小学生の子供への算数の教え方は?学年別のつまずくポイント対策や説明のコツを紹介!
「小学生の子供にはどうやって算数を教えれば良い?」
「各学年のつまずきやすいポイントは?」
などと疑問をお持ちの方もいるでしょう。
小学生の算数はくり上がり・くり下がりや九九など、低学年のうちからつまずきやすい単元が多い教科です。
そのため、自宅で子供に算数を教える際は、いくつかのポイントやコツを押さえておく必要があります。
今回は小学生の子供への算数の教え方について、学年別のつまずくポイント対策や説明のコツをお伝えします!
小学生の子供への算数の教え方をざっくり説明すると
- まずは身に付けたい力をはっきりさせる
- 間違えた時叱ってはいけない
- 簡単な問題から始めて自信を付けさせる
小学校の算数で身に付けたい力は?
小学生に算数を教えるには、まずはどのような力を身に付けさせたいのかをはっきりさせることが重要です。
基本的な四則演算を習得する
やはりまずは四則演算をマスターするのが第一です。足し算引き算はもちろん、九九や単純な割り算ができなければ、社会生活を送る上でも不便が生じます。
特別早く解けるようになる必要はありませんが、基本的な計算を正確にできるようになることは重要です。
小学生に四則演算を身に付けさせるには、計算ドリルなどを日常的に解かせるのが良いでしょう。
数字に親しむ
私たちの日々の暮らしには数字が溢れています。実に多くの事象に数字が含まれているため、数字に苦手意識があれば、様々な困難が生じるでしょう。
例えば、情報収集が疎かになったり、人に物事をうまく伝えられないなどの事態が生じる可能性があります。
相手の主張の意図が上手く把握できない可能性もあるでしょう。
そのため、健全な社会生活を営むためにも、数字に関する最低限のスキルは身に付けておくべきです。
小学生のうちから高度な数学を学ぶ必要はありませんが、四則演算などの基本事項は当たり前のようにこなせるという状態にはなっておかなければいけません。
グラフや図形に慣れる
中学や高校になるとグラフや図形を用いた高度な問題も解かなければいけないので、小学生のうちからグラフや図形にも慣れておく必要があります。
グラフの問題や図形の展開問題などを通じて、幾何学への抵抗感を無くしておくべきです。
図形の回転などを理解する練習は右脳を鍛えることにも繋がるため、総合的な学力アップも期待できます。
問われている内容を理解する
算数では単純な計算問題だけでなく、文章題も取り扱うため、問題文の内容を正確に理解する読解力も必要です。
問題文を読んで、何が問われているかを把握できなければ、いくら数字に強くても答えを導くことはできません。
また出題の意図を理解した後は、どのように解答するべきかを筋道を立てて考えることも重要です。
算数に必要な読解力や思考力は、将来的な社会生活全般に活きてくるので、小学生のうちからそれらの能力を徐々に養っていくことが大切になります。
数学ができると年収もあがる?
実は、数学が得意な人は大学卒業後の年収が高くなる傾向があることが、いくつかの研究で示されています。
例えば、「学習科目選択と大学卒業後の所得」では、大学受験で数学を受験した人は数学を受験しなかった人と比べて年収が高いという調査結果を示しています。
「数学なんて何の役にも立たない」と言われがちですが、実は数学の力は社会で生きていく上で非常に大切なのです。
小学生の子供に算数を教えるコツ
小学生に算数を教える方法について悩んでいるという方も多いはずです。中にはついカッとなってしまったり、良い声かけが見つからないという方もいるでしょう。
算数の指導法にお悩みの方は以下の内容を参考にしてください。
間違いを叱らないで気長に付き合う!
子供が間違えた時に叱るのはタブーです。自分の答えを否定されると子供はやる気を無くしてしまうので、否定から入るべきではありません。
子供の答えが間違っている時は、どうしてそのような答えになったのかを聞き、考えのプロセスを一緒に点検するのが良いでしょう。
何度も同じところでミスをすることもあるでしょうが、イライラした態度は見せてはいけません。
否定から入りがちな人やすぐに怒ってしまう人は優しく教えることをより意識すると良いでしょう。
またすぐに正解を教えてしまうのもよくありません。間違えた理由が分からないまま正解だけを聞いても、自分で考える力が身につかないので、じっくりと考えさせるべきです。
計算ミスが主原因ならドリルを活用
計算ミスでつまずくことが多い場合は、計算ドリルを活用しましょう。演習量をこなすことで徐々に計算の精度は上がっていくでしょう。
また途中式を書いて計算させるなど、正確な答えを導くためのコツを教えてあげるのも良いでしょう。
字を無理にきれいに書かせない
字を綺麗に書かせないと気が済まないという方もいるでしょうが、無理やり字を矯正させると子供がやる気を無くしてしまう可能性があります。
字を綺麗に書くことも大事ですが、まずは子供に伸び伸び勉強してもらうことの方が重要です。
特に字が汚くても勉強自体はきちんとできているという場合は、ある程度は目をつぶり、子供のモチベーションを落とさないことを優先させましょう。
また字が汚いことが原因で計算ミスをしてしまうというような場合は、「せっかくできているのにもったいない」と声かけするのもおすすめです。
無理やりではなく、子供も納得した上で字を綺麗に書かせることができれば理想的と言えるでしょう。
苦手意識を植え付けない
ついつい言ってしまう方もいるでしょうが、「〇〇君はあんなにできるのに」などという発言は控えるべきです。
友達よりも劣っていると言っているようなものなので、子供のプライドを傷つけてしまう可能性があります。
子供のモチベーションを落とすようなことは言うべきではありません。
そのため、子供に算数を教える際は、基本的には「褒めて伸ばす」のが良いでしょう。
「好きこそ物の上手なれ」というように、算数を好きになれば自然と成績も上昇していくので、まずは自信をつけさせるべきです。
そのためには小さなことでも褒めてあげ、成功体験を増やしていくのが良いでしょう。
学年別の算数の教え方を解説
ここからは小学生に対する算数の教え方を学年別に解説します。
小学1年生
小学1年生では、足し算や引き算、くり上がり、くり下がり、時計の読み方などを学習します。
特につまずきやすいくり上がりとくり下がりに関しては、以下の内容を参考にしてください。
くり下がり・くり上がりの計算
基本的な足し算や引き算は、おはじきなどを利用すれば比較的簡単に理解できますが、数が大きくなってくるとそうはいきません。
くり下がり・くり上がりの計算を攻略するポイントは、10という数を作ることです。
10をいくつかの数字に分解したり、逆に複数の数字を組み合わせて10を作ることが自在にできれば、くり下がり・くり上がりの計算でつまずくことはありません。
計算が苦手な子供は、頭の中で10を作ることができないので、くり下がり・くり上がりのシステムが理解できていない可能性があります。
数字を漠然と塊で捉えるだけでは、全てのパターンを暗記しない限り、計算を行うことはできません。
そこでまずは10を作る2つの数(1+9, 2+8, …, 9+1の9通り)を記憶することから始めると良いでしょう。
「10の計算」をマスターすれば、後は反復練習によってくり下がり・くり上がりの計算も攻略できます。
小学2年生
小学2年生では、2桁の足し算・引き算や掛け算(九九)、分数、長さ、時間などを学習します。
特につまずきやすいのは九九と分数です。
九九
九九はその後の勉強の基礎となるため、小学2年生のうちにきちんとマスターしておかなければいけません。
一つ一つを別個に覚えるのは厳しいため、最初は一連のリズムして記憶するのが良いでしょう。
通信教育や動画サイトには、九九をマスターするための音源があるため、それらを活用するのもおすすめです。
算数では根本的な仕組みを考えることも重要ですが、九九に関しては理屈抜きに覚えてしまうのが良いでしょう。
分数の計算
分数の計算は抽象的なので、小学生にとっては何が起きているのかが分かりにくい単元です。
そのため、まずは具体例を交えつつ、分数の仕組みを理解させるのが良いでしょう。
ホールケーキの切り分けなどの例が分かりやすくておすすめです。
小学3年生
小学3年生では、以下のような内容を学びます。
- 割り算
- 掛け算の筆算
- 小数・分数の足し算・引き算
- 単位変換の仕組み
- 三角形などの図形やグラフ
- □を使った計算
小学3年生からは割り算や図形問題が始まります。それらの勉強法に関しては以下の内容を参考にしてください。
割り算の計算の始まり
割り算を習得するには、まず掛け算をきちんと理解している必要があります。
つまり九九を覚えていないと計算がかなり苦しくなるため、九九が不十分ならきちんと復習を行いましょう。
九九が定着していれば、頭の中である程度計算ができるようになるので、割り算の理解も捗ります。
図形問題
図形問題は頭の中だけで考えても分からないことが多いので、実際に図を書いてみることも重要です。
書き出してみれば単純な問題であることに気付くという場合も多いので、迷ったら書き出してみるという指導を行いましょう。
図を書くことで文章題の情報を整理することができるので、ケアレスミスを防ぐという効果もあります。
なお、図はあくまでも理解の一助として用いるためのものなので、きれいに書かせる必要はありません。
小学4年生
小学4年生では以下のような内容を学びます。
- 概数
- 割り算の筆算
- 計算の順序
- 分数や小数の掛け算・割り算とその筆算
- 図形の面積・角度
- 立体
- 割合
- 変わり方
- 折れ線グラフ
上記の中でも図形の面積計算と分数の足し算・引き算はつまずきやすい単元です。それらの勉強法としては以下の内容を参考にしてください。
図形の面積計算
図形の計算では、図形の面積と公式の対応関係をきちんと記憶することが重要です。
記憶する際はどうしてその式で面積が求められるかということまで理解させるのが良いでしょう。
ただ公式を暗記させるだけでは、ど忘れした時に思い出しにくくなるので、考え方を含めて覚えることが大切です。
原理から丁寧に教えてあげ、子供が理解しているかどうかを確かめながら、段階的に取り組むのが良いでしょう。
先述した通り、図形を書き出すとイメージが掴みやすくなり、計算ミスを防ぐことにも繋がります。
分数の足し算と引き算
小学4年生になると、分母が異なる足し算や引き算にも取り組むようになります。つまり通分の必要が出てくるということです。
分数は子供にとっては難解な単元の一つなので、ケーキや図などの具体例を交えながら解説してあげるのが良いでしょう。
また演習を繰り返すことでパターンが把握できるため、機械的に解けるようになるまでとにかく量をこなすというのもおすすめです。
小学5年生
小学5年生では以下のような内容を学びます。
- 約数や倍数
- 約分と通分
- 異分母の分数の足し算・引き算
- 面積と体積
- 三角形の性質
- 円
- 比例
- 百分率
- 割合
- 速さ
- 単位の変換
- 平均
上記の中で特につまずきやすい単元は、速さや単位の変換、百分率などです。
速さ・単位の変換
意外にも速さはつまずく人が多い単元の一つです。そのため、まずは図などを用いて丁寧に解説してあげるのが良いでしょう。
問題を解く際は公式を利用することも多いですが、公式を忘れると解けないという状態では、原理の理解が不十分な可能性があります。
応用問題に対応するためにも、公式の背景にある考え方も含めて理解させるべきです。
また速さの問題にも必要な単位変換でも、多くの小学生が苦労します。これに関してはある程度暗記が必要なので、反復練習を通して慣れるのが一番でしょう。
つまずく人が多いパーセントや百分率の計算
百分率でつまずく小学生は非常に多いです。この単元に関しては、図などで説明したとしても中々理解できない子供もいます。
そのため、より身近なテーマで考えさせてみるのが良いでしょう。
パーセントは商品の値引きなどでも利用されているため、買い物に行った時などに一緒に考えてみるのがおすすめです。
実生活と密接に関係する知識は子供にとっては刺激的なので、勉強のモチベーションアップにも繋がります。
小学6年生
小学6年生では以下のような内容を学びます。
- 分数の掛け算・割り算
- 円の面積
- 比
- 比例・反比例
- 文字式を使った計算
- 場合の数
特に比例・反比例と分数の計算はつまずく子供が多いため、以下の勉強法を参考にしてください。
比例・反比例
比例・反比例は小学6年生の算数における最重要単元の一つです。この単元では式とグラフの両方を理解する必要があります。
比例の場合は、数値が穴あきになっている表などを用いて、子供に法則を発見させるのが良いでしょう。
上手く法則を発見できない場合でも、答えをいきなり教えるのはおすすめできません。ヒントを出しつつ、子供に自力で穴埋めをさせた方が、後々の勉強にとっては有益です。
反比例の場合も同様に、グラフと法則の対応関係を子供に考えさせるのが良いでしょう。
分数の計算
分数の計算では割り算と掛け算の関係を把握することが重要になります。それさえ把握できれば、後は演習を繰り返すだけです。
計算ミスをいかに防ぐかや文章題の内容を正確に把握できるかどうかが課題になります。
ケアレスミスを防ぐには約分が重要なので、九九をもう一度おさらいしておくの良いでしょう。
文章題に関しては演習を繰り返して、出題の形式に慣れることが大切です。ただし、小学校ではそれほど難しい文章題はないので、あまり構える必要はありません。
算数が嫌いな子供にはどう接する?
算数が嫌いな子供への接し方に関しては、以下の内容を参考にしてください。
小学校の算数のレベルを理解する
算数が嫌いな子供は「自分は算数ができない」と思い込んでいる場合が多いです。
しかし、小学校レベルの算数なら、人によって飲み込みの早さに違いはあれど、基本的には誰でも理解できる内容です。
そのため、十分な練習を行えば、間違いなくできるようになります。初歩的な内容から成功体験を積み重ねていけば、苦手を払拭することができるでしょう。
苦手分野を把握する
苦手な分野であっても、反復練習を行えばスラスラ解けるようになるでしょう。
そのため、まずはどこでつまずいているのかを把握することが重要です。苦手の原因を発見し、その部分の練習を重点的に繰り返すのが良いでしょう。
簡単な問題から始める
例えば、いきなり間違えた問題の解説から始めても、余程分かりやすい説明をするのでない限り、子供は理解できずに混乱してしまう可能性があります。
そのため、まずは苦手分野の中で最も平易な問題からスタートし、段階を踏んで理解してもらうのが良いでしょう。
基本的な問題に正解できるようになれば、苦手意識も薄れていくので、より発展的な問題も理解しやすくなります。
おすすめの教材と学ぶメソッドは?
以下ではおすすめの教材とその特徴について解説します。
市販のドリルやテキストを使う
自宅で算数を教えるなら、市販のドリルやテキストを使うのが最も手っ取り早い方法です。
以下ではおすすめのドリルやテキストを2冊紹介します。
陰山メソッド 徹底反復 百ます計算
「陰山メソッド 徹底反復 百ます計算」は小学館から550円で出版されているテキストです。
2週間同じ問題を解き続けることで、四則演算の基本を体に染み込ませることができます。
足し算・引き算・掛け算・割り算のプリントがそれぞれ2週間分収録されているので、コスパの良いテキストと言えるでしょう。
ちなみに陰山メソッドとは、教育者である隂山英男氏が考案した学習法で、短時間で集中して勉強することや反復練習を重視する方法論です。
考える力を育てる天才ドリル
「考える力を育てる天才ドリル 立体図形が得意になる点描写」は、ディスカヴァー・トゥエンティワンから1,100円で出版されているドリルです。
このドリルでは規則的に点が描写された背景の上に立体図形を描くことによって、空間的な感性を養うことができます。
点と点を結ぶことによって、誰でも綺麗な立体図形が作図できるため、定規などは必要ありません。
見本を見ながら立体を写すだけの作業ですが、正確に速く行えるように練習することで、中学受験にも対応可能な立体感覚が身に付きます。
塾で補習する
中学受験を目指すのでなければ、基本的に小学生のうちは塾に通う必要はありません。
しかし、高学年になると算数の内容も高度になるため、学校の授業についていけないようなら、入塾を検討するのも良いでしょう。
自宅で教えるだけでも十分ですが、どうしても教えるのが厳しい場合やそもそも多忙で時間が取れないという場合には、入塾もおすすめです。
個別指導ではそれぞれの苦手に合わせた指導が受けられるため、弱点克服には役立ちます。
一方で集団塾では学校の予習的内容を扱うことが多いので、成績アップに繋がるでしょう。
ただし、塾に通う場合は費用面がネックになります。週1、2回のペースで通うだけでも、年間で10万円程度は必要になるため、家計にとっては大きな負担です。
また時間が縛られる上に送り迎えなどの手間もかかるため、基本的には自宅学習をおすすめします。
通信教育はコスパも良い
塾に通うほどではないけれど、学校のプラスアルファで少し勉強させたいという場合には通信教育がおすすめです。
通信教育では塾ほどのサポートは受けられませんが、小学校の予習・復習程度なら十分に行うことができます。
また最近はタブレット学習が主流になっているため、映像授業で講師の解説を聞くことも可能です。
テキスト教材は市販のものよりも分かりやすいことが多いので、良いテキスト・ドリルが欲しいという場合にもおすすめできます。
通信教育なら塾に比べると格安の費用で受講でき、時間や場所の制約もないため、様々な面で利用しやすい教育サービスと言えるでしょう。
基本的には自分のペースで学習でき、教材のレベルも選択できることが多いので、それぞれに合った学習スタイルをデザインすることができます。
ただし、通信教育は自学自習が基本となるため、学習効果を高めるには勉強の習慣化が必要です。
コンスタントに勉強しないとすぐに課題が溜まってしまうため、子供が計画的に勉強できるように保護者がサポートすることも大切になります。
算数教育も含めて小学生におすすめの通信教育は以下の記事で詳しく解説しています。
小学生の子供への算数の教え方まとめ
小学生の子供への算数の教え方まとめ
- 字を綺麗に書かせることにこだわらない
- 九九はリズムで覚える
- 図形問題では実際に図を書かせる
小学生の子供への算数の教え方について解説しました。
算数を教える際は、まずどのような力を身に付けさせるべきなのかを把握するところから始めましょう。
四則演算や基本的なグラフ・図形問題はマスターしておくべきです。九九はリズムで覚えること、図形問題では実際に図を書かせることなどがコツになります。
また子供が間違えた時に叱るのはタブーです。基本的には褒めて伸ばし、算数に対する自信を付けさせることが重要になります。
今話題のタブレット教材も有効活用しながら、ぜひ子供が算数好きになる手助けをしていきましょう!