高校の物理は難しい?苦手な人が多い理由や定期テストの平均点が低すぎる原因を考察!
「高校の物理って難しいの?」
「苦手な人が多いのはなぜ?定期テストの平均点が低い原因は?」
などと疑問をお持ちの方もいるでしょう。
結論からいうと、高校の物理は多くの高校生が考えているほど難しくはありません。しかし、物理が難しいと思い込んでいる学生が多いことは確かです。
今回は高校物理の難しさについて、苦手な人が多い理由や定期テストの平均点が低すぎる原因などを解説します。
これを読めば、物理は実はそれほど難しくないということがよくわかるはずです。
高校物理の難しさについてざっくり説明すると
- 見た目ほど難しくない
- 扱う現象が身近ではないことが難しく感じる一因
- 分野ごとに問題の対処法をしっかり身に付けることが大切
高校物理は難しい?
高校物理を難しいと考えている人もいるはずですが、実際のところはどうなのでしょうか。
見た目ほどは難しくない!
高校物理では文字式が多用されるため、見た目のインパクトが強くて「難しそう」と感じている人が非常に多いはずです。
もちろんその他にも難しいと考えてしまう要因はありますが、いずれにせよ「物理=難しい」と思い込み、苦手意識を持ってしまっている人はたくさんいます。
しかし、高校物理は見た目ほどは難しくありません。正しい勉強法を実践すれば、誰でも得意科目にできる可能性があります。
独学でも対応できる?
他の科目に比べて見た目が難しそうな物理ですが、独学で勉強することも不可能ではありません。というよりもむしろ、独学での勉強をおすすめしたいくらいです。
高校物理を独学する際は、基礎から応用へというオーソドックスな流れで勉強するのが良いでしょう。
なお、物理に苦手意識がある場合は、まずは現象の本質をわかりやすく説明してくれるような簡単な参考書を使うのがおすすめです。
数学の知識がある程度必要
高校物理を理解するには、二次関数や微積分、三角比、ベクトルなどの高校数学の知識が必要です。例えば二次関数であれば、物体の自由落下運動の放物線を書く際に利用します。
また微積分に関しては必要ないという人もいますが、理系学生で物理を得意科目にしたいならぜひ押さえておくべきです。
運動量と力積の関係性や単振動の問題を学ぶ際には、微積分の概念を知っていた方が公式の意味が格段に理解しやすくなるでしょう。
よって高校物理を攻略するには、ある程度高校数学の勉強も必要になります。高校数学の概念を知らないと、各単元で数学の勉強をしなければならないので、勉強するのが大変です。
高校物理が難しく感じる原因は?
ここからはなぜ高校物理が難しく感じるのか、その原因について解説します。
扱う現象が身近でない
高校物理ではあまり身近な現象を扱わないため、具体的にイメージできないということが難しさの一因であると考えられます。
物体の落下の際に物体に働く力や、その力によって物体の運動がどう変化するのかを考えるくらいならまだ現実的ですが、磁場と電場がある空間を考える電磁気や原子の運動などは非現実的かつ抽象的と言えるでしょう。
この非現実性こそが、物理が難しいと感じる原因であると言えます。
なお、高校物理では摩擦を0と仮定して考えたりもするので、もはや現実世界とは別であると割り切って考えるのも良いでしょう。これを現実の摩擦で考えると、かえって計算がややこしくなってしまいます。
使う公式を選ぶのが難しい
高校物理では同じ単元でも複数の公式が登場し、どの公式を使うかによって問題の解きやすさが変わってきます。そのため、学習の初期段階では適切な公式を選ぶのに苦労することもあるでしょう。
しかし、それは演習量が足りていないことが原因であることが多いので、問題演習を積めば徐々にわかるようになってきます。
また高校物理では問題のパターンが決まっており、数もそれほど多くないので、十分な演習を行えば大抵の単元なら攻略できるでしょう。
公式を理解せず暗記している
公式を丸暗記するだけでは、解けるのはせいぜい傍用問題集のA問題のような基本レベルの問題だけでしょう。
それ以上の問題を解けるようになるには、公式に背景にある現象をきちんと理解しなければなりません。物理の公式にはそれぞれ現象が付随しているので、数学以上の理解が重要だと言えるでしょう。
理解した上で公式を覚えることができて初めて、応用問題に対応することができるようになります。そのため、まずは基礎をしっかり理解することを重視するべきです。
根本理解ができないまま問題演習している
上述の内容とやや重複しますが、物理では公式だけでなく現象を基礎からきちんと理解しておくことが重要になる単元が非常に多いです。
例えば単振動であれば、「物体が単振動の端に位置しているとき、物体の速度は0であるが、物体にかっている力の大きさは最大になる」という性質が重要ですが、これは我々の感覚的な理解とは異なります。
物理ではこのように我々の感覚と実際の速度や力が異なるケースがあるため、そのようなことは特に理解しておかなくてはいけません。
最初は点数が伸びにくい
物理の学び始めはわからないことばかりなので、最初は勉強しても点数がうまく伸びていかないこともあるでしょう。
そのため、勉強しているのにも関わらず定期テストで全く点が取れない、取れないどころか0点に近い点数を取ってしまうということもあるはずです。
しかし、問題演習を積むことで現象や公式を理解が深まれば、ある地点を越えたところで一気にできるようになるので、特に最初は根気よく勉強を続けることが大切になります。
序盤でつまずくと大きく失点する
高校物理の試験では、大問の中の小問が互いに連関しており、後の小問には前の小問の計算結果を用いるということが多いです。
よってある小問でつまずくと、それ以降の小問は全て落としてしまう可能性があります。おそらくこれが物理は最初は点数が伸びにくいと言われる一因です。
序盤でつまずくと大問のほとんどが不正解になってしまうこともあるので、そうしたことを経験すると物理に苦手意識が芽生えても不思議ではありません。
よって物理を得意科目にするには、後述の内容を参考に計算ミスを減らす努力をする必要があります。
分野ごとに問題の雰囲気が変わる
高校物理には力学や波動、熱力学、電磁気などの分野がありますが、それぞれの分野で問題への対処法が異なります。
先述した通り、物理は最初は点数が伸びにくい科目なので、一つの分野ができるようになっても、分野が変わればまた点数が落ちてしまうこともあるでしょう。
なお、力学の知識は他の分野に応用することができるので、どの分野も苦手ならまずは力学から攻略するのがおすすめです。
高校物理の苦手をなくしたい!
以下では高校物理の苦手を克服するための方法をお伝えします。
まずは定期テスト対策から
高校物理の苦手を克服したいなら、まずは定期テストを目標にするのが良いでしょう。勉強法としては、第一に授業をしっかり聞くことが重要です。
授業の内容が理解しにくい場合は、基礎的な原理から丁寧に説明してくれる参考書を使うことをおすすめします。
また定期テストの出題範囲に関しては、学校の問題集を一通り解くべきです。星がついている問題だけでなく、全ての問題に挑戦しましょう。
この際、間違えた問題に関しては教科書や参考書できちんと復習し、再度解き直しを行うべきです。苦手な問題を中心に何度も解き直せば、高得点が期待できます。
なお、定期テストごとに出題される単元を完璧にしておけば、それだけでも十分な受験対策になります。
計算で落とさない
高校物理は記号を含む複雑な計算処理を行わなければいけません。特に乗数が付く数字の計算の際に、計算の過程で乗数を書き落として失点するケースは非常に多いので注意しましょう。
なお、計算ミスを減らすには、定期テストや模試などで自分がしたミスの原因を分析してみるのがおすすめです。ミスの傾向が掴めれば、試験ではそれに従って見直しを行えば、ミスを減らすことができます。
時間がないことで焦ってミスをすることもあるので、公式の使い方や典型的な問題の解き方に慣れておき、立式が素早くできる状態で試験に臨むということも大切です。
必ず図を書く
物理では問題文を読んで「どんな力が発生しているか」を正確に理解する必要があります。もし力を見落としたり、存在しない力を含めて立式してしまうと最悪の場合、0点になることもあるので注意するべきです。
なお、そうしたミスを防ぐためにも、問題を解く際は必ず図を書くようにしましょう。
また物理基礎のワークなどでは、よく図を見て「どこにどんな力が発生しているか」を問う問題が出題されますが、そのような簡単な問題で力を的確に見極める練習をしておくことも重要です。
そうした初歩的な問題を「簡単すぎる」と馬鹿にして、手を抜くようなことがあってはなりません。
図は採点者へのアピールにもなる
東大や京大、東工大など難関大学の入試では、物理は記述式で出題されます。そのため解答だけでなく、「どのように立式したか」「立式の根拠としてどんな公式や原理を用いたか」ということも評価の対象です。
よって記述式の場合はより図を書くことが重要になります。作図によって具体的にイメージを持ち、正確な立式及び計算ができるように心がけましょう。
なお、図は採点者へのアピールにもなります。正しい図を書いた上で正しい式を立てていれば、「この受験生はちゃんとわかっているな」と採点者の心証をよくすることにつながるでしょう。
大学受験で有利になる
物理は理系の学生なら、受験で得点源にするべき科目です。最初は点数が伸びにくいものの、学習を継続していれば安定的に得点できるようになることが多いので、とことん極めることをおすすめします。
なお、記述式で部分点が稼げる国語や生物などとは違い、物理は計算を間違えると0点になる恐れもある科目です。
そのため、計算ミスをしないことも含めて物理が得意になっておけば、物理で失敗した受験生に圧倒的な差をつけることができます。受験では非常に大きな武器になるため、徹底的にやり込みましょう。
定期テスト・センター試験の得点を上げる勉強法
ここからは定期テストやセンター試験の得点を上げる勉強法について解説します。
演習で解法パターンを身に着ける
物理は数学と同じように、各単元で問題のパターンがある程度決まっています。
また数学よりも応用問題の難易度が高くないため、典型的な解法パターンを覚えれば十分高得点を狙うことが可能です。
数学のように物凄い閃きを要する問題は少ないので、基本的な解法パターンでほとんど対応できます。よって演習を積めば積むほど、点数は上がっていくと考えて良いでしょう。
計算スピードも大事
特に大学受験では計算の正確さと計算スピードの両方が要求されます。そのため、スピードを意識しながら演習を重ね、簡単な計算や頻出の計算に関しては、考えるよりも先に手が動くくらいにしておくのが良いでしょう。
また過去問演習を行う際は、時間を測って取り組むのがおすすめです。
さらに試験前には、標準レベルの問題集や参考書を使って、問題を見てすぐに解法が思いつくか、答えを出すまでの手順を明瞭に思い出せるかなどをチェックすると良いでしょう。
単位チェックの癖をつける
物理では単位の間違いから計算ミスや公式のミスをするケースが非常に多いです。そのため、問題を解く際は必ず単位をチェックする癖をつけましょう。
例えば、左辺の単位が力[N]であるのに対し、右辺の単位が速度[m/s]になっていれば、この等式は明らかに間違っています。
左辺が[N]なら右辺も[N]、もしくは運動方程式より[kg・m/s^2]でなければなりません。
このように単位チェックをするだけで簡単にミスを見つけることができるので、必ずこの習慣をつけるべきです。
問題集は4周する
問題集を使う際は、4周するという勉強法もおすすめです。ただし、全ての問題を4回解かなければいけないわけではありません。全て解くのは1周目と2周目だけです。
具体的な手順ですが、まず1周目は5分考えてもわからない問題に関しては答えを見て構いません。解答解説を熟読し、解き方をしっかり理解しましょう。1周目で大事なのは正解よりも理解です。
続いて2周目は、問題を見た瞬間に解法を思い出せるかを意識しながら解き進めます。ここでは正解をより重視し、自分で答えが出せるまで計算を繰り返しましょう。
そして3周目は、2周目で解法を思い出せなかった問題や計算を繰り返しても解けなかった問題だけを重点的に解き直します。
3周すれば自分の苦手な問題がわかるはずなので、テスト前には4周目として苦手な問題だけを解き直すと良いでしょう。
センター試験物理は出題が特殊?
定期テストでは出題される単元を重点的に対策すれば、比較的点数は取りやすいですが、センター試験(共通テスト)の場合はそれに特化した独自の対策を行わなければなりません。
センター物理は知識問題が多く、センター特有の単元というのもあるので、過去問演習などを通して、問題形式に慣れる必要があります。
もちろん必要となる基本的な知識は一緒なので、定期テスト対策もセンター試験にはつながります。また定期テストの勉強は二次試験対策としては非常に有用なので、きちんと行うべきです。
物理の独学勉強法や効率の良い学習の仕方について知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
高校物理の鉄板教材は?
以下では高校物理を勉強するのにおすすめの教材を紹介します。
学校の教科書も軽視しない
学校の教科書や問題集は、基礎を学ぶ上では有用なので、軽視するべきではありません。学習の初期段階は教科書をベースに学習するのもおすすめです。
ただし、独学で物理の基本的な考え方や現象の本質などを学ぶには、学校の教材だけでは解説が物足りなく感じることもあるでしょう。
そのような場合は、基礎レベルの参考書を使うべきです。
根本理解で平均点から差をつける!
教科書や傍用問題集の理解を補うための参考書としては、「宇宙一わかりやすい高校物理 力学・波動」がおすすめです。
この参考書は、たとえ話や図を用いながら各単元をわかりやすく説明してくれるので、初めに一読して全体像を大まかに捉えてから勉強すると、実力がつきやすいでしょう。
なお、この参考書の基本情報は以下の通りです。
項目 | 内容 |
---|---|
題名 | 宇宙一わかりやすい高校物理 力学・波動 |
出版社 | 学研プラス |
価格(税込) | 1,628円 |
ページ数 | 428ページ |
評判 | とても見やすいことが印象的な1冊 |
現象が理解できたら演習を積む!
現象や公式の基礎理解が済んだら、次は網羅系問題集で演習を積むのが良いでしょう。「物理のエッセンス」や「重要問題集」なら、入試に頻出の問題が体系的に収録されているのでおすすめです。
以下ではそれぞれの基本情報を紹介します。なお、難易度としては物理のエッセンスの方が重要問題集よりも難しいです。
項目 | 内容 |
---|---|
題名 | 物理のエッセンス 力学・波動 |
出版社 | 河合出版 |
価格(税込) | 924円 |
ページ数 | 165ページ |
特徴 | 感覚的に理解しながら解法の考え方や流れがわかる一冊 |
評判 | 初心者でもわかりやすいようにまとめられているので良い |
項目 | 内容 |
---|---|
題名 | 実戦 物理重要問題集 物理基礎・物理 |
出版社 | 数研出版 |
価格(税込) | 990円 |
ページ数 | 152ページ |
特徴 | 教科書を土台に物理基礎と物理を総合的に学べる |
評判 | 分からない問題も解説を読むことで理解できるようになった |
予備校や通信教育の講師に頼るのもおすすめ
物理は独学でも対策できるものの、数式が多くてとっつきにくいと感じる人が多いことは確かです。そのため、物理に苦手意識がある人は、孤独な勉強では挫折してしまうことがあるでしょう。
よって、場合によっては予備校や映像講義が見られる通信教育を活用し、プロ講師の講義を受けるというのもおすすめです。
通信教育・予備校はそれぞれメリット・デメリットがあり、人によって合う合わないがあります。
それぞれの学習手段のメリット・デメリットや、各社の紹介は下記の記事でしているので、物理対策を予備校や通信教育を使って行うことを検討している方は、ぜひご覧ください。
高校物理の難しさについてまとめ
高校物理の難しさについてまとめ
- 演習をすればするほど点数は伸びやすい
- センター物理は特別な対策が必要
- 根本理解を重んじることが実力アップに不可欠
高校物理の難しさについて解説しました。
高校物理は文字式を使った複雑な計算が多く、扱う現象も身近ではないので、難しいと考える高校生が多いですが、実はそれほど難しくありません。
数学と同様、問題及び解法のパターンがある程度決まっており、数学ほど応用問題も難しくないので、演習をすればするほど点数は伸びていくでしょう。
よって独学でも十分対策することができます。ただし、苦手意識が強い場合は挫折してしまう可能性もあるので、映像授業が見られるZ会の通信教育などを活用するのもおすすめです。
以上を参考に勉強法を見直し、物理を得意科目にできるように学習に励みましょう。