共通テスト世界史の対策法は?試行調査からみる問題傾向や満点を取るコツも解説!
「自分が共通テストの世界史で高得点を取るためには、どんな学習法が必要なの?」
「試行調査もやってみたけれど、どうやって点数を伸ばせばいいのか分からない」
今年から始まった共通テストの問題を見て、このような疑問を持つ高校生も多いのではないでしょうか。
この記事では、共通テストで世界史の利用を検討している人に向けて、試行調査や本年度出題された世界史Bの問題について触れながら、今後の対策について解説しています。
共通テストについてはさまざまな予想が立てられていましたが、実際にどのような形でそれらの予想が的中したのか気になる方は、ぜひ参考にしてくださいね!
共通テストの世界史対策法をざっくり説明すると
- 共通テストの世界史では、思考力や資料の分析力などが非常に重視される
- ただし、前提として単語や基礎知識の暗記は必須である
- 試行調査や共通テスト、模試などを解いて新しい出題形式に慣れよう
センター試験と共通テスト世界史の違いは?
2021年度から、センター試験に代わって共通テストが始まりました。ただし、運用元は従来通り大学入試センターであり、全国の受験生の学力を試すという目的は一貫しています。
では、共通テストとセンター試験ではどのような違いがあるのか、実際に比べてみましょう。
共通テスト世界史の概要
まずは双方の具体的な違いを考察する前に、共通テスト世界史の概要について、試行調査の結果も踏まえながら確認しましょう。
大問数:5〜6題
試験時間:60分
解答方法:全てマークシート
満点: 100点
問題形式はセンター試験からあまり変化していませんから、この点においてはそれほど変わっていません。
実際の2021年度共通テストにおいては、大問数が5問、解答数は34問でした。
思考力を問う問題が増える可能性アリ
従来のセンター試験に置いては、正誤問題が多く出題されるなど、素直に受験生の知識を試す問題も多かったと言えます。ですが、プレテストでは空所補充問や文章を選択する問題など、思考力を試す問題が多く出題されました。
このことから単純に知識を暗記しているだけではなく、その知識を利用して深く考察する力が求められていると言えます。実際の問題においても、資料の読解力や出題者の意図を汲み取る問題、そして複数の知識を組み合わせて考察させる問題が多数出題されました。
したがって、この傾向は今後も続くと予想できるでしょう。
リード文を読まないと解けない可能性アリ
センター試験ではリード文の全文を読まなくても、正確な知識があれば選択肢を見ただけで解答できる問題もありました。しかし、共通テストではそれでは対応できないと予想した関係者は多く、実際にその予想は的中したと言えます。
具体的には、試行調査第2問Aにおいては、カエサルとオクタヴィアヌスの違いについて、選択肢からだけでは正誤の判断ができません。また、本試験の第1問の小問4においては、リード文に登場する1789年(フランス革命)という年号を手がかりに、複数の正確な知識を組み合わせる高度な問題が出題されました。
今年度の出題や試行調査からの流れを踏まえると、今後もリード文を読み込ませる問題の出題は続くと予想されます。
資料問題が増える可能性アリ
センター試験と比較して、試行調査においても資料問題が増えていたことから、共通テストでも資料問題が増えるだろうと言われていました。なぜならば試行調査において、リード文重視の問題と同様に、地図や図表・データの資料の読解力や分析能力を図り、そこから正答を導く問題が多かったからです。
プレテストでは大問全てに図表が含まれていましたが、本試験ではややこの傾向が緩和されました。しかし、第2問においてイギリスのポンドの金貨鋳造量の推移と紙幣の流通量を比較して、発展的な考察をさせるなど、やはり資料やグラフなどの分析能力を問う問題が出題されています。
資料のちりばめ方に変化はあっても、センター試験と比較すると資料を積極的に用いていますから、受験生の思考力を重視しているのは間違いないでしょう。
問題パターン別!傾向と対策
ここからは、共通テスト世界史の問題の概要や学習方法について、単元別に解説していきましょう。
空所補充問題
センター試験においても、空所補充問題はオーソドックスな出題形式でしたから、過去問で見かけたことのある人も多いでしょう。国や地域単位での歴史の流れを捉えさせる問題も多く、今年の共通テストでも第3問の問1や問2において、デカメロンの作者や、ペストがフィレンツェにもたらした影響を考えさせる問題が出題されました。
イタリアのフィレンツェというルネサンスの中心地に焦点を絞りながら、文化史や社会的背景を考察させる問題だったと言えるでしょう。
従来の流れと今後の対策について
従来の地域史の知識は一国の歴史を問う問題形式が多く、本年の第3問の問1や問2はその流れを汲んでいると言えます。ただし、一国の歴史を全て押さえようとすると、教科書1ページの範囲内に収まらないことも多いでしょう。
そこでおすすめの学習方法は、資料集の活用です。資料集などを利用しながら自分でオリジナルの年表を作ってみたり、文化史や社会的視点からの考察メモを加えたノートを作成するなどの工夫をしてみると良いでしょう。
短答四択問題
共通テスト世界史の問題には、試行調査の段階で短答四択問題が含まれていました。短答四択問題とは、リード文の全文を読まなくても基礎知識があれば即答できる問題のことです。
今年の共通テストでこのパターンに当てはまっていたのは、第4問の問1でしょう。
具体的には、ロシア革命家の「ヴ=ナロード」というスローガンさえ知っていれば、リード文中の「露国の歴代(ウ)は、農民覚醒の防遏」の部分から対立関係を読み取り、そこからイに当てはまるのが革命家、ウに当てはまるのが官僚だと導き出せます。
このように、短答四択問題では共通テストレベル、すなわち教科書レベルの単語や出来事の正確な知識があれば、解答できるのです。
文化史問題
共通テストを含めた世界史の問題では、文化史は必須知識と言えるでしょう。今年の共通テストでは、先に述べた第3問のデカメロンの他にも、第4問の問7でサンスクリット文学のシャクンタラーや、イスラム文学の代表作であるルバイヤートが取り上げられました。
資料集では、文化史について時代ごとに、作品の特徴や比較論がわかりやすくまとめられています。したがって、文化史は資料集を使って学習するのが良いでしょう。
また、短期間で知識を詰め込まなければならないのであれば、まずは世界史用語集の文化史から学習していくと、勉強がはかどります。頻度数の高いものほど重要な知識ですから、それらを詰め込み、そこから成立背景などを考察していきましょう。
地図問題
地図問題は、センター試験においてもよく出題されていました。今回の共通テストでも、第4問の問2でブルガリアの位置を答えさせる問題が出題されました。
地図問題では、問題に関連する地名や地図上の位置、民族や探検家の移動経路を答えさせる問題もよく出題されます。資料集や教科書を利用しながら、太文字レベルに関連する地名を覚えるのはもちろんのこと、白地図なども合わせて確認すると、知識が定着しやすくなるでしょう。
正誤判定問題
試行調査にも含まれていた正誤問題は、共通テストでも第4問の問2で出題されました。オーストリアによるボスニア・ヘルツェゴビナの併合、その後のオーストリア皇太子夫妻暗殺事件について、いずれも正確な知識がないと解けない問題です。
具体的に解説すると、「あ」の選択肢ではイタリアの部分が間違いです。また「い」の選択肢では、「サライェヴォ」のキーワードと暗殺された夫妻の所属国の組み合わせが正しいので「正答」と判断でき、導かれる選択肢は「2」しかありません。
このように正誤判定問題では、文章の正確な読み取りと、既存の知識を根拠として正しく説明できる力が必要です。文中に含まれるキーワードと説明が合致するかを、過去問演習などでも常に意識して実力を伸ばしましょう。
資料・グラフ・統計読み込み問題
資料やグラフ、統計を読み込む問題が増えることは、試行調査の結果からある程度は予想されていました。ですが初年度の共通テスト世界史は、それを踏まえても、かなりひねった問題も出題されたと言えるでしょう。
例えば第4問の問題1は、資料が何の国際条約であるかを明示しないまま、ある戦争の結果として締結された条約の破棄について触れるという、難しい思考が求められました。
解法ルートとしては、
1.資料中の第1条で「スルタン」「自治公国」というキーワードの組み合わせがブルガリアを指すことに気付く
2.そこから提示された資料はベルリン条約と判断できる
3.よって、問2でブルガリアの正確な位置を答える
という、かなり高度な出題であったと言えます。
提示された資料の量と問題の難易度は関係あるの?
ただし今回の共通テストにおいて、第4問の問4~6のように、資料のボリュームは多かったものの、ある程度歴史的な流れがつかめていれば簡単に解ける問題も混じっていました。
このように、各時代の背景とメインとなる出来事が分かれば解ける問題もあります。資料やグラフの読み取りは苦手意識を持つ人も多いかもしれませんが、資料ボリュームと問題の難易度は、必ずしも一致するとは限りません。
日頃から演習などを通して、資料類の読み取りに慣れておきましょう。
時代並びかえ問題
世界史の問題では、時代の並び替えもよく出題されます。今回の共通テストでは、第4問の問5、第5問の問3がそうでした。
時代の並び替え問題というと、「年号の暗記」を連想する人もいるかもしれません。ですが資料集などを活用して大まかな歴史の流れを押さえておくと、簡単に解けることもあります。
本年度の問題では、第4問の問4において、冷戦→デタントの流れの背景を知っていると、最初の中ソ友好同盟相互援助条約さえ特定できれば、アメリカの姿勢に日本が追随した3の選択肢が正解であると特定できます。
このように時代の並べ替え問題は、縦の流れとその背景を重点的に捉えることが、得点のカギとなります。
アクティブ・ラーニング
プレテストを解いた人の中には、他の科目と同様に、世界史でも会話形式の問題が目についた人もいるかもしれませんね。会話形式を取りながら空所を補充させる問題形式は、アクティブ・ラーニングと呼ばれます。
今回の共通テストでも、第4問の上野動物園での会話や、第5問の韓国での観光ガイドとの会話などで取り上げられました。対話形式を取っていますが、会話の趣旨をつかめれば標準的な難易度だったと言えるでしょう。
具体的には、第5問の空所補充では文章の補充も含まれていましたが、帝国主義に対する反発する話題だったと見抜ければ、正解しやすいでしょう。
このように、短答4択問題同様に各時代の正確な知識が身についていると、比較的解きやすい問題だと言えます。
5〜7割を取りたい人向け・共通テスト世界史の勉強
もっとも、共通テストで世界史は最低ラインさえ確保できればいい人もいるかもしれませんね。次は、5~7割を確保したい人に向けた戦略について説明しましょう。
試行調査で問題傾向をつかもう
まずは、既に各社から出版されている試行調査の過去問を利用して、問題の出題傾向をつかみましょう。
まだ試験の方向性が見定められない人であっても、プレテストの過去問を解いてみることで、具体的なイメージやそれをベースにした学習プランが立てやすくなるはずです。結果的に自分の受験までの時間を効率よく利用でき、スピーディーに世界史の学習が進むでしょう。
発表されたばかりの共通テストの問題を見ても、「受験生の思考力を試す」という流れはしばらく続くと言えます。したがって、ただ単語や年号を暗記するのではなく、説明や意義が答えられるかどうかにまで気を配って勉強するのが大切です。
マークシート問題に慣れよう
また、世界史のマークシート式問題初心者であれば、解答方式に慣れるのも重要です。大問の中に小問が組み込まれているので、問題番号のみ注視していると、解答欄がずれていても気づきにくいからです。
さらに、共通テストに変わってからはセンター試験のように4択のみの問題でなく6択の問題も複数登場しています。全体的に考えさせる時間が非常に増えているため、見直しの時間も取りにくくなったと考えるべきでしょう。
そこで、対策方法としておすすめなのが「マークシート専用ノート」の購入です。文房具屋などで入手可能であり、特定の科目のノートではないので広く使い回せます。値段も手頃ですから、ぜひ利用してみてください。
教科書レベルの単語をインプットしよう
知識面からのテクニックとしては、まずは教科書レベルの単語をインプットしまくりましょう。
共通テストの試験範囲は、かねてより高校までの学習指導内容から出題されると発表されており、このルールは実際の共通テストでも守られました。提示された資料は未見のものも多かったかもしれませんが、問われている知識自体は、教科書で習う基礎的な内容がほとんどでした。
したがって、従来のセンター試験の学習法と同じように、教科書の太文字の単語から押さえて、そこから知識や考察を広げる学習姿勢が大切です。
年号暗記も大切
文字の単語を覚えると同時に、各時代の重要な年号を暗記するのも大切です。ある程度世界史が得意な人は、縦の流れをつかむことができますが、複数の時代の知識が混ざって混乱する人は、年号を手がかりに知識を整理するのも有効だからです。
年号を手がかりに時代背景をつかめると、世界史の問題でよく出る各種の「同時期の出来事を選ぶ」問題に対応しやすくなります。また、今年の共通テストでは、グラフ中に「1776年」というアメリカの独立宣言の年号から、独立のきっかけとなったボストン茶会事件を示唆するようなヒントもありました。
世界史の学習で歴史の流れをつかむのが苦手な人は、教科書の太文字表記の出来事の年号を暗記するところから着手しましょう。
空所補充を完璧にしよう
世界史で5~7割を確実に取りたい人は、アクティブ・ラーニング形式を含めた空所補充問題を解けるようにしましょう。
試行調査や今年の出題を分析すると、共通テスト世界史においては、センター試験の問題よりも思考力が必要な問題が、半数以上を占めています。
ですが、空所補充問題は単語の意味が正確につかめていれば解ける問題も多いです。本年の共通テストであれば、第3問の問6における「アレクサンドル2世」と「樺太・千島交換条約」を答えさせる問題は、暗記だけで対応できた空所補充問題だと言えます。
このように空所補充で利用されやすい単語は、一問一答やセンター試験の過去問の空所補充問題などで確認しておきましょう。
8割〜満点を取るための世界史勉強のコツ
ここからは、共通テスト世界史で8割以上取るためのコツを紹介していきます。試行調査や共通テストを解いてみた人は実感しているかもしれませんが、単純な暗記だけで点数を伸ばすには限界があります。
これから紹介する対策は、そのまま二次試験対策としても活用できますから、しっかりとノウハウを学んで身につけてくださいね。
因果関係を大切に
歴史の点数を伸ばすノウハウとしてよく言われるのが、「因果関係を説明できるようにする」ことです。
具体的には「どのような理由でその出来事が起こり、その結果どのような影響がもたらされたのか」という一連の流れをロジカルに説明できるようにしましょう。
例えば、
1945年の第二次世界大戦後、北緯38度線を境界線として、北側をソ連軍、南側をアメリカ軍が占領
↓
中国やソ連は、南側を支配するアメリカや、占領下にあった日本へ警戒心を抱く
↓
1950年2月、利益や目的が一致した中国とソ連は、中ソ友好同盟相互援助条約を締結
↓
1950年6月に始まった朝鮮戦争においては共産主義の中国やソ連は北朝鮮を支援。国連軍として軍隊を派遣したアメリカと対立を深め、冷戦の引き金となった
という具合です。
このように因果関係を把握しておくと、時間軸も捉えやすくなるので知識が定着し、得点率がアップします。また、教科書の本文はストーリー仕立ての解説になっていますから、しっかり読み込んでおきましょう。
資料問題に慣れよう
試行調査や今回の共通テストの結果を踏まえても、今後も資料問題が多く出題される可能性は高いでしょう。したがって、受験生が資料問題に慣れるのは必須課題だと言えます。
そのためにも、次の2つのプロセスを踏むのが良いでしょう。
出題者の意図を把握しよう
そもそも資料問題を多く出題しているのは、受験生の思考力を試すためだということを意識しましょう。そのためには、重要語句などを暗記すると同時に、因果関係を把握しているかを確認し、全体の流れを把握して理解を深めることが大切です。
積極的に資料問題に取り組もう
次に、実践段階として資料問題を解きましょう。試行調査の問題や共通テストで扱っていない時代の資料を問題集などからピックアップし、資料問題を解けるようにします。
また、自分なりに収集した写真や史料、グラフなどをまとめて分類しておくのも良いでしょう。
横の流れを掴もう
基礎点に加えて得点を積み上げるには、横断的な知識や思考力が必要です。
世界史においては幅広い地域の歴史を扱いますから、同時代に世界各国でどのような状況にあり関連性があったのかを把握しておくと、難しい問題でも対応する力が身につくでしょう。
さらに、横断的な知識を問う問題は「テーマ史」という形でもよく出題されます。同時代の歴史を把握するのが苦手な人は、資料集の年表やテーマに着目して知識を整理すると良いでしょう。
日本史もしっかり覚えよう
横の流れを把握する場合において、特に近年の出題傾向を踏まえて押さえたいのが「日本史の知識」です。
現代史の出題などでは、日本と世界の関わりについて着目する問題も増えており、本年の問題でも第4問における問4は、日本史の問題にも流用できる内容でした。2022年には「歴史総合」という従来の枠組みを超えた科目が登場すると言われていますから、日本史の視点からも考察できるようにしましょう。
文化史を覚えよう
8割から満点狙いの人は、文化史も押さえておかなければなりません。
文化史は数問しか出題されませんが、センター試験でも必ず出されていたり、私大入試でもよく取り上げられます。文化史は知識が用語の暗記レベルにとどまっている受験生も多く、出題者もそれを知っていて、受験生同士の差別化を図るために出題していると考えられます。
文化史は資料集の時代の節目ごとに「各時代の文化史」として取り上げられていることが多いですから、資料集を活用して文化史をマスターしましょう。
政治史と融合する可能性も
試行調査の結果から、今回の共通テストでは、文化史と政治史の融合問題の出題の可能性が指摘されていました。結果として、第1問で「史記」や「趙正書」を題材にして、法家思想や政策としての思想統制について触れています。
これらの知識は教科書や資料集のコラムなどに書かれていることもありますから、高得点を狙う人は、このような部分も丁寧に読み込みましょう。
地図問題を完璧にしよう
また、地図問題も完璧にしたいところです。
従来のセンター試験や試行調査でも、地名を答えさせたり、地名に関連する人物や出来事を答えさせたりする問題は頻出事項でした。今回の共通テストでも、ブルガリアの位置を答えさせる問題が出題されていますが、バルカン半島の地理関係を把握していないと、間違えやすい問題だと言えるでしょう。
このような地図問題への対処法としては、教科書の太文字やそれに関連する地名から覚えていくのが効率的です。今回の共通テストで出題された問題であれば、ブルガリア以外にも、フィレンツェやシチリア島の位置を確認しておくなど、太文字で出てきた地名の位置は必ず地図で確認しましょう。
共通テスト世界史の勉強スケジュール
ここでは、共通テスト世界史の勉強スケジュールの立て方について説明してきましょう。
高校生は授業をしっかり聴こう
まず、高校生は授業にしっかり集中しましょう。
共通テストは高校までの学習指導内容からの出題であると発表されています。普段の授業の中で受動的に学ぶのではなく、「なぜこうなるのだろう」「この出来事は、周辺の国々にどのような影響をもたらしたのか」というような普段からの考察の習慣がついているかどうかが、今後点数を伸ばすポイントになるでしょう。
また、この延長線上の取り組みとして、板書だけでなく「疑問に思ったこと」や「独自の考察」などの情報を書き止めておくと、授業内容も記憶に残りやすいのでおすすめです。
通信教育や予備校の活用を検討しよう
共通テストの世界史対策を十分に行いたいと考えている人は、通信教育や予備校の活用も併せて検討しましょう。
歴史の流れを基礎からわかりやすく指導してくれ、試験で問われるひっかけポイントなどもわかりやすく解説してくれます。
また、実戦形式の演習も十分量確保されることで、試験慣れが容易に進む点も魅力の一つです。
以下の記事では、通信教育・予備校各社の特徴について詳しく解説しているので、こちらも併せてご覧ください。
模試を受験しよう
また、模試も積極的に受験しましょう。
模試受験のメリットは、他の受験生との学力の差や偏差値を分析することで、志望校に合格するのに効率の良い学習方法を見つけられる点です。
成績表では知識や理解不足の部分があぶり出されますから、そこを重点的に学習すれば、効率良く点数を上げることが可能になるでしょう。
なお、模試の受験時期についてですが、これは秋頃がおすすめです。
共通テスト直前だと、既に国数英などを中心に他の科目の勉強が忙しく、十分な復習ができない可能性が出てきます。時間的なゆとりのあるうちに模試を受験し、分析結果を共通テスト本番につなげましょう。
センター試験の過去問を解こう
世界史においては、センター試験の過去問を解くのも有効です。出題形式は大幅に変わりますが、本年の共通テストを振り返ってみても、問われている知識自体は過去にセンター試験で取り上げられた分野も含まれているからです。
これは、世界史で問題として重視される部分はある程度決まっており、あまり取り上げられない分野ばかり出題すると、悪問として批判されることもあるためです。
センター試験の過去問を解く際は、一年分では全ての時代や分野を網羅することは出来ません。追試分も含めて、5~6年分は取り組むのがおすすめです。
詰め込み学習も可能
共通テストの世界史は教科書の範囲を中心に出題されることを踏まえると、詰め込み式の学習でも、平均点くらいまでは得点を確保できるでしょう。一部の共通テスト利用の私大などでは、この方法でも十分と言えます。
詰め込み学習をする際には、次の手順がおすすめです。
-
参考書で問題の傾向や解法のコツを抑える
-
試行調査・共通テストの問題やセンター試験の過去問を3~4年分解く
-
答え合わせで、間違えたり曖昧だったりした問題の意図と解説を完全に理解する
-
間違えた問題などを復習する
効率良く最低ラインの得点を確保したい人は、この方法で目的を達成しましょう。
おすすめの世界史参考書を紹介!
最後に、おすすめの世界史参考書を紹介しましょう。基礎力を定着させるものから、二次試験対策としても有用なものまで幅広く取り上げていますから、目的に応じて適切なものを選んでみてくださいね!
山川一問一答世界史 第3版
「歴史と言えば山川」と言われるほど、昔から受験生御用達の出版社として名高い山川出版社が手掛けた、一問一答式の問題集です。
評価ポイントは次の2点です。
- 単語レベルが3段階で表示されているので、自分の学力に応じた学習ができる
- 付属の赤シートを利用して勉強することで、本当に覚えているかどうかチェックしやすい
基礎固めをしたい人は、用語集と併用して学習するのもおすすめです。
著者名 | 今泉 博(編集) |
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出版社名 | 山川出版社 |
価格 | ¥880 |
ページ数 | p296 |
大学入学共通テスト 世界史Bの点数が面白いほどとれる本 (日本語)
河合塾やZ会などで幅広い層の受験生を指導してきた平尾氏が手掛ける参考書です。
思考力が必要とされる共通テストにおいて、思考を深める前提である知識の吸収に着目し、効率よく解くためのノウハウについてわかりやすく解説しています。
特に「資料問題」を解く上でのテクニックは、思考力が重視される今後の共通テストでも大いに役立つでしょう。
著者名 | 平尾雅規 |
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出版社名 | KADOKAWA |
価格 | ¥1,760 |
ページ数 | p552 |
これ1冊! 世界文化史 (日本語)
苦手な人も多いですが、上位層に食い込むために攻略しておきたいのが文化史です。
本書は受験生に人気の「スタディサプリ 世界史」の担当である村山先生の授業が再現された参考書であり、早慶レベルまで対応しているとの高い評価を得ています。
この一冊を確実に理解できれば、共通テストの文化史において得点しやすくなり、ライバルに差をつけられるでしょう。
著者名 | 村山秀太郎 |
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出版社名 | アーク出版 |
価格 | ¥1,650 |
ページ数 | p328 |
《新入試対応》 大学入試 全レベル問題集 世界史B 1 基礎レベル 新装版 (日本語)
本書は、基礎レベル、共通テストレベル、私大標準レベル、難関私大レベルの4レベルの問題集がありますが、シリーズ中最も基礎的な問題集として位置づけられています。
時代順に29テーマが設定されており、穴埋め問題など試行調査や共通テストの出題形式に沿った問題も用意されています。また、紛らわしい用語の解説やコラムが充実していますから、共通テストに慣れつつ基礎固めをしたい人にピッタリの一冊だと言えるでしょう。
著者名 | 岩田一彦 |
---|---|
出版社名 | 旺文社 |
価格 | ¥990 |
ページ数 | p96 |
世界史のおすすめ参考書については、以下の記事でより詳しく紹介しています。
共通テスト世界史の対策法まとめ
共通テストの世界史の対策法まとめ
- 共通テストの難易度はセンター試験よりも上がったが、出題範囲が大きく変化したわけではない
- 普段の学習から疑問点を板書に付け加えるなどの工夫をしていると、思考力が鍛えられ共通テストにも対応できる
- 世界史の取り上げられる部分はある程度決まっているので、センター試験の過去問も利用価値がある
初めての世界史の共通テストは、試行調査を解いた経験がある人でも、苦戦した人も多いかもしれません。ですが、近代史におけるバルカン半島の情勢を問う問題や、中世ルネサンスに関するテーマ史など、従来のセンター試験でも繰り返し取り上げられてきたトピックも数多く見られました。
したがって、切り口が変わったために難しく感じられても、世界史で上位の成績を狙うために「思考力が大切」という姿勢は、変化していないと言えるでしょう。そのためには、用語や年号の暗記など基礎力の充実が大切です。
来年以降の共通テストで結果を出すためにも、まずは普段の授業を通じて基礎力の定着を図り、考察力を高める習慣を身に付けましょう。