高校生の漢文の勉強法は?大学受験のおすすめ参考書や共通テスト満点のコツまで詳しく紹介
「漢文の勉強の仕方がさっぱり分からない、何から手を付けたらよいの?」
「共通テストの漢文で満点なんて本当にとれるの?」
このように漢文は難しい、何をどう勉強したらよいのか分からないと悩んでいる高校生もいるでしょう。
確かに漢文はあまり馴染みがなく、読み方や覚え方が難しいと感じるのも無理はありません。ただ、ポイントを押さえて勉強すれば高得点も決して夢ではありません。
今回は、高校生の漢文の勉強法について、共通テストで満点を取る勉強のコツやおすすめの参考書もあわせて解説していきます。
この記事をご覧になれば、漢文の勉強法について、高校1・2年生の独学の仕方や大学受験のための勉強法、共通テスト満点のための勉強のコツなどがよく分かるはずです。
高校生の漢文の勉強法についてざっくり説明すると
- 句法や単語をマスターするべき
- 高校三年生になる前にある程度基礎固めしておくことが大事
- 共通テストの対策も重要
高校1・2年生の漢文独学勉強法
漢文の勉強は、次の順序で行うと効率よく進められ確実に実力アップできるので、おすすめです。
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「句法や単語の暗記」
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「例文の音読を通して漢文のリズムに慣れる」
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「問題演習」
以下で、このステップにそって高校1・2年生の漢文の独学勉強法を具体的に説明していきます。ぜひ実践してみてください。
句法は完璧にしよう
まず「句法」を完璧に覚えることから始めましょう。句法には、「使役・反語・抑揚・限定」などがあります。句法は英語の文法と同じ性格のものです。句法をきちんと理解できていなければ、文章の構成はつかめません)。特に長文の意味を正確に理解することはまず難しいです。
ですから、最初に句形の説明をしっかり読み込んで確実に自分のものにすることが必須です。それができたところで、句型が使われている文を音読してみて、意味や使われている漢字をしっかりと頭に叩き込みましょう。
肝心なことは、その句形が具体的にどういう意味で使われているのか、どのような場面で使われるものなのかをきちんと確実に理解して、頭に入れておくことです。
単語も150語覚えよう
単語を覚えることも必須の作業です。センター試験や大学受験でよく出る覚えるべき単語は、100〜150単語と言われています。この漢文で頻出する単語を確実に覚えておけば、文章を読むときにラクなだけでなく、時短にもなり有効です。
早稲田など難関大学の試験問題では、基礎単語に注が付いていないこともありえます。ですから、基本単語を確実にマスターしておくことは特に大事なポイントです。
まず重要単語150個を覚えることを目標にして1日のノルマを決めて、コツコツと毎日積み重ねて勉強するとよいです。1つ1つ覚えていくことは、短時間でできる作業ですから、通学などの合い間に覚えることも可能です。そうすれば放課後のまとまった時間は他の勉強に集中でき、効率よく学習できます。
日本語と漢文の意味の違いに注意
日本語と漢文では同じ漢字の単語でも、意味がまるで違うこともあります。この違いに注意して単語の意味を正確に理解しておかないと、本文の意味を正しく理解できません。その結果、問題の答えを間違えてしまうことにもなりかねません。
例えば、よく問題文の主題を問う問題が出ますが、文中の単語の意味を取り違えると、当然本文の意味も正しく理解できません。そうなると、正答を期待することはほとんど無理と言ってよいでしょう。ですから、単語の意味の取り違えは、絶対に避けるべきことです。
一例として「人間」があります。誰もが「人」に決まっていると思うかもしれませんが、漢文では「世間」という意味で使われます。日本語と同じと鼻から決めてかかると、大きな間違いにつながります。単語の意味は日本語と違うことがあるのだと、常に意識しておきましょう。
音読をしよう
句法や単語をしっかり身に付けることができたら、次は、実際に漢文を読み込むステージになります。漢文を勉強するときは、必ず文章を音読するように心がけましょう。音読をすることで文書の内容が頭に入りやすくなり、しかも、知らず知らずのうちに読解力も上がってきます。
音読をして問題の答え合わせをしてから、間違えた箇所、分からなかった箇所に注意して再度音読を試してみましょう。今度はより理解しやすくなっているはずです。
音読をする時は、使われている句法や単語の意味を考え、文章全体の意味を意識して読むようにすることです。そうすれば、確実に理解が深まります。
問題演習をしよう
基本的な句法・単語を勉強した後は、問題演習で確認することが大事です。問題演習をすれば、自ずと漢文独特の言いまわしや文章表現に慣れてきます。
多くの問題を解けば解くほど、漢文問題で頻出する可能性が高い問題の特徴も分かってくるものです。 一通り句法や単語の暗記が終わったところで、今度はセンターの過去問などを使って必ず問題演習をするようにしましょう。
要は必要な知識のインプットとアウトプットの繰り返しです。問題演習をしっかり行っておけば、本番も安心して迎えることができます。
高校生は授業もしっかり聞くのが効果的
高校生は学校の授業をしっかり聞くことが効果的でおすすめです。
学校の授業は古典の基礎事項を漏らさずきちんと押さえてしっかり盛り込んでいます。ですから、学校の授業をしっかりフォローするだけでも、基礎を確実に覚えることができ、かなりの高得点を目指せます。
逆に基礎事項をきちんと押さえていなければ、その先の発展問題を正しく解くことは難しいでしょう。自分ひとりで勉強を続けることも大事ですが、学校の授業は決しておろそかにしてはいけません。
定期テストの勉強法
定期テストは大学受験とは関係ないと思うかもしれませんが、定期テストに出る漢文の知識は、大学入試でも必ず役立つものです。センターや大学受験の漢文の問題は、「句法の意味を正しく理解できているか」を問う問題など、よくで出る問題・出やすい問題があります。
ですから、まずは定期テストを目標にして、コツコツ勉強を続けて教科書の句法を確実に暗記するようにしましょう。もっとも、初めから「満点をとる!」と意気込んで無理して勉強しすぎると、長続きせず逆効果になることもあります。
目指すのは大学受験・共通テストですから、その本番を目標にとりあえずは例えば平均点以上の成績を目指すことでもよいでしょう。自分のペースに合ったやり方で、ステップ・バイ・ステップで取り組むのが良い方法です。
大学入試のための漢文勉強法
ここでは、大学入試のための、漢文の勉強方法について、具体的にご説明します。
漢文は3年生までに完成させよう
漢文は、国語の他の科目の古文や現代文よりもボリュームが少なめです。言い換えれば、短期間に習得できる可能性が高い科目です。ですから、早めに取組みを始めておき、遅くとも高校3年生までには基礎固めをしておくようにしましょう。
特に句法や単語は、古文よりも暗記する分量が少ないので、1年生、2年生のうちから少しずつコツコツと取り組んで暗記していった方がよいです。ただ一部には古文の理解が必要な漢文もあるので、そこは古文と並行しながら学習していくようにしましょう。
訓読が出来れば満点に近づく
訓読を聞く問題は、いわゆる知識問題ですが、共通テストや私立や国公立の受験問題でもよく出ます。訓読ができれば、定期テストやセンターなどの受験漢文で満点に近づくことができるポイントの問題と言ってもよいでしょう。
訓読のテスト問題は、「返り点」、すなわち「レ点・一二三点・上中下点・甲乙丙点」の読み方の順序を聞く問題が多いです。返り点は、漢文を正しく読むとき、書き下し文にするときに欠かせない規則を決めているからです。
参考書や問題集などを使って、返り点の読み方をしっかり確認して確実に覚え込んでおき、漢文の満点を目指しましょう。
再読文字を意識して記述練習をしよう
国公立大学の漢文の試験問題は、ほとんどが記述式です。そのため遅くとも2年生の年明けには記述の仕方の練習に取り組む必要があります。その際に、注意したいのは、再読文字を確実にマスターしておくことです。
「再読文字」は、漢字一字をまず副詞として読み、さらに返り点に従って戻って動詞・助動詞として再度読む漢字です。試験では、「未・将・応・由」などの再読文字が使われている漢文を日本語に直す問題や、その意味を答えさせる問題がよく出ます。
再読文字は日本語にはない読み方をしますので、参考書や問題集を使って、再読文字の勉強を丁寧にして慣れておくことが大事です。
入試で高得点をとるためには
共通テストや国公立入試の漢文で高得点をとるためには、漢文の知識を完全に自分のものにして使いこなす力を習得しておく必要があります。漢文を完全に理解できているか確認するためには、共通テストの問題やセンターの過去問を解いてみることが有効です。
その際、センター過去問などを、4択などの選択肢を見ないで、自分の頭で考えて答えを導き出すようにしましょう。選択肢を見る癖がつくとすぐに選択肢に頼ってしまい、自分の頭で考えることができません。選択肢に頼らずに考える力を身に付けておけば、記述問題を解くときと同じ頭の使い方ができます。
また、余力があれば早稲田大学でよく出題される、「現代文と漢文」や「古文と漢文」などの融合問題や、出題頻度はそれほど多くはないものの出ると厄介な「漢詩」を解いてみるのも良いでしょう。
共通テスト満点のための勉強のコツ
「共通テストで満点を取りたい!」と思う人も多いでしょう。ここでは、共通テストで満点をとるためのコツ・勉強法について説明します。
共通テスト漢文の特徴
共通テストの漢文は、国語200点満点のうちの50点で大問が通常6問です。大問の数は年によって違うこともありますが、出題範囲は例年幅広い分野にわたっています。例えば、語句の意味・読み方などの知識問題、正しい書きくだし文の選択もあれば、本文の主題を問う読解問題などです。
そのため、漢文の知識をきちんと覚えておくことだけでなく、文章の意味を正確に理解して読み進める力が求められます。文章の内容をきちんと理解できるように、普段から句法や再読文字に注意して文章を読むように習慣づけておくことが大事です。
センター過去問の出題傾向をみると、文章の雰囲気や聞かれるポイントはほぼ共通しています。ですから、基本知識を押さえた上で、その後はパターン演習を徹底的にやることです。そうすれば共通テスト漢文を攻略できる可能性がグンと高まるでしょう。
共通テストの参考書は3周しよう
センターの漢文の問題形式は例年ほぼ似ています。説明した句法など知識問題の暗記事項や出題パターンを確実に押えれば、高得点をとれる確率は高いです。そこで、共通テストの出題パターンを全て確実にクリアするために、参考書を最低3周はすべきです。
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最初の1周目では、まず全体像を把握するためにとにかく参考書を一通り読み進めることに力を入れましょう。
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2周目は、よく分からなかった点や理解できていない問題と、完璧に理解できた問題をきちんと区別して、後々効率よく勉強できるように分かりやすくチェックしておきましょう。
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最後の3週目では、2周目でチェックしておいた、分からかった部分や、解けなかった問題を重点的に勉強して、苦手な部分、理解できない問題をしっかりつぶして皆無にしましょう。
上記の3つのステップを着実にこなしていけば、共通テスト満点に大きく近づくでしょう。
時間を意識して問題を解こう
過去問などの問題演習をするときに、決められた解答時間を守らずにただひたすら解いているだけでは、思ったような効果は上がりません。なぜなら、本番の共通テストの国語の時間は、現代文・古文・漢文を全部合わせてわずか80分しかないからです。
しかも、その中でどちらかというと難解で厄介な評論文の文章量が多くなっています。実際の試験では、どうしても評論問題に時間をかなり費やしてしまうでしょう。つまり、漢文問題を考えることのできる時間はわずか10分〜15分です。
ですから、共通テストの過去問を解くときは、他教科に比べて特に時間を意識して、スピード感を大切にして問題を解く訓練をしておく必要があります。せっかくの問題演習を実践的で効果的なものにしましょう。
おすすめの漢文参考書
漢文の参考書は数多くあります。ここではその中から、漢文のおすすめの参考書を目的・用途別に3冊紹介します。問題数・ページ数も分かる範囲でご紹介しますので、参考にして下さい。
漢文句形ドリルと演習
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価格:838円(税込)
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出版社:河合出版
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問題数:全10項目
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ページ数:81ページ・別冊解答あり
漢文の標準レベルの句形問題を練習するのに役立つ、ドリル問題集です。入試問題に必要な「漢文の基礎・再読文字」に始まり、「使役形・受身形・疑問形・反語形・比較形・仮定形」などの形、最後は「漢詩」と10項目の基本問題で構成されています。
基本問題の下に、解答として書き下し分と漢文の全文の解釈、分かりやすい解説が載っています。演習問題がついているので、覚えた知識をアウトプットして、漢文の理解をさらに深めることもできます。
漢文の基本知識が身についているかどうかチェックできて、内容も充実している参考書です。漢文が苦手、基礎固めをしたい、共通テスト対策がしたい、などという方におすすめです。
短期攻略 大学入学共通テスト
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価格:935円(税込)
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出版社: 駿台文庫
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問題数:オリジナル問題8題
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ページ数:216ページ・別冊解答解説あり
共通テストで出題が予想されるオリジナルの問題が8回分掲載されている、2色刷りA5判の参考書です。共通テストで効率よく得点を取れることを目指して、問題は、想定される形や様々なジャンルの問題について、実践的な演習ができるように作られています。
本体のほかに、「頻出句形チェック」「熟語問題全過去問」「基本語彙一覧」などの豊富な付録付きで、基本事項の確認を短期間で効率的に行えます。名前のとおり、まさに大学入学共通テスト漢文を短期攻略するために作られた問題集です。
漢文問題で短期間で効率よく高得点をとれるようになりたい人におすすめの問題集です。
漢文早覚え即答法
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価格:1,210円(税込)
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出版社:学研プラス
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問題数:例題・練習問題・入試問題の3分野
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ページ数:310ページ・別冊「共通テスト漢文攻略マニュアル+私大&記述対策」付き
漢文に慣れることを重視して暗記を最小限にしてきた、約30年におよぶ受験界の大ベストセラーです。共通テストに対応した最新版も「即点力」を上げることがねらいで、漢文が苦手、とにかく得点力を上げたいという人向けの講義形式の参考書です。
共通テスト対策だけでなく、私大の記述問題対策や漢文を早く読むためのコツも掲載されています。「漢字以外の読み」を覚えれば入試漢文は解けるという「10のいがよみ公式」など、様々なジャンルの漢文問題を効率よく勉強できるように工夫しているのも特色です。
他にも、漢文特有の「コレだけ漢字91」、出題者の意図を見抜く「受験のウラわざ」などの注目を引く内容があります。共通テストの試行調査を徹底分析した別冊付きで、「速読」・「センター対策」などはぜひ活用してみるとよいです。
通信教育の併用もおすすめ
上記でご説明したような参考書を使いながら勉強すれば独学でも漢文で高得点を上げることは決して難しいことではありません。
ただ、場合によってはいくら解答の解説を読んでも、よく理解できないことや疑問点が解決しないこともあるでしょう。
そのような場合には通信教育を併用して、疑問点を解決しながら学習を進めていくことをおすすめします。
受験生が苦手なポイントを中心に、解説が丁寧になされているため、独学で理解が難しかったポイントもばっちり押さえることができます。
以下の記事では、通信教育・予備校各社の特徴について詳しく解説しているので、こちらも併せてご覧ください。
高校生の漢文の勉強法についてまとめ
高校生の漢文の勉強法についてまとめ
- 漢文の独学は、句法や単語の暗記・音読・問題演習の3ステップが重要
- 大学受験の勉強法は、訓読や再読文字を意識して、自分の頭で考えて訓練しよう
- 共通テスト満点のため、パターン練習・参考書を3周・時間を意識がコツ
高校生の漢文の勉強法について、独学の仕方や受験勉強の注意点、共通テスト満点のコツ、それに大学受験におすすめ参考書までを詳しく紹介しました。
高校生の漢文の勉強は苦手と思う方も多いでしょうが、基本をしっかり勉強して覚えれば高得点をねらうことも意外と簡単です。
この記事を参考にして、高校生1・2年時の漢文の勉強法や大学受験の勉強の仕方をしっかり頭に叩き込み、共通テスト満点のコツなども役立てて前向きに頑張ってください。