認定NPO法人D×Pにインタビュー!悩む若者をユキサキチャットで支援
新型コロナウイルスの流行とともに、より教育や就職の格差が問題となってきているなか、苦しい状況にある人に向けた支援も今まで以上に活発化しています。
今回は、認定NPO法人D×P(ディーピー)の運営する、就職や生活に悩む若者へ支援を行う"ユキサキチャット"についてのお話を伺ってきました。
近年の社会問題に対して重要度の非常に高い内容も含め、ここでしか聞けないお話をたくさん掲載しておりますので、ぜひ最後までご覧ください!
認定NPO法人D×Pの活動内容
本日は大変お忙しい中、快くインタビューに応じて下さりありがとうございます。
学びTimesを運営しております、株式会社ベンドの古田と申します。
本日はどうぞ宜しくお願い致します!
認定NPO法人D×Pの熊井と申します。
こちらこそよろしくお願いします!
さっそくですが、インタビューに入っていきたいと思います。
まずはD×Pの活動内容について、説明していただいてもよろしいでしょうか?
私たちは、10代の孤立を解決するために活動しています。孤立は不登校や中退、進路未決定、経済的に困窮しているなど安心できる場所や所属先を失ったときに起こります。学校とLINE相談で10代に出会い、つながりをつくる活動を行っています。
例えば学校内では、定時制高校の中に居心地のよい空間をつくり高校生が定期的にさまざまな人とつながることができる居場所事業を実施したり、企業や飲食店に参加してもらって、職業見学や仕事体験を行っています。
LINE相談(ユキサキチャット)は、若者が気軽に使えるLINEを使い、全国から相談を受けています。
このサービスは2018年の秋ごろに始めたのですが、コロナの影響もあり登録者が増加しましたね。
その他にも、コロナ禍で食糧支援、現金給付などのサービスも始めました。
ユキサキチャットについて
先ほどお話しいただいた事業内容の中でも、「ユキサキチャット」が気になったのですが、詳しく教えていただいてもよろしいでしょうか?
ユキサキチャットを始めたきっかけは、もともと代表の今井に10代の子からTwitterのDMで相談が来ていたことです。
それがだんだん増えてきたので、1事業として始めることになりました。
なるほど、個人的に行っていた相談を窓口を作って対応することにしたんですね。
はい。LINEを登録してもらって、相談を開始する仕組みになっています。
ユキサキチャットは、進路・就職相談の窓口ですが、コロナ等もあり相談いただく内容の幅も大きく広がり)ました。
現在は経済的に困窮している、というような相談も多くいただきます。
そうなんですね。一人の相談者にはどれくらいの期間、相談に乗っているのでしょうか?
それも人によって全然違うのですが、1ヶ月の方もいれば、1年以上の方もいます。
相談内容が幅広いので、期間も異なってきますね。
現金給付・食糧支援サービスについて
初めにお話しいただいた現金給付と食糧支援についてなのですが、相談と並行して行っているのでしょうか?
現金給付や食糧支援の問い合わせがあった後、相談者の詳しい状況を聞くためオンライン面談を実施します。
福祉制度や公的補助の対象となる場合は、制度の案内を行い利用できるまでサポートすることもあります。
状況によって食糧支援と現金給付のどちらか、あるいは両方を行います。現金給付は1ヶ月1万円で最大3ヶ月間、食糧は30食分を支給し、まずは直近の生活が安心できる環境をつくります。
そのような現金給付や食糧支援などを行う団体は他にもあるのでしょうか?
こども食堂やフードバンクなどがあります。世帯へのサポートが多いですね。10代や20代の子に直接アプローチしている団体は少ないと思います。
個人に対して直接サポートできることは私たちの強みだと思います。
頼れる人がいない子へのアプローチ
たしかに、個人単位で支援を行うことができるのはとても重要ですね。どんな子が相談に来ることが多いのでしょうか。
現金給付・食糧支援を希望する若者の約半数が、ひとり親家庭です。保護者や周囲に頼ることができず働いていたり、兄弟の世話をしている声もきいています。
保護者に頼れない状況はさまざまで、保護者が障害や病気を持っていて働きづらい、家族もコロナの影響で収入が減っているなど家庭も経済的に苦しい状況にあるとの声もあります。
借金や奨学金、リボ払いなどの借金を抱えている子もいます。
コロナ前後での変化
先ほど、コロナ禍において相談者が増えたとおっしゃいましたが、それはどんな理由があるのでしょうか?
10代や20代で、生活に必要な働き先が無くなった、シフトに入れず収入が減ったことなどがあります。
やはり経済的に困窮している、という相談はすごく多いですね。
緊急事態宣言も続いているので、今までの貯金が尽きてきた、という声も非常によく聞きます。
コロナで雇用が縮小したことが若者にも問題を生んでいるのがわかりますね。
はい。それだけでなく、中高生の子で、コロナで部活がなくなってしまい、それで学校に行きたくなくなってしまった子からの相談も受けます。
クラスの友達と話したり、学校行事に参加したり、イベントに行くなど様々な機会が減り、安心できる居場所がなくなり不安に感じている人が多いです。
色んなところで居場所自体がなくなってしまっている人が増えた感じがします。
どんな人に相談できる?
ユキサキチャットで相談の対応をしている方はどんな方がいらっしゃるのでしょうか?
社会福祉士、キャリアコンサルタントなど、さまざまな専門性を持つ人が担当しています。
必要があれば他のNPOや自治体につなぐこともあります。
相談を担当するスタッフに向けては、例えば「高卒生向けの就活」「外国籍の子どもたちの現状や対応」「発達障害」についての研修を行い、知識を広げるようにしています。
だから幅広い相談に対応できるんですね。 働かれている方は、どうしてスタッフをされているのでしょうか?
自身も昔辛い思いをしたからサポートしたい、D×Pのビジョンに共感している、オンライン上で若者の支援を行いたい、など、本当にいろんな人がいます。
ユキサキチャットでは、基本的に一人の相談者に対して、相談のケースが終わるまで同じ人が担当します。相性によって途中で変えることもありますが、変わる場合は相談者にきちんと伝えます。
悩む若者と接する際のポリシー
相談者と接する中で心がけていることがあれば、教えてください。
大事にしていることは、相手を否定せずに関わることです。
これは相談を担当するスタッフだけでなく、D×Pとして大切にしていることでもあります。
色々な背景があって大人を信用できなくなっている子もいます。
周囲の人に相談できずユキサキチャットにきています。
まずは否定しないで、受け止める姿勢を大切にしています。
ありがとうございます。
先ほどお話しいただいた現金給付や食糧支援では解決できないことも多そうだなと感じるのですが、その点に関してはどう対応されているのでしょうか。
私たちは「頼れる人とのつながり」「仕事」「安心して住める場所」が必要だと考えています。
相談者が住んでいる地域にある支援団体と本人をつなぐなど、ユキサキチャットの他にも頼れる人とのつながりをつくることもあります。また仕事を探すサポートや障害者雇用や在宅ワークなど働き方の提案、福祉制度の利用を促し申請のサポートを行うこともあります。
現在、D×Pとしては住まいは持っていませんが、他の団体と協力して提供できるようにしていきたいとも考えています。
ユキサキチャットの今後の展望
今後の展望について伺ってもよろしいでしょうか。
周囲に頼ることができず孤立している10代にまだまだ出会えていないと思っています。困りごとを抱えた10代とさらに出会い、インターネット上でセーフティネットをつくっていきたいと考えています。
現時点ではユキサキチャットは10代、20代の子が話せるチャットアプリからつながれるようにしているのですが、広告は出していません。
なので、今後はSNSなど他の媒体もつかって発信強化したいですね。
広告を出されたいということですが、現在はどんな経路での利用者が多いのでしょうか。
検索が約50%、twitterがその次に多く16%ほど、最近は友達から紹介と答える子も増えていて、10%が紹介となっています。
今後はどんな人にアプローチしていきたい、などはありますか?
ヤングケアラーかな?と思うような家族や兄弟の世話をしている子など、普段から重い負担を背負って生活している子にはアプローチしたいですね。
相談しやすい環境を作っていく
最後に、この記事を見ていただく、今悩んでいる子や近くに困っている子人がいる子などに向けて、メッセージを頂いてもよろしいでしょうか。
10代の子の話を聞くと、今まで本当に辛いのに相談できなかった、という声をよく聞きます。
相談するのはとても心理的にハードルが高いことですし、ハードルが高いからこそ相談できていないけど困っている人はもっといるだろうな、と感じています。
そういう人に対して、「ユキサキチャットというものがあるよ」と話して欲しいなと思います。
コロナも長引くと思いますし、私たちも継続的に困っている子達へのサポートを行っていきたいです。
ありがとうございます!
本日は、NPO法人D×P様がどんな思いを持って悩める若者と接しているかや、今後どんな姿を目指していくかがよく伝わるインタビューとなりました。D×P様の今後の更なる発展を応援しています!
改めまして、本日はありがとうございました!
ありがとうございました!
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