【解答速報】2021年共通テスト国語はやや難化?出題傾向から来年への対策まで解説!
更新
2021年 共通テスト「国語」の試験データ
項目 | データ |
---|---|
実施年月日 | 2021年1月16日 13:00~14:20 |
試験時間 | 80分 |
大問数 | 4 |
設問数 | 22 |
マーク数 | 38 |
難易度 | 例年並み~やや難化 |
大問数・設問数・マーク数はいずれも昨年と変わりませんでした。
難易度は、センター試験に比べると全体として例年並み〜やや難化となっており、出題形式こそセンター試験とあまり変化はないですが、目新しい問題が各大問に存在するためてこずった受験生も多いことでしょう。
平均点については、2021年1月20日(水)に大学入試センターのホームページにて公開される予定です。
2021年 共通テスト「国語」の感想
総評
全体として「難化」とする口コミが多く見つけられました。
特に古文に関してはかなり難しかったようで、「いつもより難しかった」「古文のせいで現代文まで手が回らなかった」などの呟きが多く見つかりました。
【第1問】
第1問に関しては、「例年通り」「普通」というような感想が多くを占めましたが、最後の設問で芥川龍之介を引用した新傾向の問題が出てくるなど、混乱した受験生も多かったと思われます。
【第2問】
小説に関しては、古めかしい文章が出題されており「読みにくかった」という声や共通テストになってから導入された目新しい問題である「論評問題が解けなかった」などの声も聞かれました。
【第3問】
第3問の古文は歴史物からの出題が行われており、慣れない語彙に驚いた方も多いことでしょう。
Twitterから見える感想では、「古文が出来なかった」という意見が多く目立ちました。
【第4問】
第4問の漢文では、漢詩からの出題がなされておりましたが、句形を暗記していれば一定程度の得点が可能だったとの見解が目立ちました。
設問ごとの難易度と重要問題を分析
第1問
第1問は、香川雅信の「江戸の妖怪革命」という文章からの出題でした。
神霊からの「言葉」を伝える存在として位置付けられた妖怪が、人間の支配力が大きくなるとともに、その根本的な認識が変容して人間のコントロール下で「娯楽の対象」という役割に変わっていった様子をフーコーのアルケオロジーを用いて記述した文章でした。
以前から噂されていたような、「会話形式」「ディスカッション形式」の問題からの出題は確認されず、文章の構成や要約、気づきなどを記した「ノート」を穴埋めさせるような問題の出題が見られました。
また、問題文中に芥川龍之介の「歯車」を登場させ、問題文との関連性を考察させるようなユニークな問題も出題されました。
目新しい点はあるものの出題形式や問題数自体はセンター試験と大きな違いはなく、センター試験の過去問を元に勉強していた受験生は取り組みやすかったと思われます。
第2問
第2問は、加能作次郎の「羽織と時計」からの出題でした。
出版社につとめる主人公の「私」が、昔主人公に対して羽織りと袴を送ってくれた病弱な「W君」にまつわる思い出を述懐する文章で、Wへの感謝や会いに行けずに過ぎた年月を思っての後ろめたさが綴られています。
出題形式はセンター試験とは変わらず、心情や行動に関する説明を選ばせる問題がほとんどでしたが、新しい傾向として問6では宮島新三郎の「師走文壇の一瞥」という「羽織と時計」への批評文を資料として評者の主張の説明や正誤を問う問題が設けられました。
これからの共通テスト対策では、評論・小説に止まらず「批評」や「エッセイ」などの多様な文章が出題される可能性が高まりますので、普段からこれらを題材とした文章に慣れ親しんでおく必要があるでしょう。
第3問
第3問は、平安時代の藤原家の盛衰を描く「栄花物語」の中の藤原長家(中納言殿)の妻が他界した場面からの出題でした。
栄花物語の出題は、1996年度の本試験以来となっており共通テストになるに連れて出典などもセンター試験から変化したことが予想されます。
基本的な設問はセンターと大きな違いはありませんでしたが、例年になく和歌が問題文中に4題も登場し少々戸惑ってしてしまった受験生も少なくなかったとことでしょう。
また問5には、千載和歌集の中の和歌一首が引用され、文中に登場する和歌やその和歌に対して送られた2つの返歌についての文章を読んだ上で、それらの相違点に着目し、正しい説明を選択させるという新しい出題形式が導入されました。
今後の共通テストでは、問5のように和歌に対する解釈の正確さや和歌が読まれるまでの文脈などが重要視されると予想されるため、普段の勉強での和歌の読解においては全訳を覚えるのみならずその背景や心情なども読み解く練習をすると良いでしょう。
第4問
第4問は、漢詩の「欧陽文忠公集」と漢文の「韓非子」2題からの出題でした。
複文からの出題は、試行調査の傾向からも予想されていたため各予備校の発売する予想問題に十分取り組めていたかどうかが、スムーズに解けたか否かを分けるポイントになったことでしょう。
問題のレベルは、漢詩の韻についてのルールや書き下しなど基本的な知識を問うものが多く例年通りのレベルと言えます。
また、問6では2つの文章を読んだ上で「御述」(馬を走らせる御者のテクニック)について正しいものを選ばせるという問題も出題されたため、2つの漢文を解釈し比較する力が求められたようです。
今後の共通テストでは、今年のように複数文章による出題や昨年出題されて話題となった、位置関係をイメージ図から解答させるような問題の出題も考えられるため、より多様な問題に触れてみることが重要と言えそうです。
総評と今後の対策
複数文章の組み合わせに慣れよう
今回が初めての実施となる共通テストの国語は、漢文に代表されるような「他の文章とセットになった出題」が目立ちました。
また設問中に問題分と関連のある文章が出題されるというケースも散見され、共通テストの来年度からの潮流として「複文による出題」が決定的になると予想されます。
そのため普段から、同じテーマを扱う評論を読んで関連づけたり、複文形式が扱われている予想問題集をやり込んで行ったりすることが必要となるでしょう。
解釈や考察問題に慣れよう
今回の出題はありませんでしたが、試行調査の傾向から文章を読んだ上で皆で討論したり、生徒たちの発表を読んだ上で正しい解釈を求めるような出題が行われる可能性も十分に考えられます。
評論や小説を会話文を読んだ上で他の友人と解釈を議論したり、自分なりの考えを発表するなどの勉強が大事になってくることでしょう。
もちろん、これらのアクティブラーニングが授業で行われる学校も少なくありませんが、普段から自主的に取り組むことで大きな力をつけることができます。
来年度以降に共通テストをうける受験生の方へ
この記事をご覧の方の中には、来年度以降に共通テストを受験されると言う方も少なくないのではないでしょうか。
共通テストは今年がスタートの年であり、センター試験が始まった時と同様に共通テストに関してもスタートから数年の間は年度によって出題傾向がばらついてしまうことが予想されています。
こうした状況では、「過去問が十分な学習材料として使えず、対策がしにくい」と悩んでしまう受験生も多いことでしょう。
そんな中で大切になるのは、「常に情報収集と演習を怠らない」と言う姿勢です。
学校の先生や予備校が発信する情報、YouTubeやネットに上がる記事を定期的にチェックして最新の情報・分析をキャッチし続けることが勉強の指針を立てる上で非常に大切になってきます。
また、情報収集と同時に演習も忘れてはなりません。
直前期のみならず、普段から大手予備校が実施する共通テスト模擬試験や通信教育講座が実施する「共通テスト対策コース」などを受講することで、質の高い予想問題にたくさん触れ、新形式の問題に慣れていくことが重要になります。
共通テスト国語対策は通信教育や予備校でばっちり
試験傾向がつかみづらい共通テスト対策をスムーズに進めるなら、通信教育や予備校を活用するのがおすすめです。
各社のプロ講師が試験傾向を徹底分析した上で、得点力アップに必要な力を身に付けるための教材を準備しており、独学の際よりもスムーズに得点を伸ばすことができるでしょう。
以下の記事では、通信教育・予備校各社の特徴について詳しく解説しているので、こちらも併せてご覧ください。