小学生の随筆文の読み方・書き方は?論説文や説明文との違いを含め例文付きで解説

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随筆が苦手!

そもそも随筆文ってなに!?

随筆文は、小学生がつまづきやすいポイントですが、定義やコツを知っていれば難しく考える必要はなくなります

今回は、随筆文が苦手な受験生に向けて随筆文の書き方や間違いやすい論説文・説明文との違いなど例文付きでわかりやすく解説します

筆者の思い・体験談についてなど随筆を読み解くコツも紹介するので、随筆への苦手意識を克服しましょう!

随筆を理解するうえで例になる小学生におすすめの随筆文3選も紹介します。

小学生の随筆文の読み方・書き方についてざっくり説明すると

  • 随筆文の定義は「エピソード+感想」
  • 随筆を書くコツは文末のインパクト
  • 文章から筆者の「感動」を読み取ろう

そもそも随筆文とは?

島とはてな

随筆文を攻略するには、随筆分の定義について理解しておかなければなりません。

随筆の例文や、論説文・説明文との違いについても解説します。

随筆文の定義は?

随筆文は「エッセイ」とも呼ばれる文章の種類です。

随筆文の定義とは、

  • 筆者の体験(エピソード)
  • エピソードから感じたこと(感想)

この2つが書いてあるのが特徴で、

  • 筆者の一人称で語られる小説のようなタイプ
  • 明確な論理展開があり論説文形式のようなタイプ

の2種類が存在します。

随筆の例としては、

  • 清少納言の『枕草子』
  • 吉田兼好の『徒然草』

があり、これらは日本三大随筆にも数えられている有名なものなので覚えておきましょう。

簡単な随筆の例文

おじいちゃんの作る野菜

ぼくのおじいちゃんは、倉庫の裏にひみつの土地を持っている。小さな小さな土地だけど、おじいちゃんがじまんする野菜を作っている。

「孝太郎、この野菜は目茶苦茶高い野菜なんぞ。」

穴の空いたなすび、まがったとげとげきゅうり、虫歯だらけのとうもろこし、ぼくの大好きなスイカは、カラスにつつかれて全めつしてしまった。

おじいちゃんは、市内の家が建ち並ぶ場所に、ひっそりかくれた土地に畑を作っているんだ。土地の税金が高いという所で、野菜を収かくしては、ニヒッと笑いながら、一本百円もするなすびを作っている。

「だれが、百円もするなすびや買うんだ。大体なぼくなすびきらいなんや。もっと、ぼくの好きな果物作ってや。」

って言っても作ってくれない。

おじいちゃんは、ぼくが野菜きらいなのを知っているから、大きらいな野菜作っては、持ってきてくれる。こう言うのをありがためいわくっていうんだな。

でもね。でもね。おじいちゃんの作ってくれた野菜が、ぼくの夕食にならぶんだ。きゅうりは水々しくて、トマトは少し固いけどあまいよ。ハンバーグに、小さくきざんだピーマンやなすび入り、そうこれなら食べれるよ。おいしい。おいしい。無農薬で安全安心な野菜だから、体にもいいらしい。作ってくれた人の愛情いっぱいだから、今日もおいしい夏野菜いただきます。

ぼくの大きらいな野菜をいっぱい作ってくれるおじいちゃんへ、ありがとうね。おじいちゃんの愛情いっぱいの野菜をたくさん食べて大きく大きくなるからね。ぼくの野菜ぎらいも少しなくなったんだ。おじいちゃんのおかげかなって思う。国連WFP チャリティーエッセイコンテスト入賞作品より

おじいちゃんの思い出(エピソード)+自分の感想という構成の例文ですので、間違いなく随筆文と言えます。

文章の種類としての随筆

国語の文章の種類には、主に

  • 随筆文
  • 論説文
  • 説明文

に分類されます。

論説文・説明文については、中・高校受験などで必ず出題されるポイントです。

しかし随筆文は、出題頻度が論説文・説明文よりも少なく、塾などでも指導に裂かれるウェイトが少ないため対策が甘くなりがちなので注意しましょう

模擬テストなどでは、慣れないテイストの文体に戸惑ってしまうためにうまく得点を取れず、苦手意識を持っている受験生も多いです。

論説文や説明文との違い

上記では、随筆文の定義について「エピソードと筆者の感想が書かれたもの」と説明しましたが、論説文・説明文とは具体的にどんな部分が違うのか解説しましょう。

論説文は、筆者の強い主張を論理的展開で説くものです。

一方、説明文は、状況を正確に説明したものなので論説文から独自の主張をなくしたものだと覚えておきましょう。

この2つの文章と違い、随筆文は、

  • エピソードに対する感想や考えを述べる
  • 必ずしも論理的展開があるわけではない

という点がポイントです。

小学生の随筆文の書き方は?

勉強する子供たち 随筆文は、論説文のように文章構成を考える必要はなく、こう書かなくてはいけない!という決まりはないので難しく考える必要はありません

随筆文の書き方は、

  1. テーマを選ぶ
  2. 決めたテーマについて体験談をかく
  3. 体験談に対する自分の感想を書く

という流れで構成されます。

前述の例文を例に挙げると、

  • テーマ→おじいちゃんの作る野菜
  • 体験談→1本200円もするなすびを作って持ってくる
  • 感想→おじいちゃんの愛情を感じた

となります。

また、随筆文をうまく書くコツは、説得力と意外性がある結論にすることです。

インパクトのある結論にすることで、読者を引きつける魅力的な文章になるので覚えておきましょう。

小学生の随筆文の読み方のコツ4選を紹介

本を読む子

随筆文を攻略するには、書くだけでなく、文章からさまざまなことを読み取る力が必要です

随筆の読み方のコツを

  • 筆者の思い
  • 体験談の共通点
  • 自分の考えを封印
  • 表現技法

の4つに分けて解説します。

題材に対する筆者の思いを読み取ろう

題材に対する筆者の思いは、随筆文の読解で最も重要なポイントです。

随筆を読むときは、まず、文章の中から

  • どんなテーマなのか?
  • テーマに対し筆者は否定的か肯定的か?

を読み取りましょう。

この際、人物について書いている場合自然などの情景には注意が必要です。

随筆文では、実際の言動だけでなく仕草や表情の描写・情景描写にも筆者自身の気持ちが投影されている可能性があります

そのような隠れた筆者の思いまで読み解くのも、随筆文のポイントです。

体験談の共通点を読み取ろう

随筆文には、複数の体験談が描かれることも多いです

その場合にポイントとなるのは、

  • 複数の体験談から感じた共通点
  • 共通点に対する筆者の価値観や考え

の2点です。

とくに、共通点に対する筆者の価値観や考えが筆者のとくに伝えたい部分であることが多く、重要なポイントとなります。

随筆文は、一般的に体験談→感想という書き方が多く見られますが、中には体験談に感想が溶け込んでいるパターンもあるので注意が必要です。

自分の考えを封印しよう

随筆文には、筆者の意見が強く出るため、自分の意見とあまりにも違い過ぎると随筆文に反論してしまう人がいます

しかし、随筆分に書かれた筆者の思いをありのまま読み取ることが大切なので、自分の意見はグッと飲み込みましょう

問われていることは、あくまで文章中のことのみなので、筆者の考えについてありのままを答えましょう。

表現技法にも注意する

随筆は、筆者の「感動」が中心に表されていることが多く、わざわざ強調してある部分は筆者が主張したいところである可能性が高いです

比喩(直喩、隠喩、擬人法)などの修辞法がある場合には、筆者の思いが表されているので注意して読みましょう

例えば、

みんな帰っていった後の部屋はいつもより暗く感じる。光が弱くなったのではなく、光源から僕が遠去かったようだ。村上龍『限りなく透明に近いブルー』より

という文章には、「ひとり取り残されたようで寂しい」という気持ちが比喩を使って書かれています。

このような文章では、前後の文脈にも気をつけて読み、どのようなことを強調したいのか繰り返し確認してください

随筆の練習におすすめの方法を紹介

カフェで勉強

随筆に慣れるためには、やはり練習するのが一番効果的です。

随筆の練習になる方法を

  • 日記を書く
  • 随筆文集を読む

について紹介します。

日記を書こう

随筆を書くときに、書きたいことがうまくまとまらなかったり、何を書けばいいかわからなかったりしてペンが進まない人は多いでしょう。

そんなときには、2〜3行の短い日記を書く習慣をつけるのがおすすめです。

随筆は、日常の中で体験した出来事に対して感動したことや考えたことなどが書かれることが多いので、普段からエピソードを集めておくといざと言う時に書きたいことがすぐに頭に浮かびます

また、1日の出来事を短くまとめることで、文章を構成する練習にもなるでしょう。

随筆文集を読もう

随筆から情報を読み取る力は、普段から随筆文を読んで慣れておくのが有効です。

練習有名なエッセイ集の中には、上手な随筆を書くヒントがたくさんあり、大変参考になります

また、世の中には、読む人の心を豊かにしてくれるような素敵なエッセイがたくさんあるので、勉強で疲れてしまったときの息抜きにもおすすめです。

通信教育の活用もおすすめ

随筆の練習には、通信教育の活用が非常におすすめです。

作文力・表現力に焦点を当てた講座があることもあり、随筆の力はもちろん文章力・表現力を全体的に向上させることが期待できます。 随筆のみならず国語力全体の力も同時に身につく効果もあるでしょう。

以下の記事では、国語の分野も含めて、小学生におすすめの通信教育について解説しています。

小学生におすすめの随筆文の3選

本のページ

小学生でも読めるおすすめの随筆文を3つ紹介します。

誰でも気軽に読めるものなので、受験対策だけでなく、息抜きにも使える作品です。

『よつ葉のエッセイ』

優しく美しい言葉でつづられた作家・俵万智さんのエッセイ集は、勉強で疲れたときに心が休まる一冊です。

情景描写や人物の仕草の描写が出てくるので、受験対策としてもおすすめします。

著者 俵万智
出版社 河出出版
価格 ¥513
ページ数 254p
内容 日常生活や身の回りになる当たり前にものについて、透明度の高い美しい言葉でまとめたエッセイ。
口コミ 中学生の頃大好きだったエッセイ。
「寒いねと言ったら 寒いねと言ってくれる人のいる 温かさ」 この詩が忘れられずにいた。

『もものかんづめ』

『ちびまる子ちゃん』でお馴染みの漫画家・さくらももこさんのエッセイ集は、笑いを堪えられないほどの面白さ満載の一冊です。

インパクトのある題材やエピソードは、随筆の書き方として大変勉強になります。

著者 さくらももこ
出版社 集英社
価格 ¥410
ページ数 198p
内容 ちびまる子ちゃんでお馴染みのさくらももこさんのエッセイです。ともかくどの話も珍エピソード満載で、笑える一冊。アニメでお馴染みの家族も登場します。
口コミ ちびまる子ちゃんと同時代の方ならとても面白く読めるのではとおもいます。

『随筆集 下駄の音』

芥川賞受賞作家・三浦哲郎さんのエッセイは、作者の意見がしっかり伝わってくる一冊です。

小説家の随筆と聞くと難しそうに感じられますが、小学生でも読みやすくわかりやすい文章なので安心してください。

著者 三浦哲郎
出版社 講談社
価格 定価¥485
ページ数 203p
内容 四季の実感、生まれ育った故郷、旅、家族、文学への想い……日常のひとコマや旅の情景を文学的につづった名随筆です。
口コミ 情景描写が文学的で美しい。
情景描写や人の心理を読み取る練習にもなる随筆文です。

小学生の随筆文の読み方・書き方についてまとめ

小学生の随筆文の読み方・書き方についてまとめ

  • 随筆文の定義は「エピソード+筆者の感想」
  • 筆者の思いを読み取るのがコツ
  • 随筆の名作を読んで受験対策をしよう

国語の文章の種類のひとつで、エッセイとも呼ばれる随筆は、出題頻度は多くないため塾でも対策が甘くなりがちです。

随筆文を攻略するには、随筆文の定義である「エピソード+筆者の感想」を念頭に置いておきましょう。

書き方のコツは、

  • 全体のテーマ
  • 体験談
  • 感想

を意識して書くことで、結論にインパクトがあると読者を引きつける文章になります

読み方のコツは、

  • 筆者の思い
  • 体験談の共通点
  • 比喩などの表現技法

に気をつけることで、筆者の意見が自分の意見と違うものであってもありのままを読み取ることが重要です

また、頭で考えるだけでなく、実際の随筆に触れて筆者の思いやエピソードについて考え、文学に慣れ親しむのが有効でしょう。

紹介した随筆集は、受験対策として非常に参考になるだけでなく、息抜きにもなる名作なので、ぜひ読んでみてくださいね!