国語で扱う詩の表現技法10選を紹介!対句法や反復法を例文を用いながら解説

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「情報量が少ないから、詩の読解は難しい」

「どんな表現技法があるか分からない」

国語の詩の読解で、このように感じたことはありませんか?「詩の問題が出てきたらその時の勘で解く」という方も少なくはないと思います。

詩の読み取りでは表現技法を理解することで、内容の読解につながるのです。

この記事では国語で扱う詩の表現技法について、例文を用いて解説していきます。この記事を読めば、詩の表現技法について理解することができ、詩を読解するポイントが分かります。

詩の表現技法についてざっくり説明すると

  • 表現技法を正しく理解することで詩の読解につながる
  • 知っておきたい表現技法は10個ある
  • 例文を作ることが理解につながる

詩の表現技法を10選を出る順に例文付きで解説

本

中学受験において、何年も詩の問題を扱っていない学校もあるくらい詩の出題頻度は多くはありません。

一方で、毎年のように傾向を変えて出題する学校もある為、受験勉強を全くしなくてもいい単元という訳ではありません。

しかし頻出単元ではない為に学校や塾では詩の読解方法にかける時間が必然的に少なくなってしまいます。

「頻出単元ではないから」といい加減な対策だと、いざ受験で出題されたときに手も足も出せない状態になってしまう危険性があります。

受験では、1点1点がとても重いです。特に難関校を受験する際、知識問題での点の取りこぼしは厳禁となります。

そうならないように表現技法をしっかりとマスターし、読解のポイントを押さえておきましょう。

対句法(ついくほう)

対句法」とは、似ている形や意味の語句を並べ、内容が違う文章を繰り返すことで、調子を整えリズム感を生みだす表現技法です。

入試では、穴埋め形式で問われることが多いです。

何と何がどのような形で対応しているのかを意識して読むと良いでしょう。

  • 青い赤いリンゴ。(

  • 海は広く川は狭い。(何が・どんなだ)

  • 人は道を歩き鳥は空を飛ぶ。(誰が何がどうする)

反復法(はんぷくほう)

反復法」とは、同じ言葉を繰り返すことでリズム感を生み出す表現技法です。

対句法と混同する人がいますが、全く同じ語を繰り返してリズム感を生むのが反復法、似たような形や意味の語句を繰り返してリズム感を生むのが対句法という違いがある為間違えないように注意してください。

内容を強調したいときに反復法が用いられ、筆者の感動が現れているということを理解しておけば、読解問題では役に立ちます。

  • 長い長い道のり(「長い」を繰り返す)

  • 前へ前へ進む(「前へ」を繰り返す)

倒置法(倒置法)

倒置法」とは、言葉の前後の順番を入れ替えることで、内容を強調する表現技法です。

前後の順番を入れ替えることで、文の印象は大きく変化します。また、リズムを整える場合にも用いられる為、入試では協調の為か、リズムを整える為かどちらの意図で用いられているかをよく考えて問題を解くようにしましょう。

また、後述する「体言止め」と混同しやすいので注意してください。

  • 起きなさい、早く。(早く起きなさい。)

  • 大声で泣いた、赤ちゃんが。(赤ちゃんが大声で泣いた。)

  • 私たちは知った、その真実を。(私たちはその真実を知った。)

体言止め(たいげんどめ)

体言とは、名刺や代名詞のことを指し、「体言止め」とは、末尾を体言で止めることで、余韻や強い印象をもたらす表現技法のことです。

倒置法との違いは、末尾が体言で終わるという点です。

倒置法では、「私は」「空が」「早く」など、助詞や用言で終わります。

用言とは、動詞・形容詞・形容動詞のことを指します。

  • みんなで遊んだ裏庭

  • ひまわりのような笑顔

  • 庭に咲いた

比喩(ひゆ)

比喩」とは、あるものを他のものにたとえ表現する技法です。

比喩には「直喩」と「隠喩」の2種類あり、次のようにまとめられます。

どちらも読み手が受ける印象を強める効果があります。

直喩(ちょくゆ)(明喩:めいゆ)

直喩」とは

「ような」「みたいな」という言葉を直接使用し、分かりやすく表す表現方法です。

隠喩と違い、比較的文章の中から探し出しやすい為、問題に取り上げられることが多いです。

  • 先生は悪魔のようなだ。 (先生は「怖い人」ということを「悪魔のような人」と表現することで、イメージを強調し伝わりやすくしている。)

  • 彼女は子供みたいな笑顔で笑った。 (「子供みたいな」という語句を用いることで、無邪気で純粋な笑顔を強調している。)

  • 彼の足はチーターのように早い。(「チーター」という語句を用いることでどれほど足が速いのかを表現している。)

隠喩(いんゆ)(暗喩:あんゆ)

隠喩」とは、「ような」など直接的な言葉を使わない比喩のことを指します。

直喩よりも気が付きにくく読み飛ばしてしまう子供が多いため、詩の読解の際には念頭に置いておくと良いでしょう。

  • 先生は悪魔だ

  • 彼はチーターだ

  • 彼女は僕らの太陽だ

擬人法(ぎじんほう)

擬人法」とは、比喩表現の一種で、人間以外のものを人間にたとえ、表現する方法です。

擬人法を読み取ることで、詩の場面や状況を理解しやすくなります。

隠喩同様気が付きにくい場合がある為、注意が必要です。

  • 空が泣いている。(雨が降っている表現)

  • 鳥が歌いながら飛んでいる。(鳥が鳴いている表現。明るいイメージを受ける。)

  • 扉は固く口を閉ざした。(扉が閉まり、びくともしない様子。)

省略法(しょうりゃくほう)

省略法」とは、言葉を省略し簡潔にすることで余韻を残す表現技法です。

どんな言葉が入るのか、続きはなにか考えながら読むことで詩の内容理解に繋がります。

入試では省略されている言葉を問うような問題が見られます。

省略された部分にどんな言葉が入るのか読み取ることで、詩だけではなく国語全体の読解力向上につながる為、日ごろから意識してトレーニングをしておきましょう。

  • 「私は君が好き。」「僕も(好き)。」

  • この先を行くとゴールが・・(ある)。

  • 「私は昨日ステーキを食べました。」「僕も(ステーキを)食べました。」

呼びかけ(よびかけ)

呼びかけ」とは、人やそれ以外の対象に具体的に呼びかける方法のことです。

呼びかけの表現技法を使うことで、読者の心に訴えかける効果を持っています。呼びかけるような表現が特徴的であるため、比較的気が付きやすいと言えるでしょう。

「おーい」という言葉や「○○よ」という言葉を使い、呼び掛けるように表現します。

  • おーい、空よ。

  • 、なぜ歌う。

  • ミツバチ、どこへ行く。

押韻(おういん)

押韻」とは、同一または類似の韻を持つ語を一定の箇所に用いることで韻を踏む表現技法です。

音の調子を整えることで、印象的な文章になります。

入試での出題傾向はあまり高くはありません。ポスターやキャッチコピーなど、日常生活でよく利用されています。

  • 食べた、飲みた、歩きた(末尾の「」が繰り返されることで韻を踏む。)

  • 桜咲く咲く(頭の「サク」という語が繰り返されることで韻を踏む。)

  • ブンイレブン、いい気(「ブン」という後ろの語を繰り返すことで韻を踏む)

折句(おりく)

折句」とは、別の意味を織り込む言葉遊びのことを指します。

五音(三音)を各句の冒頭において読む技法で、現代では「あいうえお作文」として親しまれているものと似ています。

難易度が高いうえ、中学受験ではあまり出てくることが無い為覚える必要はないでしょう。

唐衣 着つつなれにし つましあれば はるばる来ぬる 旅をしぞ思ふ(『伊勢物語 東下り』)

(読み方:らころも つつなれにし ましあれば るばるきぬる びをしぞおもふ)

この句では、それぞれの冒頭の語句を組み合わせると「かきつばた」という花を表す言葉になります。

子供に詩を教えるときはどうすれば良いの?

教室

ここでは子供に詩の表現技法を教えるときのコツについてご紹介します。

ご家庭でも取り組めますので、ご参考にしてください。

音読してリズムを掴ませる

まずは音読してリズムを掴ませることが大切です。

声に出して読むことで、強調されている部分が分かりやすくなります。

特に倒置法や反復法、押韻などは声に出すことで気が付きやすくなり、語法の理解にもつながるでしょう。

詩をどこで区切って読むか、区切りに気が付きやすくする効果もあります。

抑揚をつけながら読ませてみる、オーバーリアクションで順番に読んでみるなど、楽しく学べる工夫をするとより効果的です。

例文を作れるようになるレベルまで理解させる

塾や小学校で詩の読解問題を練習する機会は多くありません。実際に表現技法を用い、自分で詩を作る授業も全授業数のうちの1時間2時間でしょう。

そうなるとせっかく覚えた表現技法でも名前と効果を忘れてしまいがちです。

そうならないように、インプットした後アウトプットすることで理解の定着につなげます。

頭の中で自分で文を作れるようになれば、表現方法についてマスターしているといえるので、定期的に挑戦してみると良いでしょう。

また、日常生活で表現技法を見つけたら尋ねてみるようにしてください。

クイズ形式にすることによって子供の抵抗感を減らします。聞かれたらすぐに返事が出てくるようになれば、楽しくマスターできた証拠です。

国語における詩の分類

本

詩といっても全てが同じ形をしているのではありません。

ここでは、詩を「用語」「内容」「形式」の3つの面から分類し、詩の種類をまとめて解説していきます。

用語上の分類

詩の種類を用語で分類すると、「口語詩」と「文語詩」の2つに分けられます。

  • 口語詩

口語とは現代の言葉を指します。現代の話し言葉で書かれた詩のことを口語詩と言います。

  • 文語詩

文語とは昔の言葉を指します。昔の書き言葉で書かれている詩のことを文語詩と言います。

後述する「形式」の分類と組み合わせて、「口語自由詩」、「文語定型詩」のように表現されます。

内容上の分類

詩を内容で分類すると、「叙情詩」「叙事詩」「叙景詩」の3つに分けられます。

  • 叙情詩

気持ちや感動など、作者の心情をメインに表現された詩を叙情詩と言います。

  • 叙事詩

事件や神話・伝説など歴史上の出来事について書かれた詩を叙事詩と言います。

  • 叙景詩

自然の景色などをありのままに歌った詩を叙景詩と言います。

形式上の分類

詩の形式は、「定型詩」「自由詩」「散文詩」の3つに分けられます。

  • 定型詩

定型詩とは、音数などに一定の決まりがある詩のことです。五音と七音が繰り返されることが多いですが、全体的に音数を揃得られているものは定型詩となります。

分かりやすい例として、俳句が挙げられます。俳句の音数は五七五と決まっており、典型的な定型詩です。

このように音数が決まっているものを定型詩と言います。

  • 自由詩

自由詩とは、音数などに決まりがなく、自由に表現された詩のことです。

定型詩と違い、音数がバラバラなところが特徴として挙げられます。

  • 散文詩

散文詩とは、普通の文章(=散文)のように改行が少なく、連続して書かれた詩のことです。

用語と形式は組み合わせて聞かれることが多いでしょう。

例外もありますが、文語定型文と口語自由詩の組み合わせが多いということを知っておきましょう。

詩の読解で押さえておくべき点

チェック

詩は演習の機会が少なく、個人の感性により向き不向きがあると思われがちな単元です。

その為、読解に力を入れない受験生も多いかと思いますが、ポイントを掴み、演習を積むことでしっかりと内容を理解することが出来るようになります。

では、詩の読解のポイントをまとめて解説していきます。

タイトルに注目する

まず、タイトルに注目してください。」

文字数が少ない詩にとって、タイトルは非常に重要な読解材料です。

詩の全体に比喩表現が使用され、意味を読み取ることが難しい場合があります。タイトルにヒントが隠されていることもある為、必ず確認する習慣をつけましょう。そして、繰り返し出てくるテーマや単語によくアンテナを張っておきましょう。

表現技法を用いられている部分がどこか注目して解く

表現技法には様々な効果があります。

表現技法が多く用いられているところが筆者の強調したいポイントであることを押さえておきましょう。

内容読解では表現技法を用いられているところから問題が扱われることが多いので、注意してください。

自分の感情ではなく筆者が言いたいことに注目

詩は主観的なものである為、筆者の意見が色濃く反映されています。

詩の読解では自身の主観や先入観は捨てるべきでしょう。

「自分ならこう思う」「自分はこっちがいい」など、主観的な意見は求められていないのです。

また、あるものに対して、筆者が思い描くイメージが一般的なイメージとは異なる場合もあります。(例えば、曇り空を見て楽しいと感じるなど。)

先入観に捉われず、筆者が何を伝えたいのか客観的に読み取ることが大切です。

詩の表現技法についてまとめ

詩の表現技法についてまとめ

  • 中学受験では頻出単元ではないが、対策をしないと手も足も出ない。
  • 覚えておくべき表現技法を用い、例文を作ってみる。
  • 表現技法を用いられている部分に注目して詩を読み取る。
  • 自分の主観や先入観を捨て、筆者の主張を読み取る。
  • ポイントを押さえルールに従って読み進めると、詩の読解は難しくない。

詩の表現技法を例文を用いながら解説しました。

ポイントを掴み演習を繰り返すことで、詩の内容を理解することができるようになります。

表現技法を意識し、全体のテーマを把握することで、筆者の主張を正確に読み取れるようにしていきましょう。