小学生の読解力は低下してる?文章力がないデメリットや効果的な勉強法まで徹底解説!
「小学生の読解力は低下してるの?」
「文章力が低いことのデメリットは?効果的な勉強法はある?」
などと疑問をお持ちの方もいるでしょう。
近年、小学生を含めた日本人全体の読解力低下が問題になっています。
読解力は他の科目の勉強や実生活にも影響する重要な能力のため、小学生のうちからきちんと鍛えておくべきです。
今回は小学生の読解力の低下について、研究論文に基づきつつ文章力が低いことのデメリットや効果的な勉強法と共に解説します。
これを読んで、お子さんの国語学習の参考にしてください。
小学生の読解力の低下についてざっくり説明すると
- 標準読書力診断結果によれば、小学生の読解力の低下はほとんど確認されなかった
- OECDの調査では日本人全体のスコアが落ちている
- 読解力・文章力が低いと他の科目の勉強や仕事に支障をきたす
小学生の読解力が低下しているってホント?
近年では、あちこちで学生の読解力が低下していると叫ばれています。
学生の読解力が低下しているというのは本当なのでしょうか。また、小学生の読解力は鍛えられるのでしょうか。
以下ではそもそも読解力はどんな力であるかということも含めて、日本の読解力の現状について解説します。
そもそも読解力ってどんな力?
読解力は文字や文章の意味が分かるという「識字」の能力とは別物です。読解力とは文章の内容を理解し、それに対する自ら考察できる能力のことを指します。
さらに言えば、文章に対する意見を述べる力も読解力に含めることができるでしょう。
読解力と国語力の違いは?
文部科学省は「これからの時代に求められる国語力」を、以下二つの領域から構成される力であると定義しています。
- 言語を中心とした情報を処理・操作する領域
- 国語に関する知識や教養、価値観、感性などの領域
上記における上の方の領域は読解力と言い換えることもできるため、文部科学省の定義によると、読解力は国語力の一部だということになります。
これに対し国語力には、読解力以外にも知識や教養などが含まれるということです。
学生の読解力が低下している根拠
既に各地で読解力の低下が叫ばれ始めて久しいですが、そもそも本当に児童生徒の読解力は低下していると言えるのでしょうか。
研究論文「児童生徒の読解力は低下しているのかー標準読書力診断結果の結果分析を通してー」によると、小学生の読みの能力は全体的な傾向としては低下していないことが示されています。これに対し、文法力は若干の低下がみられることが分かりました。
一方で中学生では「語い力」「文法力」といった基礎的言語能力に関して低下が確認されました。
このように、一概に「子どもの読解力は低下している」とは述べ難いものの、一部低下傾向が見られるのは事実と言えそうです。
大人から小学生まで読解力が低下している
文部科学省によると、2015年度のOECD生徒の学習到達度調査(PISA)において、日本人生徒の読解力のスコアは前回よりも22点下落しました。
またOECD国際成人力検査(PIAAC)の読解力テストでは、日本人(成人)の約3割の読解力は小学3・4年生レベル以下であるという結果も出ています。
つまり子供から大人まで、幅広い世代で読解力が低下しているということです。
読解力は鍛えられるの?
短期間で飛躍的に向上させることは難しいですが、適切なトレーニングを積めば、徐々に伸ばしていくことはできます。
また小学生のうちは生活環境によっても読解力の程度に変化が出るため、親の環境づくり次第では読解力の高い子供に育てることも可能です。
そのため、小学生の読解力を鍛えるには、勉強方法と環境作りに気を配らなければなりません。
授業は読解力のトレーニングにならない?
小学校では教科書の文章を細分化して理解するような授業は行われるものの、生徒一人一人の読解力を伸ばしていくような方法は確立されていないことが多いです。
そもそも子供に国語を教えるのは非常に難しく、学校の先生ですら教え方がよく分かっていないことも珍しくありません。
文章内容の解説に終始するような授業を行う先生も多いので、読解力のトレーニングという意味では、学校の授業にはあまり期待しない方が良いでしょう。
読解力がないことのデメリット
以下では読解力が低いことによるデメリットをいくつか紹介します。
他の科目の成績にも響く
国語は日本語の運用能力に深く関わる科目です。特に読解力は重要で、読解力が乏しければ問題文の内容を理解することができません。
例えば算数の文章題では、計算能力はあるのに読解力が低いために問題の意図を把握できず、点数を落としてしまうということがあります。
こうしたことは他の科目でも起こりうるため、国語以外の科目にとっても読解力のトレーニングは大切なのです。
文章を書く能力にも影響
読む能力と書く能力は密接に連関しているため、正しく読めない人は正しく書けない可能性が高いです。
書く能力に乏しければ、自分の意思や考えを人に正しく伝えることができないので、社会生活を送る上でも様々な不便を感じることになるでしょう。
コミュニケーションに支障が出ることも
読解力とは文章を読んで、読み手の意図や考えを理解する力のことを指します。そのため、読解力が高ければ人の気持ちがよく分かるようになるでしょう。
一方で読解力が低ければ、話し相手の感情が分からなかったり、内容に齟齬が生まれてしまう可能性があります。
円滑なコミュニケーションは社会生活を営む上では非常に重要なので、ある程度の読解力及び語彙力は持っておいた方が良いでしょう。
仕事能力が劣る
国語力は論理的思考力とも深く関係しています。言葉もしくは文章同士の論理関係である文脈を把握したり、順序立てて筆者の主張を整理する能力は、論理的思考力の一種と考えることができるでしょう。
論理的思考力は適切な問題解決には必要不可欠であり、クリエイティブな仕事をする上でも重要になります。
そのため、読解力が高い方が仕事では活躍しやすいと言えるでしょう。
国語力は採用時も問われる
最近では企業の入試試験で活用されるSPIなどの適性検査でも国語力は必要になります。
また面接やディスカッションにおいても、面接官などと噛み合った会話をする必要があるので、相手の意図を適切に把握する読解力は重要です。
よって国語力がなければ、就職活動においても不利な状況に立たされることになるでしょう。
読解力を鍛える習慣
以下では読解力を鍛えるための習慣をいくつか紹介します。
読書・活字読み
読解力を高めるには、実際に文字を読む習慣をつけるのが一番です。家庭にある本の冊数と読解力には比例の関係があるというデータもあるため、お子さんの目の届くところに本や新聞を置いておくのが良いでしょう。
読書に関しては月に1冊でも読めば読解力向上に効果があるため、気軽に試してみてください。また読書をするのが難しい場合は、漫画でも構いません。特に文字数の多い漫画であれば読書と同様の効果が得られます。
ドラマやアニメを見て、その原作である小説を読むというのも良いでしょう。
音読させるのもおすすめ
読書をする際に試してもらいたいのが、文章を声に出して読むことです。音読をすることで一字一句をきちんと理解する練習ができます。
黙読ではどうしても読み飛ばしてしまうため、識字がいい加減な部分も出てきます。
十分な読解力があるならそれでも良いのですが、読解力がない場合は大事な助詞や接続詞を読み飛ばし、文意を取り違ってしまうことがあるのです。
文章の論理関係を読み違えると本文や問題文の意味が分からなくなってしまうため、テストなどで重大なミスを犯してしまう可能性があります。
そのため、読解力が低いうちは、音読で細かいところまで正確に読み取る練習をするのが良いでしょう。
日常の会話も意識する
親とよく会話する子供の方が読解力をはじめとする学力が高いというデータもあるので、日常からお子さんと積極的に会話することを心がけましょう。
お子さんと上手く会話するコツは、親の方がからたくさん質問をして、様々な情報を引き出すことです。
質問の答えを考える中で「なぜそうなったのか」や「どうしてそう思ったのか」などを頭の中で整理することができるので、状況を把握する能力や論理的思考力、表現力、共感力などを伸ばすことができます。
それらの能力は読解力を高める上では欠かせないので、親が積極的な質問者になることでお子さんの国語力を大きく向上させることができるでしょう。
文章力にもつながる
日常会話によって自分の気持ちや意見を相手に分かりやすく伝える表現力を身に付けることができます。また親が積極的に質問をすることで、状況を適切に把握する力や論理立てて説明する力も身につくでしょう。
それらの能力は全て文章力にもつながるものばかりです。よってお子さんに作文ができるようになってもらいたい場合にも、日常会話は役に立ちます。
お子さんに質問をする際は「5W1H」、つまり「何を、いつ、誰と、どこで、どうして、どのように」ということを意識すると良いでしょう。
要約練習をする
お子さんが本を読み終わった時に「どんな話だった?」などと質問してみて、物語の内容を要約する練習をさせるのもおすすめです。
その際は物語の主旨をきちんと捉えているかどうかを確認しましょう。例えば、シンデレラを「魔女にいじめられる話」と答えるのであれば、話の佳境となる部分がどこかを理解できていません。
その場合は一緒に物語を読み返すなどして、物語で最も重要となる部分を教えてあげるのが良いでしょう。
話の主旨を正しく掴めるようになってきたら、字数制限を設けて文章にまとめさせてみるのもおすすめです。
語彙力をあげる
読解力を上げるには語彙力が重要です。文章の中に分からない単語がたくさんあれば、内容を正しく理解することはできないでしょう。
なお、英語であれば単語が分からないと全く意味が分からないので語彙力不足に気が付きやすいのですが、日本語の場合は何となく読み飛ばすことができるので語彙力が低いことは見落としがちです。
しかし、実は単語が分からなくて国語の文章が読めないというケースはたくさんあります。そのため、慣用句や四字熟語も含めてある程度の語彙力は身に付けさせておくべきでしょう。
知らない言葉は毎回調べる!
小説や漫画を読む中で分からない単語を見つけた場合は、その都度辞書で調べる習慣を付けさせるのがおすすめです。
何となく意味を推測したり、無視してしまいがちですが、一つ一つ意味を調べることで、語彙力を高めることができます。
この習慣によって、読書以外の場面でも分からないことはすぐ調べるという癖が付けば理想的です。
ちなみにパッと意味を調べるにはスマホがあると便利です。スマホは活字離れの元凶になってはいるものの、すぐに意味が調べられるツールとしては役に立ちます。
読解力アップにおすすめの教材
ここからは読解力アップにおすすめの教材を紹介します。
まずは学校のテキストを大事にする
読解力を高めるには実際に文章を読むことが一番ですが、それには学校の教科書を使うのがおすすめです。
学校の教科書には各学年のレベルに合った随筆や物語が収録されているため、学年相応の読解力を高めるにはぴったりの教材と言えます。
また学校の教科書の文章を読み終わったら、別の本を読ませるのも良いでしょう。その場合は月に1〜3冊を目安にじっくりと読ませるのがおすすめです。
闇雲にたくさん読ませても十分な学習効果は得られないので、冊数自体にはそれほどこだわる必要はありまねん。
読解力におすすめの問題集は?
以下では読解力アップにおすすめの問題集を2冊紹介します。
ハイレベ100小学1年読解力
こちらは小学校低学年におすすめの問題集です。100点満点の問題が全部で100回分収録されているので、1冊こなせば相当な読解力がつくでしょう。
各単元に標準レベル、ハイレベ、最レベという3段階の問題が用意されているので、基礎から段階的に読解力を伸ばすことができます。
「ハイレベ100小学2年読解力」もあるので、合わせて用いると良いでしょう。
出口汪の日本語論理トレーニング
「出口汪の日本語論理トレーニング 小学六年 習熟編」は小学館が出版する高学年向けの問題集です。
簡単な小問を積み重ねていくことで、無理なく思考力、読解力、作文力を高めることができます。「かなり国語の力がつく」と評判の問題集なので、ぜひ一度お試しください。
習熟編に加えて、基礎編と応用編もあるので、お子さんのレベルに合わせて使い分けると良いでしょう。
アプリやゲームで学習する
アプリやゲームは語彙力を高めるのに適しています。特にゲームは遊び感覚で漢字や慣用句の暗記学習ができるので、小学生にとっては良い教材と言えるでしょう。
例えば、少し難しい単語が混じったクロスワードなら、楽しくボキャブラリーを増やすことができます。
ただし、クロスワードは答えとなる単語のほとんどをわかっていないと解くのは難しいので、最初は簡単な問題から始めると良いでしょう。ネット上で無料プリントがダウンロードできるので、ぜひお試しください。
またテレビのクイズ番組を見るのも良いでしょう。特に漢字クイズなどは読解力アップに大変有用です。テレビなら大人でも楽しめるものが多いので、親子で一緒に取り組めば良いコミュニケーションになるでしょう。
アプリなら「毎日のドリル」がおすすめ
アプリなら「毎日のドリル 勉強が楽しくどんどん進む!」がおすすめです。これは学研が出版している「毎日のドリル」シリーズの勉強管理アプリで、学習をサポートする機能が搭載されています。
例えば勉強開始時間を通知するタイマーや学習時間を計測するストップウォッチなどです。
また漢字のミニゲームもついているので、短時間で楽しく反復学習するのに良いでしょう。
ちなみに毎日のドリルは分野別の書き込み式ドリルで、1日1枚の学習で特定の分野の学力を伸ばすことができます。ぜひドリルとアプリをセットで使ってみてください。
読解力・作文力アップができる通信教育も
国語力を伸ばすのに特化した通信教育も存在します。添削指導がある講座であれば、それを通じて読解力・論理的思考力・表現力を鍛えることが可能でしょう。
小学生におすすめの通信教育については以下の記事で紹介しています。
内部リンク160番
小学生の読解力の低下についてまとめ
小学生の読解力の低下についてまとめ
- 学校の教科書を読ませるのがおすすめ
- 読解力は勉強法と環境を工夫することで鍛えられる
- 添削がある通信教育を利用するのも良い
小学生の読解力の低下について解説しました。
小学生を含む日本人全体の読解力低下は由々しき事態だと言えます。読解力が低いと他の科目の成績や仕事に悪影響があるからです。
よって読解力が低いなら、その向上に取り組まなければいけません。ちなみに小学生は勉強法と環境作りを工夫することで、読解力を徐々に鍛えることができます。
勉強法としては学校の教科書を音読させたり、月に1〜3冊のペースで読書をさせるのがおすすめです。
また国語に特化した通信教育を利用するのも良いでしょう。
以上を参考に、親子で読解力のトレーニングをしてみてください。