高校理科の科目選択の決め方は?科目別の特徴や難易度・大学受験への影響まで徹底解説
「高校理科の選択科目はどうやって選べば良いの?」
「それぞれの科目の難易度を知りたい!」
こんな疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?
中学までと違って高校生の理科は分野別に授業が分かれます。自分の得意分野だけでなく将来の大学受験の事も考えなくてはなりませんし、一体どれを選べば良いかわからないという方も多いことでしょう。
そこでこの記事では高校理科の科目別の特徴や難易度、大学受験への影響を見越した選び方などを詳しく解説していきます。
高校理科の科目選択の決め方についてざっくり説明すると
- 高校理科の選択は、2年生に上がるタイミングで決めることが多い
- 理系大学の中でも学部によって理科の必須科目は異なるので、受験のことも考えて決めよう
- 受験科目が固定ではない場合は、得意な科目を選んでもOK
- ただし化学だけは必須となっていることが多い
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高校理科の選択はどれがいい?
まずは高校理科の選択について、ざっくりと概要を説明します。
科目選択はいつ行うのか
高校理科の科目選択は、多くの場合2年生に上がるタイミングで行われます。高校2年生に上がる時に文系コースか理系コースかを選択しますので、理科の科目もその時に選択することになります。
進学校や中高一貫校については、一般的な公立高校とは異なるカリキュラム構成になっていることも多いため、理系科目の選択のタイミングは一概には言えません。先生の説明をよく聞いておきましょう。
もしどうしてもわからない場合は、学校に問い合わせることで教えてもらえます。
理系は受験校ごとに要求科目が異なる?
大学の受験で使う理科系科目は、同じ理系でも大学によってそれぞれ異なります。将来理系の大学を受験する予定がある人は、高校理科の選択は慎重に行いましょう。
国公立大学や早慶をはじめとする難関私立では、理科の科目内で2科目が必要になることも多いです。例えば生物と化学、物理と化学、のような組み合わせです。
MARCHくらいまでは1科目でも受験できることが多いですが、いずれにしても受験科目は事前にしっかり調べておいてください。
化学は必須と考えたほうが良い
理系大学を受験する場合、化学はほとんどの大学で必須科目になっていることが多いです。
高校の選択理科でも、化学だけは選んでおいたほうが受験校の幅が広がります。もう1科目は好きな科目で構いませんが、選び方についてはまた後ほど詳しく解説しますね。
学部ごとの影響もある
大学の受験科目の「理科」に何が設定されているかは、学部によってある程度特徴と傾向があります。
例えば、工学系の学部では「物理」と「化学」が最初から必須科目として固定されていることがあります。生物系の学部なら「化学」と「生物」を選択する人が多いです。
ただ、「化学」と「生物」の組み合わせが固定されていることはあまりないです。もし志望学部(学科)が決まっていない場合は、「物理」と「化学」を選択しておくと、受験学部を選択する段階で選択肢が広がることでしょう。
文系と理系では選択が異なる
高校理科は、文系寄りの科目と、理系寄りの科目に分かれています。
理系の学部を受験する場合は「物理+化学」、もしくは「化学+生物」といった組み合わせが圧倒的に主流ですが、文系の場合は「地学+生物」の組み合わせを選択する人が多いです。
そのため、物理や化学は文系コースの生徒にとっては苦手科目だとされています。
また高校によっては、理系コースの授業には最初から地学が入っていないこともあります。逆に、文系コースには物理の授業がない場合が多いです。
つまり文理の選択の段階で、高校で学べる科目もある程度限定されることになります。大学受験のことも考えて慎重に選びましょう。
科目ごとの特徴は?
この段落では高校理科について、選択科目ごとの特徴をご紹介します。
物理
物理は、電気や力学など、色々な現象を数式で表す過程を学習する科目です。工学や建築関係の学部では必須科目になっていることが多いです。
普段の生活の中で何気なく起きている現象を扱うので、日常的に「これはどうしてこうなるんだろう」と疑問に思っている人にとっては興味深い授業となるでしょう。
しかし当たり前の事象にわざわざ名前を付けて数式化することは、人によってはかなりとっつきにくいと思えるかもしれません。覚えるべき公式もかなり多いので、その点では面倒です。得意・苦手がはっきり分かれる分野と言えます。
ただ計算が多い代わりに暗記すべき量は少なく、計算も理系の数学よりは簡単です。一度理解してしまえば色々な形式の問題に対応できるようになりますので、それまで頑張れるかどうかがカギとなるでしょう。
高校物理の内容や勉強法について知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
化学
化学は、物質の性質や変化について探求する科目です。薬学や農学など、薬品を扱う学部を志望する方は必須と言える科目です。「理科」全般の土台とも言えますので、理系に進む人は全員学んでおくべき科目でもあります。
化学にも色々な分野があり、有機化学や無機化学、化学理論など、人によって分野の好き嫌いが分かれる傾向があります。
とは言え、試験では基礎的な知識を問う内容も多く出題されますので、極端に低い点数を取る可能性は低いです。
学習内容は、暗記と計算が半々くらいと考えてください。比較的面倒な計算が多いですが、記述はそれほど多くないため問題集をやり込めば高得点が狙える科目です。
高校化学の内容や物理・生物との比較を解説した記事は、以下を参照してください。
生物
生物は、生命の仕組みを細胞レベルまで分解して解き明かす科目です。生命科学部や農学部など、命を扱う学部を志望する方に向いています。
生物は、理系科目でありながら比較的文系に近い性質があります。暗記の量が多く、計算問題はあまり出題されません。文章を読んだり記述したりすることが好きな人にとっては、得意だと感じやすい科目です。
化学と同じように基礎知識を問う問題も多く出題されますから、多少苦手でもそこまで低い点数にはならないでしょう。
ただ、難関大学の入試では教科書ではほとんど扱わないような実験の結果を予想させるような問題も出ます。応用力や論理的思考力が求められる場合も多いので、原理をしっかり理解しておく必要があります。
ちなみに同じ高校理科という枠の中でも、生物と物理は学習内容に被りがほとんどありません。そのため物理の内容を重視する工学系を志望する人にとっては、生物を選択することはあまり意味がないかもしれません。
志望学部との親和性も考えながら選択科目を選んでください。
地学
地学は、地球の歴史や構成する物質、宇宙についてなどを扱う科目です。化石の研究などを行う学部で受験科目に入っていることがありますが、理系の大学で地学を受験科目に入れているところはほとんどありません。
こうしたこともあり、理系コースの生徒は元から地学を選択肢に入れていない人も多いです。どちらかというと文系の人が学ぶ理系科目として捉えたほうが良いでしょう。
地学は計算量、暗記量ともに少なく、大学入試においても他の理系科目と比べて簡単です。「穴場科目」と呼ばれることもあるため、全体の点数を上げることが合格につながるタイプの受験をする人におすすめできます。
科目ごとの特徴比較表
ここまでの内容を踏まえて、高校理科の科目ごとの特徴を表にまとめました。
科目 | メリット | デメリット | 暗記:計算 |
---|---|---|---|
物理 | 暗記は少ない | 公式の内容が難しいので覚えるまでが大変 | 2:8 |
化学 | 基礎問題が多いため極端に低い点数は取りづらい | 分野によって好き嫌いが分かれやすい | 6:4 |
生物 | 暗記や記述が多く文系科目と近い性質がある | 工学系の人が選択するのには向かない | 8:2 |
地学 | 理系科目の中では比較的簡単 | 受験科目に入れている大学が少ない | 7:3 |
※比率はあくまでも一つの目安として示しています。
上記では暗記の量が最も多いのは生物となっていますが、生物の計算問題は化学と同程度に難しい物が多いです。計算の難易度で言うと地学のほうが比較的簡単です。
物理が最も理系の性質が強いため一番上に表記しましたが、理科系科目の中では「化学」の重要度が一番高いです。理系の学部を受験するなら化学はできるだけ選択するようにしましょう。
結局どう選ぶのがベスト?
高校理科の選択科目について解説してきましたが、結局のところどのように選ぶのが一番良いのでしょうか。
好きなものを選ぶのがベスト
高校理科の選択科目を考える時、まずは「好きな科目」を選択肢に入れましょう。
理系の学部を受験する人にとって、理科系の科目は数学や英語と同じくらい重要な科目です。好きでなければ続けるのは難しいでしょう。
理科系科目は勉強量も多くなりがちですので、嫌いな科目を何時間も勉強し続けることは、精神的にもストレスになります。
もし受験する学部の理科系科目が固定ではなく選択になっていた場合、例えば工学部を受ける人が生物で受験しても問題ありません。東大でも、生物で合格している人もいれば物理で合格している人もいます。
大学入学後にも影響
大学では、高校で学んだ内容を基本として授業が行われます。高校の時に選択していない科目の場合、基礎知識を習得するところから始めなければなりませんので、大学に入った後に苦労するかもしれません。
高校理科でどの科目を選択していたかは、大学に入った後の勉強や研究内容にも多少影響します。ある程度は志望学部の授業も想定して科目選択をする必要もあるでしょう。
分からない場合は受験を重視
ここまでご紹介してきた内容を踏まえても科目を選びきれない時は、受験を想定して考えていきましょう。
特に好き嫌いがない場合は、志望大学の受験科目を見て、その中で自分が点数を取りやすいと思える科目を選んでください。
まずは大学に合格することが重要ですから、こうした選び方も戦略として間違ってはないでしょう。
センター試験や共通テストが簡単なのは?
共通テスト(旧・センター試験)では、物理よりも化学や生物のほうが安定して得点しやすい場合がほとんどです。そのため、手堅く6~8割くらいの得点率を狙うのであれば、化学や生物を選ぶと良いでしょう。
物理は数学と同じように、序盤で間違えるとその後も芋づる式にミスが続いてしまいます。そのため本番で大失敗につながるおそれがあるのですが、生物や化学ではその心配は少ないです。
ただ、9割~満点を狙うのであれば、どの科目も難易度にそれほど大きな変化はありません。得意科目の理解度を十分に高めて、受験に挑んでください。
二次試験も見据えて決める
二次試験を考える場合は、「その大学の科目で一番点数が取りやすいのはどれか」を考えてください。
合格体験記や先輩の意見、塾、通信教育のアドバイザーなど、情報源として使えるものは全て使いながら、しっかり情報収集をしていきましょう。
入試問題を見れば判断できると思う人もいるかもしれませんが、高校1年・2年の時に入試問題を見ても、難易度を正確に測るのは難しいです。
そのため、できる限り先輩や講師の意見を求めるのが良いでしょう。
どうしても決まらないなら生物より物理
高校理科の選択科目がどうしても決まらない場合、本当にどれでも良いのであれば「生物よりは物理」と考えると良いでしょう。
理系コースなら、化学は必須科目として取ることになると思います。そのためもう1科目は物理か生物かで迷う人が多いのですが、もし最終的に工学系の学部を志望するとなった場合、物理が必須になっていることも多いです。
生物と化学では受験できない大学も多いので、選択肢を広げるという意味で、物理のほうが有利と言えます。どうしても物理が苦手だという人以外は、物理を選んでおいてください。
高校理科の科目選択の決め方まとめ
高校理科の科目選択まとめ
- 高校理科の選択科目は、受験のことや得意分野も考慮しながら決めていこう
- 大学の授業は高校で学んだ内容を土台にしているので、大学に入った後のことも考えておくとベター
- 共通テスト(センター試験)で8割程度を目指すなら化学や生物がおすすめ
- 生物か物理かで決めかねている場合は、大学の選択肢が広がる物理がおすすめ
- 自分が点数を取りやすい科目を考えて、戦略を立てよう
高校理科は選択科目ごとに難易度や性質がかなり違うので、選ぶ時は慎重に決めてください。
その中でもできるだけ自分が好きだと思える科目を選べば、勉強もにも熱が入ることでしょう。
ぜひ効率的に勉強を進めていき、大学合格を目指してくださいね。