
動詞の活用は、3単現なら「-s」、過去形なら「-d」「-ed」などのように基本形を先に教えるべきです。一通り覚えたら単語・熟語テストのように、動詞の活用形テストをして理解度をチェックします。
基本形が十分に理解できているようなら、不規則な変化をする動詞に進みましょう。
英語の語順に慣れる
日本語と英語では語順が異なります。日本語は「主語・目的語・熟語」の順番になっているのに対し、英語は「主語・述語・目的語」なのです。
例えば、日本語なら「私は(主語)・英語を(目的語)・勉強する(述語)」ですが、英語は「I(主語)・study(述語)・English(目的語)」となります。
英語をマスターするには、まずこの語順に慣れないといけません。
基本の文法の教え方
文法の基本を教える際は以下の内容を参考にしてください。
be動詞の役割を正しく伝える
「be 動詞」は「〜である」と訳すとだけ記憶する生徒も多いですが、その役割をきちんと把握しておくことも重要です。
be動詞の役割は動詞の前後の要素を結び付けることにあります。つまりbe動詞の前と後ろはイコールの関係になるということです(もちろん例外もあります)。
例えば「I am a student.」は、「I」=「a student」であることを意味します。
助動詞のあとは動詞の原形
「can」や「should」などの助動詞の後に来る動詞は、必ず原形で用います。最初は3単現や過去時制などに応じて動詞を変化させてしまう生徒が多いので注意しましょう。
ちなみに中学英語では以下のような助動詞を習います。
- can
- should
- must
- may
- shall
- will
進行形はbe動詞を使う
進行形の際にbe動詞を忘れてしまう生徒は意外にも多いです。進行形は「be ~ing」という形で用いるということを中1の段階でしっかり定着させておくようにしましょう。
be動詞と進行形を結び付けて記憶しておかないと、動名詞や分詞の単元で混乱してしまいます。
中2生徒向けの英語の指導法
続いては中2に対して英語を教える際のポイントを解説します。
不定詞と動名詞はセットで教える
「to 不定詞」と動名詞は同じような役割で用いられますが、後ろに不定詞が続くのが通例の動詞と動名詞が続くのが通例の動詞、どちらでも構わない動詞がそれぞれ存在します。
また後ろに不定詞と動名詞のどちらが続くかによって意味が変わる動詞もあります。よって不定詞と動名詞はまとめて覚えてしまうのが良いでしょう。
動詞 | |
---|---|
不定詞と共に用いる動詞 | offer/ agree/ forget/ hopeなど |
動名詞と共に用いる動詞 | admit/ finish/ consider/ enjoyなど |
不定詞・動名詞のどちらでも構わない動詞 | begin/ start/ continue/ intendなど |
どちらが続くかによって意味が変化する動詞 | remember/ regret/ go on |
前置詞は一括で覚える
前置詞は似た意味のものを比較しながらまとめて覚えてしまうのが良いでしょう。
例えば時を表す前置詞には、時刻を表す「at」、曜日や特定の日付を表す「on」、月・季節・年を表す「in」があります。それぞれの用法・用例を意識しながら、一括で記憶するのがおすすめです。
また「on」「over」「above」はいずれも「〜の上に」と訳すことができますが、それぞれで用法が異なります。
「on」は対象と密着している時に用いられるなど、それぞれが持つイメージと共に記憶する必要があるので、適宜図を書くなどして具体的に説明するのが良いでしょう。
形容詞・副詞の活用
形容詞と副詞を教える際は、両者の定義を日本語で区別できるようにさせておきましょう。基本的に形容詞は名詞を修飾し、副詞は動詞や形容詞、副詞、文全体を修飾します。
また比較級・最上級の活用を覚える際は、動詞の活用同様、やはり基本形から始めるのが良いでしょう。
さらに形容詞に「-ly」が付くと副詞になるケースが多いことなどは、覚えておくと便利です。例えば「slow」という形容詞は、「slowly」という形で副詞として用いられます。
高校受験に向けた中3英語の教え方
最後に高校受験を控えた中3への英語の教え方を解説します。
1学期は基本の文型をマスターする
1学期のうちに基本となる5つの文型をマスターしておくのが良いでしょう。特に第4文型と第5文型は混同しがちなので、きちんと理解させておくべきです。
第4文型(SVOO)は、「I’ll give my wife a hang bag.」のように、他動詞に名詞(目的語)が2つ続くという形式を取ります。
一方で第5文型(SVOC)では、「She always keeps our house clean.」のように、他動詞に名詞(目的語)と形容詞(補語)が続く場合が多いです。
ただし、「I call her Eimy.」のように「他動詞+名詞+名詞」となることもあります。
第4文型と第5文型の違いは、他動詞の後に続く要素がイコールの関係になるかどうかです。第4文型の場合、「my wife」と「a hand bag」は同一ではありません。
これに対し、第5文型では「our house」と「clean」、「her」と「Eimy」はそれぞれイコールの関係にあります。
3年間の文法事項を総復習
中3になると長文読解や英作文の練習に力を入れる生徒も多いですが、それらでは英文法の理解度が測られます。そのため、英文法を十分に理解することの方が先決です。
まずは中学3年間の文法事項を総復習してみて、知識の穴がないかを確認しましょう。苦手分野がある場合は重点的に学習して克服するべきです。
英文法をある程度仕上げたら、長文読解や英作文の練習に進むと良いでしょう。
長文読解での速読のコツ
長文読解が素早くできるようになりたいなら、以下の内容を参考にしてください。
英語は前から読む
日本語の場合は前から素直に読んでいけば意味が分かりますが、英語の場合は関係代名詞や不定詞など、後ろの修飾の要素が来ることも多いです。
そのため、英文を和訳する際は後ろから訳す方が自然な日本語になります。しかし、意味を取るだけなら前から順番に読んでいって構いません。
例えば「She went to U.S. to learn English.(彼女は英語を学ぶためにアメリカへ行った)」なら、長文読解の時は「彼女はアメリカに行った、英語を学ぶために」と理解しておけば十分でしょう。
スラッシュリーディング
長文を読む際は、英文にスラッシュを入れて区切ると読みやすくなります。特に接続詞や前置詞の前がおすすめです。
例えば「We didn’t go outside / because it was raining.」とすれば、文の構造がより明瞭になります。後は「because」の節から訳していくだけです。
入試に出る英作文の対策法
入試の英作文では、内容のクオリティではなく、文法やスペリングの正しさが求められています。
そのため、英作文で高得点を取りたいなら、簡単な文法や単語を自在に扱えるように練習するべきです。
ライティングが嫌いな生徒は多いですが、入試で良い結果を出すには欠かせないため、心を鬼にして反復練習させるのが良いでしょう。書いた文章は添削してあげ、きちんと復習もさせるべきです。
高校英語の内容を教える場合
私立高校の入試では、高校英語の知識がなければ解けないような問題も出題されます。そのため、高校英語の予習も欠かせません。
必然的に勉強量が増えるので大変でしょうが、高校英語の知識は将来必ず役に立ちます。英語の学習は少なくとも大学入試まで続くので、先取り学習をしておいた方が後々楽になるでしょう。
ただし、高校英語に取り組むのは、中学英語を完璧にした後にするべきです。まずは基礎を固めましょう。
中学英語の長文問題を解くコツやおすすめの問題集を解説した記事は、以下を参照してください。
中学生への英語の教え方まとめ
中学生への英語の教え方まとめ
- 中1では基礎文法や助動詞、人称代名詞などをマスター
- 中2では不定詞と動名詞をセットで覚える
- 長文読解は前から訳す
- 英作文では簡単な文法や単語を使う
中学生への英語の教え方について解説しました。
前提として生徒の理解度に合わせた教え方を考えるべきです。また勉強時間を増やすためにも、宿題は必ずやらせるようにしましょう。
中1では基礎の定着に取り組みます。be動詞などは役割を含めて教えてあげましょう。単語・熟語の暗記も始めるべきです。
中2では不定詞と動名詞、似た意味の前置詞をまとめて暗記し、文法事項をマスターさせましょう。
中3では英文法を総復習してから、長文読解と英作文に練習に入るべきです。長文読解は前から訳すこと、英作文は簡単な文法や単語を用いることを意識させましょう。
以上を参考に、より良い英語の教え方を見つけてください。